1413.神様っぽい話し方もできる、『アルテミス』様。
タマルさんのお父さんとお母さんに被験体になってもらって、俺の血を使った悪魔因子の除去は上手く成功してくれた。
悪魔因子が消滅したことで、悪魔の隷属支配も解消された。
そして、新しい種族『聖魔不死人』に変性した。
とりあえず成功と言っていいだろう。
これも『アルテミス』様のお陰だ。
まさか俺の血で悪魔因子を消滅させられるなんて思わなかったからね。
なぜ上手くいったのかを突き詰めて考えたい気もするが、それは後にする。
そして、もしかしたら上級悪魔とかに俺の血をぶっかけたら倒せたりしないかというような馬鹿な考えも思い浮かんだが、そんなに都合良くはいかないだろうね。
まぁ今回のことで確実に分かったのは、何か特殊な状況にある者に俺の血を飲ませてると、そのまずい状況を消滅させ新たな『種族』になる可能性があるということだ。
まぁ血に対して敏感な吸血鬼とか、悪魔因子が融合したゾンビとか、そんな特殊な状態はそうそうないとは思うが。
さっきも思ったのだが、吸血鬼に俺の血を飲ませても、全ての吸血鬼が『聖血鬼』になるわけじゃない。
無理矢理吸血鬼にされた善良な人たちは、『聖血鬼』になれたのだが、悪意が強く酷い行いをしていた吸血鬼は、俺の血を飲ませるともがき苦しんで、消滅しそうになったんだよね。
だからそういう吸血鬼は、今も『ドワーフ銀』の杭を打ち込んで封印状態にしてある。
秘密基地『竜羽基地』に保管してあるのだ。
そのことを考えると……この約五百人全員に飲ませて大丈夫なんだろうか?
俺は、その事を『アルテミス』様に尋ねてみた。
「あー確かにその心配はありますね。
その説明をしましょう。
悪意に満ちた者や精神波動がかなり低い者があなたの血を飲めば、その聖なる波動に順応出来ず消滅します。
この悪魔因子が融合したゾンビたちは、元の魂が閉じ込められているので、その魂の状態によっては順応出来ず消滅するでしょう。
でもそれは仕方のないことです。
そうやって消滅することで、その魂が解放され輪廻の輪に戻ることができます。
存在としては消滅してしまいますが、魂までは消滅しません。
魂は解放されます。
まぁこの場合の魂の解放は、あくまで副産物的なものといえますが。
ですから消滅させてしまったとしても、その魂は救うことができます。
気にする必要はありません。
ゾンビとなった体に魂を閉じ込められ永劫に生きるよりは、はるかにマシです。救いなのです。
ですから気にせずに、全ての者にあなたの血を与えなさい」
『アルテミス』様が、いつになく真面目な口調で、そんな説明をしてくれた。
俺の躊躇を解消するために、諭すように言うために、こういう口調になったのかもしれない。
と言うか、この話し方の方が全然神様っぽいんですけど。
今までが軽過ぎたんだよね。
まぁそんな事は、言えないけどね。
そう思っていたのだが……パチンとウィンクされてしまった。
もしかして……俺の心の声は、神様にはダダ漏れなのか……?
……これ以上考えるのはやめよう。
まぁ『アルテミス』様が説明してくれたお陰で、精神波動が低い者が消滅してしまっても、魂は解放され次の人生に備えることができるとわかった。
だから、気に病む事はやめよう。
消滅するまでの間に苦しむのは、生前に犯した罪の報いということで、割り切ることにしよう。
次に、チャッピーのお父さんとお母さんに血を与えることにした。
先程と同じように無理矢理血を飲ませた。
悪魔因子の消滅と変性は無事に成功し、チャッピーはご両親と再会することができた。
おじいさんとおばあさんの時もそうだったが、ご両親は自分の状況がわからなく戸惑っていた。
だが、チャッピーと再会し、嗚咽しながら抱きしめていた。
そんな様子を見守って、少し落ち着いた頃に状況を説明してあげた。
ゾンビになって悪魔に操られているときのことも、朧げながら記憶が残っているらしい。
俺の説明を聞いて、全てが繋がり納得がいくという感じになったようだ。
チャッピーのおじいさん、おばあさん、お父さん、お母さんとタマルさん、チャッピーをこの場に残し、俺は別の場所に移動することにした。
残り約五百人に一気に俺の血を与え、悪魔因子を消滅させ変性させるためだ。
だから、五百人以上が集まれる場所に移動することにしたのだ。
『アルテミス』様は、チャッピーのお父さんとお母さんが変性したのを見届けた後に、憑依状態から戻っている。
この後は、ムーンラビーさんが俺に同行して、手伝ってくれることになっている。
拘束しているスキルを解除してもらわないといけないからね。
ムーンラビーさんは、『アルテミス』様の憑依状態でも、その時の記憶は残っているらしい。
それ故に、状況は理解しているのである。
大分疲れているようだが、スキルの解除は彼女にしかできないので、手伝ってもらうことにした。
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