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50、赤の村長は知らないことが多すぎる

 私が赤の村長さんと話している間、オバサンはずっと呆然としてた。8歳の少女が語る話ではない。それに、私に前世の記憶が完璧に戻っているとは、言ってなかったもんね。


 そして赤の村長さんも、別の意味で呆然としてる。ここまでは私が論破した形だから、こんなことを言われるとは予想してなくて、驚いているのかも。


 前世の私は、高校生の頃、ディベート大会への出場経験がある。討議は、わりと得意なのよね。


(さて、ここからが本番ね)


 赤の村長さんは、どう反論してくるかな。それをすべて返り討ちにしなきゃ、成功とは言えない。


 スライム神から聞いた話はできないし、キングシルバーさんからの情報も、キララから聞いた話も、秘密にしなきゃいけないことがある。だから、私が直接体験したことをベースにして話す方がいいかな。


 最終目標は、この島では人間同士の戦乱を起こさせないこと。そして可能なら、黄の集落との仲直りかな。それに、何者かがアルくんを狙っているみたいだから、その辺りの情報も入手したい。


(くぅ〜、責任重大だよー)


 私は、なぜだかワクワクしている。久しぶりのディベートだからかな? 前世の感覚が戻ってからもずっと8歳の子供のフリをしていたストレスが溜まっていたのかも。



「ジュリさん、あの……」


(来た! 反撃ね)


「はい、何でしょうか」


「あの……申し訳ない。ワシが傲慢になっていた。いや、卑屈になっていたという方が正しいか。ジュリさんの言う通りだ。白い髪の噂には、疑いを持つ者もいた。だが、ワシは、すべてを青の王国の責任にすることで、被害者ヅラをしていたのかもしれない。醜い老人の姿は、ワシの醜い心の表れであろう」


(あれ? 反論しないの?)


 思いっきり迎撃態勢に入っていた私は、肩透かしを食らった気分だった。隣にいるイケメンさんが、ククッと笑った声が漏れ聞こえた。


 赤の村長さんは、イケメンさんをキッと睨んだけど、何も言わない。自分が笑われたと感じたみたい。イケメンさんは、私がガックリしたから、笑ったんだと思うよ。




「赤の村長さん、さっきの話に戻しますが、スライムに寄生された人間が隠れていて罠に掛からないという件は、事実ですか? 貴方の物質スライムの能力を使えば、簡単に発見できると思いますけど」


「えっ? あ、あぁ。嘘ではない。人間かスライムかわからない個体が入り込んでいる。思念サーチが効かない。だが、素早く居場所を変えるのか、捕まえられないのだ」


(そんなに素早く動くの?)


 スライムに寄生された人間は、海辺の集落にもいた。あの時は私はまだ7歳だったけど、見た目ではスライムは居ないと思った。つまり、寄生されているだけの人間よね?


「なぜ、青の王国の王家の血を引く者、という話に繋がるのですか。器を乗り替えると言っていたけど、寄生された人間が死んでしまっても、寄生したスライムは長く動いていますよね?」


「なっ? ジュリさんは奴らを知っているのか」


「海辺の集落にもいたみたいです。赤の王国からの大型船で、人化した大陸のスライムが持ち込んだらしいですけど」


「大陸の人化するスライム? スライムに寄生された人間は、大型船が来るたびに、何人かは島に入ってくる。大陸の人化したスライムの件は聞いてないが、スライム神の島に来るのか?」


(知らないの?)


 オバサンが反論しようとしたけど、イケメンさんがシーッと合図してる。私が喋るべきなのね。



「私の前世の記憶が戻る前のことですが、大きなスライムの草原にいたら、大陸から来た人化するスライムが私達を捕まえに来たことがあるんです。たぶん、一緒にいた青の王国の子の方を狙ってたみたいです。キングパープルさん達が、私達を守ってくれましたが」


「えっ? そんな話は知らない。その人化するスライムの種類はわかるか?」


「白いスライムさんが、レッドスライムと呼んでいたし、赤い髪の人間に化けていたから、それが種族名だと思います」


「何だと? 大陸のレッドスライムといえば、赤の王国にいるスライムじゃないか! 非常に協力的で信頼できる種族だぞ」


「赤い髪の人化したスライムは、青の王国の王家の血を引く子は、生かしておけないって言ってました。我々への反逆国だとか、強いダークスライムを生むとか、変なことも言ってましたけどね」


「は? 青の王国は、赤の王国とは敵対関係にはなかった。我々への反逆国とは、どういうことだ?」


「人化するスライムに反逆する国ってことなのかな? 強いダークスライムが生まれると、人化したスライムが困るのだと感じましたよ」


 私がここまで話すと、赤の村長さんは、ワナワナと震え始めた。怒ってるのか怯えてるのか、よくわからない。



「ロバーツ、その人間かスライムかわからない者を見つけ出すために、青い髪の子を使えばいいと教えたのは、スライムなんだね?」


 オバサンがそう尋ねると、赤の村長は、力なく頷いた。


「赤い髪の人化したスライムからの提案だ。この島のスライムだと思っていたが、そういえばワシの物質スライムが、少し違和感があると言っていたな」


(気づいてなかったのね)


「海辺の集落に長いこと居たくせに、なぜわからないんだい? こないだも大陸から、おかしなグリーンスライムが襲撃して来たよ。アレは、緑の帝国が人体実験をして創り出したスライム兵器だろうね」


 オバサンは、改造スライムだと気づいてたのね。海辺の人化するスライムから聞いたのかな。


「ワシは、そんな話は、何も聞いていない……」


「アンタが、引きこもっているからだろ。元王国騎士団長なら、シャキッとしな! 大陸のスライムなんかに騙されてるんじゃないよ!」


「あ、あぁ……すまない」


 赤の村長さんは、ヨボヨボな老人みたいに、しょんぼりしてる。オバサンより若いって言ってたのに、完全にお爺さんだね。




「ジュリちゃん、キララを連れて、集落をお散歩しようよ〜。きっとキララなら、隠れている個体を見つけられるよ〜」


 イケメンさんが、スッと立ち上がった。だけど、キララはちょっと動揺してるかも。転移魔法と阻害魔法は得意だけど、サーチはそこまでじゃないと思う。


(あっ、イケメンさんが探すのね)


 そう気づいて、彼に視線を向けると、イケメンさんは楽しそうに微笑んでいた。


「そうだね。赤の村長さんも一緒に散歩しましょう」



皆様、いつも読みに来てくださってありがとうございます♪

おかげさまで毎日更新50話達成できました!

アリ(´・ω・)(´_ _)ガト♪


投稿前には、本作はかなり書き溜めストックがあったのですが、秋(いやまだ夏?)のお天気不調のせいでジワジワと減り、こんなはずでは……に陥っております(ノ;・ω・)ノ

本作は30万字前後での完結を予定している(数万字くらい前後する可能性あり)ので、最後まで毎日更新するつもりでしたが、継続するために更新頻度を変えさせてください。ごめんなさい。


来週より、月曜日お休み。

火曜から日曜の週6回更新に変更させていただきたいと考えています。どうぞ、よろしくお願いします。

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