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7、エドのステイタス(Dランク)

「黒い壺だと、レアな物が出るのですか?」


 僕は、腕輪のおかげで、話したいことが喋れる。この腕輪は、一昨日に測定した情報も記憶している魔道具だと言っていたよな。


「エドさん、黒い壺だからではありません。それに、その壺には色がありません。水金属が生み出した壺が漆黒に見えるのは、そういうことです」


「真っ黒なのに、色がないんですか?」


「ええ、だから、エドさんの身体には色の変化がないのだと推測できます。その壺は、光のない場所では透明なのだと思いますよ。光がなければ、私達は色を見ることはできませんけどね。こんなことは初めてなので、私はとても興奮しています!」


 彼は確かに、少年のように目をキラキラと輝かせている。僕としては、どう反応すべきかわからない。



「あっ、騒ぎ立ててしまって、申し訳ありません。エドさんの魔力量は、冒険者の下限値でしたね。これまで魔力を帯びた壺に触れてなかったのでしょうか」


「僕は、自分のステイタスを知らないです」


「そうか、冒険者ランクはDランクでしたね。討伐の始まるCランクになると測定がありますが、腕輪は常に計測しています。ご自由にご覧ください」


 どうやって見るのか尋ねようとしたとき、目の前に、文字が浮かんだ。


「あっ、説明を失念しておりました。壺が出現しているときは、思い浮かべてもらえば、リストが表示されます。壺が出現していないときは、腕輪に触れて魔道具を起動してください」


「わかりました」


 目の前に浮かんでいる文字は、どんどん増えていく。ステイタスを見たいんだけどな。



 ────────────────────


【名前】 エド(16歳)

【職業】 冒険者(Dランク)

【スキル】 混ぜ壺(レベル1)[MAX5]


【体力】 1250/1500 [可]

【魔力量】 160/180 [可]


【物理攻撃力】 2000 [可]

【物理防御力】 2100 [可]

【魔法攻撃力】 1900 [可]

【魔法防御力】 2100 [可]

【スピード】 C

【回避能力】 C


【習得魔法属性】火・水・土・風

【特記事項】追放ざまぁ支援局員(レベル1)


 ────────────────────



 ステイタスが表示されたけど、初めて見たから、良いのか悪いのか全くわからない。[可]って、何だよ?



「エドさん、驚かれたでしょう。私達も驚きました。すべての能力値が、冒険者ギルドの下限値なのですよ」


「下限値ということは、僕は、冒険者としては通用しない学生レベルってことですよね」


 腕輪によって普通に話せることで、今まで言われてきたことを、つい口に出してしまう。


「いえ、違いますよ。私は、すべての能力値が冒険者の下限値をクリアしている冒険者は、上位冒険者だという認識でした。エドさんの場合は、飛び抜けて高い数値は無いですが、苦手が無いということなんですよ」


「その下限値は、数字の横の[可]のことですか?」


「はい、数値化されている能力は、優・良・可・不可、それ以外は、A・B・C・Dで、目安を示されています。冒険者ギルドが、冒険者に必要な能力として定める下限値は、可とCです」


「僕は、可とCしかないです」


「ええ、素晴らしいですよ。弱点がありませんから。それに、基本魔法4属性を習得されているのも珍しい。スキルがMAX5だという点にも、私達は驚きました」


「普通のスキル上限は、どれくらいなんですか」


「私のような錬金術師であれば、50から100です。ちなみに私のスキル上限は50ですが」


「じゃあ、僕には、レベル5までの伸びしろしかないのですね。やっぱり外れスキルだ」


 考えたことがポンポンと口から出ていくことに、僕は戸惑っている。人に嫌がられそうだよな。あっ、金髪の派手なメイクの女性があんな話し方をしていたのは、魔道具の影響か。



「エドさん、それは逆ですよ? 上限値が小さい人の方が、早くMAXにたどり着きますし、大きな力を得ることが多いのです。ただ、他の人よりもレベルの上昇が遅い気がして、焦りますけどね。ちなみに私は今、上限に到達したレベル50ですが、レベル100の人より出来ることは多いですよ」


「そうなんですか! じゃあ、僕は……」


「はい。私達が、エドさんを採用することにした最大の理由は、スキルMAX5だったからです。ヤヨイさんも、少し変わったスキル持ちで上限値は小さいです。さすがに5ではありませんが、個人情報なので、これ以上はお話できませんけどね」


 僕を勧誘した金髪の派手なメイクの女性は、もう、この仕事に戻れないんだったよな。アロンさんは、彼女が抜けたことを残念に思っているのかな?


 おっ、疑問に思ったのに、口に出さないこともできる。腕輪の魔道具に少しは慣れてきたのだろうか。



「では、エドさん。初めての仕事に行ってみましょうか。初回は、私が同行しますから、ご安心ください」


「はい、よろしくお願いします」


「あっ、壺は腕輪に収納してください。収納しようと意識すれば、アイテムボックスに入ります」


 彼が話している間に、真っ黒な壺はスッと消えた。僕が指示をしたわけでもない。まだ扱い方がわからないな。




 ◇◇◇



 追放ざまぁ支援局のアロンさんは、僕を冒険者ギルド前の広場に連れて行った。白衣を身につけた人と一緒にいることに、少し抵抗を感じる。


「エドさん、ここが対象者が一番多いのです。魔道具が対象者を示していませんか?」


 僕は、冒険者ギルド前の広場をサーッと見回した。壺を出している人が二人いる。僕と同じ仕事中らしい。これまでなら壺を出している人には気づかなかったが、今の僕の目には、壺がすごく目立って見える。


「壺を持つ人が二人いるのは見つけましたが、対象者がわかりません」


「当局の局員は、互いに感知できますからね。また、パーティ追放後の再加入禁止期間を考慮して、他の局員がサービスを提供した人は20日間は再びサービスを受けることができないため、魔道具が対象者から外しています。それでも対象者は、それなりに居ると思うのですが……あっ、エドさんの壺は特殊だからか」


 彼は説明しながら、勝手に自己完結している。


「僕の壺は、対象者を発見できないのですか」


「いえ、違います。レアな物を受け取るに相応しい人にしか、反応しないのだと考えられます」


「ズルをする人は、対象者ではないのか……」


「おそらく、深刻な悩みを持ち、本当に苦しんでいる人にしか、反応しないのだと思います。エドさん、少し歩きましょうか」


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