表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

7/8

第7話

恭子は生物学のノートを開き、真剣な表情で教授の説明に耳を傾ける。

「哺乳類の胎生の特徴は……」


教授が黒板に図を描きながら解説する。恭子はノートに重要なポイントを丁寧に書き留めつつ、視線の端で教授の動きや声のトーンを観察する。教授は恭子に見られていることを意識してか、普段より少し動きが硬く、説明の仕方もわずかに慎重になっている。


「……隣の男子ではなく、彼女が私を見ている……」


心の中で微かな優越感を覚えつつ、教授は黒板に目を向け、説明を続ける。


恭子はその微妙な変化を感じ取り、心の中で小さく微笑む。授業内容をきちんと理解しながらも、教授の様子を観察する。この「学びながら観察する時間」が、彼女にとって小さな楽しみだった。



---


授業が終わると、恭子は立ち上がり、荷物をまとめる。隣の優子が声をかける。

「今日も先生と目が合ったんだね、恭子」


恭子は微かに頷く。

「……うん」


その時、藤堂和志が近づいてきた。少し躊躇いながら声をかける。

「ねえ、今日の授業終わったけど、お昼、一緒にどう?話したいこともあるし」


恭子は淡々と答える。

「……ごめんなさい、今日は遠慮しておきます」


藤堂は残念そうに肩を落とし、少し笑った。

「……じゃあ、また時間あるとき」


そう告げ、藤堂は去っていった。


優子は軽く恭子の肩を小突いて言う。

「あれは、藤堂くん、恭子に気があるよ!少しはときめかないの?」


恭子は微かに笑いながら答える。

「興味ないな…私は教授だけだから」


優子は眉をひそめ、少し首を傾げて言う。

「はぁ、やっぱりね。私が見るところ、教授の方もあんたに興味があるように見えたけどね。今日の授業でも恭子のこと、何回も見てたじゃん」


恭子は頬を赤らめ、微笑む。

「そうかな?」


優子はさらに真剣な目で続ける。

「もうさ、ストーキングとかやめなよ。お互い好意あるなら無駄な行為だよ」


恭子は小さく息を吐き、頷く。

「…うん、次は話しかけてみようかな」


その意外な答えに優子は目を輝かせ、両手を合わせて喜ぶ。

「そうそう!それで良いんだよ!」


二人は教室を後にし、柔らかい午後の日差しが差し込む廊下を歩きながら、微笑みを交わすのだった。



---


授業中も、恭子は教授を観察しながら学び、少しずつ心の距離を縮めています。

次回は、恭子がいよいよ教授に少しだけ話しかける瞬間を描く予定です。お楽しみに!


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ