143.フェアリー商会、設立。
一夜明けて、俺達はサーヤの家で……絶賛ソーセージ製造中だ!
かなりの数を昼までに作らなきゃいけないので、レベルアップによるハイステータスを活かしてみんな超スピードで作業している。
トルコーネさんは朝一でラクノ村に、卵の仕入れに向かったはずだ。
問題なく仕入れ出来れば良いのだが……。
俺は作業の合間に、九体のリーダースライム達に集まってもらった。
ローテーションで各所を巡回してもらっているのだが、今後は担当エリアを固定しようと思っている。
巡回警備の精度をより高めるためだ。
ただずっと巡回警備しているのは大変なので、チームの中で交代する方式にしてもらおうと思う。
一体のリーダーに対して、小隊を二つ付けた中隊を作る。
そして交互に担当場所の巡回警備と、大森林での訓練などを行えるようにする。
一つの小隊を十体程度で組織し、二小隊で中隊とするのだ。
ということで俺が決めた配置は……
リイチ———『フェアリー牧場』の巡回警備担当
リニ——— 荘園エリアの西側にあるベジ村、ポテ村、コム村とその周辺エリアの巡回警備担当
リサン———荘園エリアの東側にあるラクノ村、グレ村、オリ村とその周辺エリアの巡回警備担当
リシ———不可侵領域の白衣の男が潜伏している迷宮周辺の巡回偵察担当
リゴ———不可侵領域のミルキーの家及びその周辺別荘の巡回警備担当
リロク———不可侵領域のリリイの家及びその周辺別荘の巡回警備担当
リシチ———不可侵領域の水田エリア及びその周辺の別荘の巡回警備担当
リハチ———マグネの街のサーヤの家周辺及び街の西側の巡回警備担当
リキュウ———マグネの街の『フェアリー亭』周辺及び街の東側の巡回警備担当
この九体のリーダースライム達のチームに入っていないスライム達は、大森林と霊域に分かれて常駐戦力として暮らしてもらうことにする。
ただスライム達は、遊撃部隊として特定の担当エリアを持たずに、いつでも自由に動ける状態にしてもらっている。
人族の街で急に応援が必要な時に、すぐに来てもらう為だ。
◇
俺達は何とか営業開始までにソーセージを納めることが出来た。
トルコーネさんの卵の仕入れも、上手くいったようだ。
ただ毎日となると厳しいようで、何か対策を考えないといけないらしい。
『牛のとろとろシチュー』に使う野菜等は、問題無く調達出来るようだ。
牛肉については、もし足りないようなら俺の『波動収納』にある『バッファロー魔物』の肉を提供できるので問題はないだろう。
仲間達は昨日と同じように、『フェアリー亭』の手伝いをすることになっている。
『フェアリー牧場』の方は、経験者である三人の牧場娘達で管理してもらっている。
サーヤが二十人ほど雇用してくれたので、当面の仕事の人手は足りているのである。
何よりも動物達が、俺の使役生物なので、最低限の世話で済むからね。
動物達は、牧場で働いている人達とは念話出来ないが、俺達で密かに動物達に指示を出しているので、他の家畜動物に比べて手がかからないのだ。
俺も『フェアリー亭』を手伝う予定なのだが、少しの間抜けさせてもらった。
今後の為に商人ギルドに訪れているのだ。
商会の設立手続きの為だ。
もっとも商会の設立は、商人ギルドだけでなく役所にも届け出が必要なので、これから役所にも行く予定だ。
もう一つの目的は、ソーセージの加工工場に出来るような物件がないか情報収集だ。
トルコーネさんから買い上げた宿屋の一階部分を、ソーセージの加工場にすることも考えた。
だが、一時的にはそれでいいとしても、将来的なことを考えれば、しっかりとした広い加工場を作った方がいいと思ったのだ。
様々な物件情報を教えてもらったが、結果的には適する物件は無かった。
自分で作るしかないようだ。
俺は追加で土地の購入をした。
北門の所の東西に真っ直ぐ伸びている外壁の内側のスペースで、空いてる場所があったのだ。
前回俺が買い占めたのは、この外壁に繋がるアーチ状の外壁の内側で、この北側の直線の壁の内側は買っていなかったのだ。
北門前広場の壁沿いのすぐ西側には、衛兵詰所や宿舎があるが、そこより更に西側が空いているので、そこを全部買った。
この前サーヤの敷地として追加で購入した土地まで続いているので、そこまで買ったのだ。
北門前広場のすぐ東側には衛兵訓練用の大きなスペースがある。
そこから更に東のスペースが空いていたので、そこも購入した。
アーチ状の外壁が始まる繋ぎ目の所まで全てだ。
この東西の各購入敷地は、五万平方メートル(5ヘクタール)ずつあり、合わせて約十万平方メートル(10ヘクタール)になる。
この土地もマグネの街の所有だったので、今回も代官さんの計らいで格安で販売してもらえた。
両方合わせて一千万ゴルで購入することができた。
俺はここに食品の加工場を建てようと思っている。
他にも何か新しい事業を考えるつもりだ。
食品の加工場といっても、当面はソーセージ作りの製造工場だ。
東側のスペースに作ろうと思っている。
サーヤの家から反対側であり、かなり距離がある。
だが、アーチ外壁内側の東側仮設住宅エリアと隣接しているので、そのエリアの人を雇用すれば、通勤に便利と考えたのだ。
西側エリアの人で、働きたい人は東側エリアに引っ越してもらえばいいとも考えている。
俺が新しく作った商会は、『フェアリー商会』という名前になった。
もちろんつけたのはニアだ。
俺が口を挟む余地は無かった。
ニアの圧が凄かったからね。
まぁ変な名前をつけて、ずっとジト目で見られるよりはいいけど……。
トルコーネさんが、作っていた羽妖精が手を振っているロゴがすごく可愛かったので、使わせてもらうことにした。
『フェアリー商会』も『フェアリー牧場』も同じロゴにした。
これは所謂紋章みたいなもので、その商会を表すマークとなる。
この世界は、教育制度が整っていないので、識字率は高くないようだ。
それ故、大きな商会は必ず紋章を作っている。
字が読めない人でも、紋章で区別がつくからね。
トルコーネさんの宿屋『フェアリー亭』も含めて、『フェアリーグループ』ということでいいんじゃないだろうか。
もちろんトルコーネさんの『フェアリー亭』とは、資本関係があるわけではないが、もう家族みたいな感じだし、同じグループということで良いだろう。
今後の為の仕事を終えて『フェアリー亭』に戻ると、昨日同様大繁盛していた。
そして俺は自動的に……なぜか『卵焼き』係になっていた……。
あと新たに手伝いの少女が三人とロネちゃん位の女の子が二人増えていた。
『卵焼き』を焼きながら聞いた話によると……
ネコルさんが暮らしていたこの街で唯一の孤児院の子供達らしい。
昨日の状態を受けて、ネコルさんが声をかけてくれたようだ。
少女三人は、みんな十四歳らしい。
十五歳になると成人となり、孤児院を出ることになるので仕事を探していたそうだ。
ロネちゃん位の女の子達も孤児院の子達で、ロネちゃんと顔見知りらしい。
トルコーネさん一家は、時々差し入れを持って孤児院に遊びに行っているようだ。
今後もこの子達が、働いてくれたらいいかもしれないね。
俺達がいつまでも手伝えるわけじゃないし。
ただ問題は、この繁盛がいつまで続くかで、雇用した後に繁盛しなくなったんじゃ大変だからね。
まぁそこは、工夫すれば大丈夫だと思うけど。
実は密かに、さらなる繁盛のアイデアが俺にはあるのだが……
もっとも、今の繁盛が続く間はこのままでいいと思っている。
というか、忙しくて新しい事も出来ないだろうし……。
なんかやっぱり……飲食事業って楽しい!
トルコーネさんの食堂・居酒屋と競合しない範囲で俺もやろうかな……。
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