73
◆九白真緒
受験から数日後。
今日は合格発表の日だ。
私とレイちゃんは、合否の確認のため学校へ向かった。
校門へ着くと、何やら揉め事を起こしている大人たちが見えた。
複数の男性が揉みあいになっている。何の騒ぎだろう?
「俺は、この学校のことを思ってやったんだ! それなのにクビってどういうことだ!」
「それ以上大声で騒がないでくれ。人が見ているじゃないか」
「だってそうだろう!? 俺は正しいことをしたんだ!」
「いいから帰ってくれ! これ以上は警察を呼びますよ」
よくよく見ると、全員に見覚えがある。
暴れている人は、受験の時に実技試験で試験官をしていた人だ。
それを押さえ込んでいるのは校長と教頭だ。入学説明会の時に見たので覚えている。
立ち聞きした内容から推察すると、試験官の人が解雇になったみたいだ。
試験官の人は、そのことに納得がいっていないため、校長と教頭に食って掛かっている。
校長と教頭は何か言い返したい風だが、周りの人が見ているので言葉を選んでいる感じがする。
だけど試験官の人はクビになったから、なりふり構っていない。
結果、校門をセンターにして相撲を取っているような状態になっていた。
実力が拮抗し、白熱した試合展開となっている。
「マオちゃん、行きますわよ?」
と、レイちゃんに呼ばれて、我に返る。
いきなりの光景にびっくりしちゃったけど、今はそれどころじゃない。
合格発表を見に来ているんだったよ。
私たちは、言い争う校長たちの横を通り抜け、合格発表の場へ向かった。
到着すると、合格番号が張られた掲示板の周りには、大きな人だかりができていた。
私とレイちゃんは受験票を片手に、人だかりの隙間から番号の確認を行った。
「え~っと、946番はっと……」
ドキドキしながら、自分の番号を探す。
「お、あったあった」
しばらく視線をさまよわせ、番号を発見。
無事合格したようだ。レイちゃんの様子を伺えば、掲示板を見つめて喜色満面。
どうやら、こちらも無事合格の様子。
「おめでとう!」
「マオちゃんも合格したのですよね?」
「うん」
「やりましたわね!」
二人で手を取り合い、合格を喜ぶ。
だが、これは初めの一歩に過ぎない。
次はフォーゲートの大会で、優勝を目指さなくてはいけない。
合格して嬉しいけど、ここは気を引き締めなおさないとね。
という旨を伝えると、レイちゃんも「そうですわね」と、キリリとした表情に切り替わる。
ここからは、フォーゲートの特訓を頑張っていかねば。
などと新たな決意を胸に秘めていると、背後から「お、受かってる」という控えめな声が聞こえた。
どうやら、私たちの後ろでも番号のチェックを行っていた人がいたようだ。
ここでずっと立っていると邪魔になるし、下がった方がいいよね。
そう思って、その場から離れようと振り返った瞬間、後ろで合格を確認していた女の子と目が合った。
…………あれ? この子、どこかで見た気がする。
と、すれ違う数秒の間に頭がフル回転する。
一体どこで会ったんだ。
レイちゃんに連れられて行ったパーティー?
違う。それなら、レイちゃんも気づくはず。
ということは会ったのは私だけ。
家の仕事がらみ?
違う。同年代の子なら、仕事の内容に紐づいて強烈に印象に残っているはず。
覚えている感覚はあるのに、全く引っ掛かりを感じない。
それがどうにももどかしく、のどの奥に魚の小骨がつっかえたかのような不快感を覚える。
むぅ、小骨を取ってスッキリしたいぞ。
私は、どうにかして思い出そうと、女の子の顔を凝視した。
ふんわりとした桃色の髪は短く切りそろえられ、スポーティーな印象。
顔立ちは、柔らかい印象が素地としてあるが、表情としてはキリリとして爽やかな雰囲気。
じっくりと見て、自分の記憶にある印象と、実際の印象に随分と差があることに気づく。
記憶の中では、かわい格好良い感じなのだが、眼前の雰囲気は体育会系マシマシな感じ。
その誤差がうまく混ざり合わず、思い出すことの障害となっている。
一体どこで会ったのだろうか? ……いや、本当に会ったことがあるのかな?
もしかしたら、写真で見たのかもしれない。
それとも、何かの雑誌だろうか……。
……ん、……雑誌?
「ああっ! ああああああっ!!!」
思い……出した……っ!
この子、きら☆スタの主人公、因幡七海だ!
本日の連続更新はここまでとなります
お楽しみいただけたなら、幸いです
何より、ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
中学生編に突入し、真緒たちはフォーゲート部に入部することになりますが、物語がスポーツメインとなることはありません
割合としては、小学生編で描かれたのと同じくらいになるかと思われます
面白い、続きが読みたいと思っていただけたなら、
ブックマークの登録、
ポイント投入欄を☆☆☆☆から★★★★★にしていただけると、作者の励みになります!
なにとぞ、ご協力お願いします!




