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 誤字、脱字報告、ありがとうございます!



 

 その後、紫前増美が誘拐の主犯として逮捕された。


 事件当時の映像証拠。多数の目撃証言。


 最早、逃げられるすべはない。


 そして、逮捕が確定した段階で、紫前家は御家取り潰し。次の候補に当たる家が繰り上がって十家になった。


 十家とか聞いたこともないけど、興味もない。


 その辺りはどうでもいい。


 ぶっちゃけ関係ないしね。


 レイちゃんもあんまり興味は無さそうだ。


 一番重要なのは、これで面倒事が一掃されたという事だろう。


 紫前は今回の誘拐以外にも色々やっていたことが発覚し、余罪を追及されている。


 もはや、紫前家としても、雲上院家に関わっている場合ではないのだ。


 雲上院家に対して執拗な行動を重ねていた紫前が捕まった今、向こうから仕掛けてくることはもうないだろう。


 そして、もし第二の紫前家のような存在が現れても、もう今回のようにはいかないはずだ。


 なぜなら、レイちゃんの霊力が格段に成長したからだ。


 いくら周りが騒いでも、実力で黙らせることが出来る。


 今回の事件を終えて、レイちゃんはなんか格好よくなった気がするんだよね。


 佇まいが変わった感じ? よりお嬢様感が強まった気がするよ。


 まあ、中々波乱に満ちた小学生ライフだったけど、それもこれで終わり。


 丁度、小学校ももうすぐ卒業だし、これからは憂い無く楽しい中学生ライフが送れることだろう。


 高校生活が波乱に満ちてしまうのは確定だし、中学校くらいは楽しく過ごしたいよね。


 しかし、進学予定の中学校は舞台となる高校と同じ一貫校。


 つまりは、マンガの登場人物と邂逅するわけだ。


 そう考えると、油断は禁物かな。


 そんな事を考えながら、今日ものんびり霊核の拡張。


 本日は休日の為、レイちゃんと二人で採石場を利用した霊核拡張修行の真っ最中だった。


 レイちゃんの霊核の成長も軌道に乗り、かなりの大きさへ成長して来ている。


 私は試行錯誤していたため、それなりのロスがあった。


 だけどレイちゃんは、私が正解のルートを教える為、無駄が無い。


 だから霊核の成長も早いんだよねぇ。


 それはさておき、私の霊核も随分と大きくなった。


 これからは霊術の修行に重点を置くのも悪くないかな。


 そもそも、本当は魔法みたいな霊術に憧れて霊薬を飲んだはずだ。


 それなのに、霊術そっちのけで霊核を大きくすることに没頭してしまっている。


 一体どこで歯車が狂ってしまったのか……。


 晴天の下、お茶を楽しみながら、二人仲良く霊核の拡張に勤しんでいると、車が一台、こちらへ向かって来るのが見えた。


 あれは、雲上院の車だ。


 誰が乗っているのだろう、と思ったらレイちゃんの父親である昭一郎さんが降車したのが見えた。


 こんなところまで来るなんて珍しい。


 向こうも向こうで、採石場に展開される巨大な霊装を見て固まっていた。


 初めて見れば、驚くのも無理はないか。


「レイちゃん、お父さんが来たみたいだよ」


「あら、どうしたのでしょう」


 私たちは修行を中断し、昭一郎さんのもとへ向かった。


「こんにちは。電話じゃなくて、直に来るなんて珍しいですね」


 修行場所を変更してから結構経つけど、初めての訪問だ。


 ここって、何の目的もなく来るには微妙に遠いんだよね。


「あ、ああ……、そうかもしれないね。それにしても、凄いね。あんな巨大なものがあるなら、ここを使うのも頷けるよ」


「ええ。ここじゃないと満足に修行できないんですよね。で、どうしたんですか?」


「おお……、そうだった。礼香、私と病院へ行こう。母さんが、入院したんだ」


「ええ!? お祖母様が?」


「ああ。妖怪に襲われて傷を負ったらしい。しばらく入院になるから、北海道からこちらに移動したそうだ」


「わ、わかりましたわ。マオちゃん、申し訳ありませんが、今日はこれで失礼いたしますわね」


「うん、早く行ってあげて」


 なんと、あのお祖母さんが怪我で入院か。


 それはお見舞いに行ってあげた方がいいだろう。


 話を聞いた私は、それほど重大なことと思わず、軽く構えていた。


 が、後にお祖母さんの容態が余り良くないことを知る。


 翌日、登校したレイちゃんは元気がなく、事情を聞いてその理由が分かった。


 お祖母さんは、集中治療室で治療を受けており、面会できなかったそうなのだ。


 それから一週間ほどして病室が移動になり、なんとか面会も可能になる。


 その時、私も同行したが、お祖母さんは眠ったまま目を覚まさない状態だった。


 医師からの説明によると、妖怪の攻撃を受け、深い傷を負ったのが原因だという。


 なんでも、妖怪からの攻撃で重傷を負った場合によく起こる症状らしい。


 霊術師は、本来死んでしまうような傷を受けても、治療が間に合えば、持ち前の霊力を活かしてなんとかなることがある。


 が、妖怪の直接攻撃で受けた傷が原因で瀕死の重傷となった場合は、それが難しくなる。


 妖怪の発する邪悪な気のようなものが傷にまとわりつき、霊気による回復を妨げるのだ。


 結果、意識が戻らない。


 どうしてそうなるかといえば、無意識下で霊力を出して邪悪な気を押し返しているためだと言われている。


 霊気と邪気の拮抗が崩れ、霊気が優勢となって回復力が戻れば、意識も回復する。


 つまり、お祖母さんの傷に付いた邪気が減れば、目覚めるということだ。


 それなら、本人以外の霊術師が霊気を送って、邪気を払えばいいのではないかと思うが、そううまくいかない。


 霊気には指紋のような個性がある。


 それは、属性数や属性の割合だ。


 属性数、得意属性と不得意属性の割合が、他人と完全一致することはありえない。


 それが、他人の霊気を異物と判断してしまう要因となる。


 つまり、邪気を払おうと他人が霊気を送り込めば、容態が悪化してしまう。


 邪気に加え、別の異物の侵入にまで対応しなければならなくなってしまうためだ。


 とはいえ、傷を回復させる霊術も存在はするそうだ。


 ただ、そういった事ができる霊術師は、権力者に囲われている。


 雲上院家は霊術師とのつながりが薄いので、重傷者を回復できるほどの霊術師を手配することはできなかったようだ。


「傷は順調に回復しているらしいし、後は待つしかないね」


 面会が可能になったということは、回復が順調な証拠だ。


 目を覚まさないと聞くと、どうしても心配になるけど……。


「ええ。お祖母様、またお見舞いに来ますので、早く元気になってくださいね」


 レイちゃんが、横になったお祖母さんの手を取って話しかける。


 そんな二人の姿を見ていると、やりどころのない苛立ちが湧き上がってくる。


「お祖母さんに傷を負わせた妖怪が東京にいるなら、すぐに倒しに行くのに……」


 お祖母さんを傷つけた妖怪が野放しになっているのが、気に入らない。


 ここまでされたのだから、きっちりとやり返したいのに。


 だけど、それは難しい。


 さすがに場所が北海道では、簡単に行くことができない。行けたとしても、北海道は広い。


 詳細な情報と、詳しい場所が分からなければ、どうしようもないだろう。


 やりようがないことは理解しているつもりだけど、どうにもモヤッとするんだよね。


「わたくし、我慢できません。北海道へ行って、とっちめてやりますわ!」


 と、急にスイッチが入ったレイちゃんが、病室から出ていこうとする。


 ……しまった。余計なことを言わなければよかった。


 きっと、今までは重傷のお祖母さんの容態が気がかりで、他の事が考えられなかったのだ。


 だけど、お祖母さんが回復してきている今、私が言った一言がきっかけで、レイちゃんに火が付いてしまった。


「レイちゃん、落ち着いて。どうやって相手を探すつもりなの」


「そんなもの、片っ端から倒していけば、その内倒せます!」


「数! 数が多すぎるから!


「ええい、離してくださいマオちゃん! わたくし、やってやりますわ!」


「一人で行ってどうするの!」


 私は興奮するレイちゃんを押さえ、落ち着かせようと試みる。


「……その声は、礼香さんですか?」


「「え」」


 私たちが揉みあいになっていると背後から、か細い声が聞こえた。


 振り返ると、お祖母さんが目を覚まして、虚空を見つめていた。


 お祖母さんは、とてもゆっくりとした動きで頭を傾け、こちらを見る。


「今、妖怪の話をしていましたね?」


 とても小さいが、芯の通った声音で、こちらに尋ねてくる。


「は、はい」


 レイちゃんは、ちょっと動揺しながらも首肯した。


「礼香さん、あれは私の獲物です。手出しすることは許しませんよ」


 そう言ったお祖母さんの雰囲気は強烈なものだった。


 重傷で入院しているということを、一瞬忘れてしまうほどだ。


「……しょ、承知しました」


 強烈な圧を受けたレイちゃんは、反論もままならず、短く返事をするにとどまった。


「分かればいいのです。少し、休みます……」


 そう言うと、お祖母さんは目を閉じた。


 それと入れ替わるようにして、担当医と看護師の二人が飛び込んできた。


 二人は慌てた様子で、私たちに話しかけてきた。


「すまないが、君たちは外に出てくれないか。今、バイタルに変化があったので調べたい」


「ついさっき、少しの間だけ目を覚まされて、会話しました」


 私は、今起きたことを担当医と看護師に告げた。


 それを聞き、二人が目を見開いて驚く。


「……! そうか! これで一安心だな。とにかく、診察したい。悪いが面会はここまでだ」


 と言われ、医師から指示を受けた看護師の方に押し出される形で、病室から追い出されてしまう。


 廊下に放り出され、ぽつんと佇む私たち。


「ま、まあ、お祖母さんが回復したのはいいことじゃん」


「そ、そうですわね。とても喜ばしいことですわ」


 私たちは急な展開にあわあわしつつも、ポジティブに捉えるようと意識を変えた。


「うんうん。もう少しすれば、もっと頻繁にお見舞いに来れるかもしれないしね」


「そうなると良いのですが……」


「大丈夫。きっとそうなるよ」


 心配そうな顔をするレイちゃんの肩に触れ、励ます。


 一般病棟で治療しているわけだし、これから少しずつ良くなっていくは間違いないと思う。



 本日の連続更新はここまでとなります



 というわけで、今話で小学生編は終了となります


 いかがだったでしょうか?


 お楽しみいただけたなら、幸いです


 何より、ここまでお読みいただき、ありがとうございました!


 次回から中学生編に突入します



 面白い、続きが読みたいと思っていただけたなら、


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