43、ブレスレットが2連になったよ
「あれ? 4色集めたのに……」
青の王国の王様の映像が消えた後、大きなスライム達が協力してくれて、4つの色が集まった。だけど、チェーンブレスレットは、2連になってしまって、1連目には、石は2つしか増えてない。残りの2つは2連目の方にハマってる。
「ふむ。ジュリの物質スライムが集める色には、何かの法則がありそうだな。二つ目の腕輪にハマっている石は、いずれも、普通のスライムの石だ」
お爺さんの姿をしたスライム神は、興味深そうに私のチェーンブレスレットを眺めている。
「全部、大きなスライムから色をもらったのに?」
「人化するスライムは、大きいからな。おそらく、一つ目の腕輪にハマっている石は、どれも魔力の高いスライムのものだ。まぁ、この島には魔力の高いスライムはたくさんいるから、行ったことのない場所で集めると良いじゃろ」
(魔力か……)
私は、リストを出してみた。
『マニキュアリスト』
《1連目》
【ベースコート】
●爪の表面の保護のために塗る下地。
●スライム神の通常バリアが常時発動する。
【銀ラメ:Lv.1】
●無色透明、銀色のラメ入り。
●キングシルバーの盾。
【紫:Lv.1】
●マットな紫色。
●キングパープルの微毒、毒耐性・弱。
【白:Lv.1】
●クリアな白色。
●クリアスライムの毒消し・弱。
【赤:Lv.1】
●鮮やかな赤色。
●レッドスライムの火魔法・弱。
【黄:Lv.1】
●やわらかな黄色。
●イエロースライムの土魔法・弱。
【青:Lv.1】
●爽やかな青色。
●ブルースライムの水魔法・弱。
【緑:Lv.1】
●明るい緑色。
●グリーンスライムの風魔法・弱。
【ピンク:Lv.1】 New!
●かわいい桜色。
●ピンクスライムの状態異常魔法・魅了。
【水:Lv.1】 New!
●澄んだ無色透明。
●ウォータースライムの浄水魔法・弱。
《2連目》
【チェリーレッド】 New!
●さくらんぼ色、柔らかな赤色。
●火魔法の補助。
【イエローオレンジ】 New!
●黄色みのあるオレンジ色。
●結界魔法の補助。
2連目ができたからか、新着マークが増えてる。1連目はベースコート以外はレベルがあるけど、2連目はない。それに2連目の名前は、より具体的になってる。
「ジュリ、今夜はもう遅い。明日から、また集めればいいさ。みんな、帰るよ」
オバサンにそう言われて、私達はスライム神の祠のある洞穴から出て、オバサンの家に戻った。スライム達は、スライム神と話をするみたい。たぶん、私達が邪魔だったのだと思う。
「ジュリちゃん、明日は、他の集落に行くの〜? アタシ、黄の集落の工芸品を見に行きたいな〜」
(あれ?)
銀色の髪の超絶すぎるイケメンまで、家に戻ってきてる。もしかして、まだ人間のフリができているの? あっ、海辺のスライム達には、どこかのキングだと思われてるんだっけ。でも、キングパープルさん達には素性はバレてるのに。
「イケメン、ジュリは色を集めるんだろ? それなら、今までに行ったことのない集落に行くんじゃないかい?」
「アタシ、野蛮な人間は嫌いなのよ〜」
(いやいや……)
キングシルバーさんが戦闘狂だってことは、わかってるんだからね。アルくんがいるから、言えないけど。あっ、そっか。オバサンもまだ、彼の素性を知らないんだっけ。
誰が誰に秘密にしてるとか、ちょっと混乱してしまう。だけど、キングシルバーさんは、一部のスライム達からは嫌われているらしいから、言いたくても言えないんだよね。
◇◆◇◆◇
「スライム神、ジュリは、青の王国の最後の王と同じ世界からの転生者なのですね」
ジュリ達が帰った後、大きな青いスライムが、人間の姿をしたスライム神に尋ねた。
「あぁ、そのようだね。だが、ジュリ自身は魔法は使えない。だから、同じ過ちを繰り返すことはないじゃろ。もう一人、今、山の中の集落にいる子も同じ世界からの転生者だ。しかし、あの子が協力できるようになるまでは、大陸は持たないじゃろうな」
「大陸のダークスライムの増殖は、予想を超えていますからね。ということは、ジュリが失敗すると……」
「うむ。今、カールが大陸にいるが、やはり難しいようじゃ。アルとジュリが、大陸を鎮められないようなら、大陸に住む人間は、残念だが滅ぼさねばならない。ワシがダークスライムだけを討っても、より強いダークスライムが生まれるだけだからのぅ」
スライム神は、深いため息を吐くと、地面に視線を落としていた。
「人間達を滅ぼしても、主人を失った物質スライムは残る。キングシルバーが、物質スライムを操って反逆する可能性はありませんか?」
黄緑色の大きなスライムが、スライム神にそう尋ねた。人間を嫌い、ジュリにも色を渡さなかった個体だ。
「この島にいるスライム同士も、仲が悪くなってきたのかのぅ。キングシルバーの性格の問題かもしれぬが、反逆心はないじゃろ。まぁ、愛玩動物の好き嫌いは良いとして、あまり敵対するでないぞ?」
「ですが、キングシルバーは、この島にいるスライム達の中では圧倒的な強者。最近は、海底で見かけないのも不気味です。大陸に行ったのではありませんか? 人間達の戦乱を先導している可能性もありそうです」
「む? キングシルバーなら、島におるぞ」
スライム神は、さすがに、今ここにいたとは言えない様子。キングシルバーの素性を知るスライム達に視線を向ける。
「確かに、キングシルバーなら、この島にいる。最近は、海底ではなく、島の中をウロウロしているようだ」
キングパープルがそう言うと、黄緑色の大きなスライムは、プルンと震えた。少し怯えた表情をしている。
「キングシルバーは、島の中で、一体、何をしているのでしょうか。あんな巨体は、近くにいればすぐに気付くはずですが」
「さぁな。キングシルバーは、身体の分割も自由にできる。子供のフリでも可能だからな。何の偏見も持たない子供達と遊んでいるんじゃないか?」
キングパープルの言葉には、黄緑色のスライムに対する嫌味が込められていたが、キングシルバーを敵視するスライム達は気づかない。
「おぬしらも、それぞれの持ち場に帰るのじゃ。アルとジュリに、出来る限り協力してやってくれ。ワシとしても、大陸に住む大勢の人間達を滅ぼしたくはない」
スライム神の言葉に、スライム達は、プルプルと震えて了承した。だが、人間嫌いなスライム達には、人間に協力する気など微塵もないようだった。




