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58、ジュリ、私室でゴロゴロする

「へぇ、キングシルバーも、協力してくれたのかい。キララは、キングにも依頼できるんだね」


 オバサンが驚いた顔をしてる。キングシルバーさんは、いつもこの家にいるんだけどな。アルくんも驚いているみたい。キングシルバーさんの正体を覚えている人間は、私だけなのね。


『村長さん、ボクが依頼したわけじゃないよ。キングシルバーが、ボクの作戦の欠点を補ってくれたみたいだ。ボクは、ジュリちゃんとアルが、大型船に乗ったように見せたかったんだけど、別の可能性を連想させたみたい』


「小島を探し回っているって言ってたね?」


『うん、そうだよ。確かに大型船に乗ったと思わせても、船の中を徹底的に探されたら、居ないことがバレてしまう。だから、大型船に乗ったと見せかけて、ボクの転移魔法で、中継地の小島に行ったと思わせたみたいだよ』


「キングシルバーが、分身を使って、転移跡を偽装したってことかい。キングシルバーなら、海底にある地下水脈にも入れるから、戻る転移には気付かれないだろうね」


(へぇ、すごい!)


 イケメンさんが、朝まで海岸の見張りをしていたというのは、その分身を操作していたのかな。



『昨夜、アルを狙って来た大陸のスライムは、50以上いたみたいだ。船の中から降りないスライムもいたと思うから、実際は、もっと多いだろうね。この島に残っている個体もいるから、まだ安心はできない』


 キララはそう言うと、海辺のスライムの方に視線を移した。


「先程、昨夜遅くから今朝までの動きのサーチを終えました。黄の王国の大型船で来た人間は、皆、船着場の小島にある宿に宿泊していたので、この島に来た個体は3体だということが把握できています」


(宿があるの?)


「小島には、宿があるのですか?」


 アルくんが、私の疑問を代弁してくれた。


「日が暮れると、小島からこの島に渡るのは危険なんだよ。潮の加減で、珊瑚礁が海面にむき出しになる場所もあるからね」


 オバサンが、すかさず疑問を解消してくれた。引き潮になると、ボートでも島には近寄れないのね。


「潮って何ですか?」


「は? えーっと、海の水の量が変わるんだよ」


「へぇ、不思議ですね。スライム神のチカラなのかな」


「そうだろうね」


(いや、引力だよ?)


 私は口を開きそうになったけど、やめた。今は、そんなことはどうでもいい。



『その3体の大陸のスライムは、居場所はわかる?』


「はい、転移魔法を使って頻繁に居場所を変えていますが、追跡はできています」


『ボクは、この島に居ないフリをしなきゃいけないから、大陸のスライムの動向調査はお願いね。ジュリちゃんとアルがこの島に居ないことを確認するために残したんだろうから、そんなに長くは滞在しないと思うよ』


「アルがいつも行く集落の近くには、1体が張り付いて監視しています。残り2体は、泉や大きなスライムの草原、そして黄の集落と緑の集落を探しているようです」


(まるで探偵だわ)


 私やアルくんの行動パターンがバレてる。



「ジュリとアルは、今日は家から出ちゃいけないよ。水汲みは、私が行こうかね」


「俺達が、村長の水汲みの護衛をしますよ。しかし、家の中に居ても、安心とは言えない気もしますが」


 海辺のスライム達が、5人とも、私の方を見た。あっ、アルくんは、紫色の髪色にしてるけど、私は白い髪だからかな。泉の水玉模様のスライムは、まだ寝てるよね。


『アルは、髪色を変えていれば、家の中なら安心だよ。外に出ると、スライムが頭に乗っていることがバレるから、窓の近くに立つのもダメだよ』


(アルくんのことだけ?)



「キララ、ジュリは大丈夫なのかい? 白い髪だよ。ジュリ、水玉模様のスライムは、どうしたんだい?」


「あの子は、まだ寝てると思うよ」


「すぐに起こして来な」


『村長、その必要はないよ。家の外からサーチをしたらわかる。ジュリちゃんには人間の反応がないんだ』


(えっ? 私、死んでるの?)


 私より、オバサンの方が驚いた顔をしている。


「どういうことだい? まさかジュリは、寄生スライムに入り込まれたのかい」


『いや、違うよ。ジュリちゃんは、サーチ魔法を使うと、人化したスライムに見えるはずだ。ピンクスライムの状態異常魔法・幻惑が、常時発動しているからね』


 キララがそう言って、海辺のスライムに視線を移すと、5人とも同時に頷いた。


「確かに、人間の反応はなかった。ジュリさんの部屋には、小柄な人化したスライムがいると思いましたよ」


(既に実験済みなのね)



「あっ、だから、ネイルが取れてたのね」


『そういうことだよ。ずっと発動していたから取れたんだ。銀ラメも取れてたでしょ? 突然の襲撃に備えて、盾が自動発動できるようになってたんだと思うよ』


「へぇ、全然、気づかなかったよ」


『ふふっ、ジュリちゃんは、ベッドの上で変な体勢で寝てたもんね』


「えっ……あー、あはは。もしかして、布団の中に入れてくれたのって、キララ?」


『そうだよ。あんな体勢で寝てたら、絶対に熱を出すでしょ。泉のスライム達は、ジュリちゃんが起きないかとジッと待っていたみたいだけど』


(ひぇー、恥ずかしい)


 前世の記憶は戻っても、身体は8歳児なのよね。



 ◇◇◇



 私は夕方まで、私室でスライム達とおしゃべりをして過ごした。というか、昼寝をしながら、スライム達のおしゃべりを聞いていた感じかな。


 アルくんは食堂で、オバサンの手伝いをしていたみたい。いつもとは違う行動をする方がいいとキララが言ったから、そうやって過ごした。


 海辺のスライム達との話の後、クローズしたけど、キララはずっと警戒していたみたい。全然休めてないから、ちょっと心配。




『ジュリちゃん、知らない人間が来たよ』


 ベッドでゴロゴロしていると、水玉模様のスライムが、私のお腹に乗ってきて、ポヨンポヨンと跳ねて、私を起こそうとしてる。


「知らない人間? この家に来たの?」


『うん、3人も来たよ。あっ、漁師の人間と喋ってる』


「漁師って、ロックスさんかな。赤い髪の人?」


『そうだよ。青い髪の人間も喋った。あ、髪の毛のない人間も喋ってる』


「漁師みんなが食堂にいるの?」


『うん。海辺のスライムも来たよ。アタイに、まだ居たのかって言ってる。あっ、帰った。よかった〜』


「ん? 私が外に出ちゃいけないから、帰れないよね」


『アタイ達は、キララがいなくても、窓から出て帰れるけどね』


(確かにそうね)



「ジュリ! 晩ごはんにするよ。食堂においで」


 オバサンの大きな声が聞こえてきた。



皆様、いつもありがとうございます♪

月曜日お休み。

次回は、10月28日(火)に更新予定です。

よろしくお願いします。

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