表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法教師ロイズ・ロビンは、その距離測定中  作者: 糸のいと
第二章 二人と魔法使いの距離

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

35/104

35話 五学年の作戦会議、フレイルの妨害



「では、作戦会議を始めます」


「出た。この無駄な時間。部屋戻っていいか?」

「Stay、リグト。アイスクリームの無料券10枚よ。これから夏本番、転売は固いわ」

「OK、続けて」


 またもや夜も遅く、ユアは招集をかけた。


「見てみて、フレイルが寝てるよ~♪」


 そして、またもやフレイルは寝ていた。


「フレイルのことは一旦置いておきましょう。今日の議題は、どうやってロイズ先生と距離を詰めていくかよ! 忌憚なきご意見を」


 ユアがメモを片手に、手練れの皆様にお伺いを立てると、リグトはワザとらしく大きなため息をついた。


「面倒だから、とりあえず脱いで迫ってみたら?」

「ひゅ~! リグト、クズいぃ~♪」


 ユアは「えーっと、脱いで迫る……と」とか言いながらメモを取っていた。そんなメモを取ってどうするつもりだろうか。


「夏だしぃ~、海に連れてってもらって水着でドキリ! みたいなのはぁ~?」


 カリラがそう言うと、ユアは「水着でドキリ……と」と、またメモをした。ガリ勉だ。


「そもそもにロイズ・ロビンと研究室以外で会うことあるのか?」


 毎週のようにロイズの家に言っているわけだが、それは秘密のヒミツで置いておいて。


「研究の一貫で、今度ロイズ先生と一泊で人間都市に行く予定があるわ」

「一泊!!?!」


 そこでフレイルがバッチリと目を覚ました。今回は一気に目が覚めたようで、金色の目をガッと見開いてユアに詰め寄った。


「一泊って言ったか!?」

「研究の一貫でね。出張みたいなものよ。ところで男の人はどんな下着が好きなのかしら?」

「下着ぃ!? ヤる気まんまんじゃねぇか!」

「下品なことを言わないで。万が一のためよ、万が一」


 フレイルは焦った。先日のロイズの雰囲気から、万が一は起きないだろうとは思ったが、万が一が万が一にでも起きたら『フレイル終了のお知らせ』だ。


「に、人間都市は一度見てみたかったんだ。俺も行く」

「え? ダメよ。研究の一貫って言ったでしょう? 先生の魔力補充を見学しにいくんだから。遊びじゃないのよ」


 下着がどーのとか言っていた女とは思えない真面目さであった。しかし、フレイルは引かなかった。そりゃそうだ、下着がどーのとか言ってる状況を易々と黙って見過ごせない。


「遊びなわけあるか、これは至って真面目な知識欲だ。ロイズ・ロビンに聞いてみて、あいつが良いって言ったら同行するからな?」

「え」


 ユアは焦った。せっかく二人きりの旅行の予定が、なぜか邪魔者が付いてくると言っているのだ。これは看過できなかった。


「分かったわ。明日、ロイズ先生に聞いておくわね」


 勿論、聞く気なんてサラサラない。聞いたけどダメだったとフレイルに回答すればいいと思ったのだ。悪い女だ。


「……お前、聞く気ねぇだろ?」

「ぎくり」


 フレイルは、お見通しであった。


「バーカ。今から俺が聞くから無駄な抵抗すんなよ? カリラはどうするー?」

「え~どうしようかなぁ。うーん」


 カリラは()()()()()頬に手を当て、それから「行ってみようかなぁ~♪」と答えた。


「りょーかい。リグトはバイトだよな?」

 

 フレイルの問いかけに、リグトは内職の手を止めて「魔力補充の見学か……」と呟いた。


「いや、俺も魔力補充は見てみたい。行く」

「お、珍しい~。おっけー」


 フレイルはそう言うと、魔法陣を描き始めた。


「なにその魔法陣?」

「ショートメッセージが送れる魔法陣。前にさー、通信魔法を使おうとしたらすげぇムズくて。無理だったから、代わりにコレ作った」

「す、すごい。さすが天才型……悔しい!」

「便利そうだな」

「ちょっとコツがいるけどな」


 フレイルはサラサラとメッセージを書いて、魔力を込めてロイズに送った。


「でも、もう夜遅いし、返事も来ないかもしれないし、そしたら私が」

「あ、返事来た」

「早すぎない?」


 フレイルがまた魔力を込めてメッセージを開封すると、文字が浮かび上がってきた。


======

フレイル・フライスへ


人間都市行き三名追加、了解したよ~。みんな勉強熱心で、ロイズ先生はとても嬉しいです。


この魔法、便利だね。フライスが作ったのかな、すごいね! はなまる◎


ロイズ・ロビンより

======


「了解しちゃってるぅ……くっ! はなまる◎ズルい!」

「よっしゃ!」


 こうして人間都市一泊旅行にフレイル、カリラ、リグトの三人も参加することになったのだ。

 



 


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ