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41、青の王国の亡き王からのメッセージ

「私の国を示す石は、青色じゃないよ」


 アルくんと兄妹だという可能性は消えちゃったな。彼はそれを確かめたかったんだと思うけど。


「俺の石が、今までにないほど光ってるんだ。これは、一体どういうことなんだろう? それに、何だかジュリちゃんの話し方が、大人になってる」


(あっ! 失敗した)


 アルくんは、私の前世の記憶がすべて戻ったことを知らないんだった。



「ジュリちゃんは、この場所では前世の感覚に近くなるんじゃないかな〜。ここは、スライム神の祠だからね〜。その石が輝いてるのは、魔法陣の魔力を吸収したからだと思うよ〜」


 銀色の髪の超絶すぎるイケメンは、アルくんにそう説明してくれたけど、たぶんちょっと嘘が混ざってる。魔法陣の光は、アルくんに吸い込まれてないもの。


 スライム神の方に視線を移すと、皆が静かになるのを待っている気がした。大きなスライム達が、念話でしゃべっているみたい。



「ふむ。まずは、アルが疑問に思っていることの答え合わせをしようかのぅ。アルが持つ石は、アルの親から託された物じゃな?」


「うん、そうだけど……」


「アルは、青の王国を復興することが、自分の使命だと思っているだろう? その青い石は、アルの心に反応しているのじゃ。すなわち、ジュリが受け取った石の持つ魔力に反応したとも言える」


(難しい言い方ね)


 アルくんは必死に理解しようとしてるけど、前世の記憶のある私にも、スライム神が何を言いたいのか、イマイチわからない。だけど、私に関係があることは明らかね。


「爺ちゃん、話がわからないよ」


「ホッホッ、そうじゃな。ジュリも、ワシが何を言いたいのかわからないみたいだ。スライム達は、理解しておるようじゃが」


 大きなスライム達は、プルプルと震えて、頷いているみたい。まずは、スライムに説明したのね。



「お爺さん、私の石は光ってないよ」


「ふむ。その布袋は、干渉を遮断するものじゃからな。布袋から出すと、ジュリの出生がわかる。少し抵抗があるかのぅ?」


 赤い石ってことは、赤の王国の生まれだということよね? 大きなスライム達は、それを知っているのかな。


「布袋から、出してみる」


 私がそう宣言すると、スライム神はニッコリと微笑んだけど、少し怖い笑顔。覚悟を決めなさいと言われているような気がする。


 布袋に手を入れて、赤い石を掴んでみた。だけど、別に何も起こらない。そのまま、そーっと外に出してみた。



「あっ! 赤い。ジュリちゃんは、赤の王国の生まれなのか。あれ? ええっ!?」


 私の赤い石は、別に何の変化もないけど、アルくんが持つ青い石が、激しく点滅するようにピカピカしてる。その変化に、アルくんも驚いているみたい。


(わっ?)


 青い石は、アルくんの手から離れて、空中に浮かんだ。そして何もない空間に、白い髪のオジサンの姿が映し出された。


「彼は、青の王国の最後の王だよ。どうして……」


 オバサンも、すごく驚いているみたい。




『ここに3つの王家の血を引く者が集まったのだな。集まったすべての人間が白い髪であることを願う。だが、私の子孫には白い髪は生まれないだろう』


 何だか映画みたい。この映像の発動条件は、3つの王家の血を引く者が集まるということ? 私も王族だと言われたけど、オバサンも王族なのね。あっ、王族の定義がわからないから、血を引くだけかもしれないけど。


 私は映像に抵抗はなかったけど、スライム達も、オバサンもアルくんも、まるでオバケを見るような顔をしてる。


 スライム神とキングシルバーは、こうなることがわかっていたみたい。静かに、映像に視線を向けている。


『人間の大陸には、4つの大国が必要だ。だが、人間の悪しき心から生まれたダークスライムによって、その力関係が大きく狂ってしまった。私は、ダークスライムを滅ぼし、大陸から人化するスライムを追い出そうとした。私は自分を過大評価していた。その結果、私の側近達は次々とダークスライムに飲み込まれ、国全体が潰される結果となった』


 映像に映る男性が激しく後悔していることが伝わってくる。白い髪は転生者の証。彼には前世の記憶があるから、自分で何とかできると考えたのね。


『緑の帝国は、国を統べる者がコロコロと変わり始めた。力のある者が、帝王となるためだ。白い髪の者の前世の記憶を利用して、スライムを狩り始めたのも帝国だ。だから、ダークスライムが生まれたのだと思う。この世界は、スライムが統べている。人間は覇者にはなれないのだ』


 この映像は、遺言なのかな。アルくんは驚いて固まっているし、スライム達は興味深そうに話に耳を傾けている。


『白い髪の者は、異世界からの転生者だ。そして、この世界が転生者を受け入れている理由は、人間の暴走を止めるために必要だからだ。私は、自分一人で変えられると過信していた。王家に生まれる白い髪の者は、魔法を扱える可能性がある。私も可能だった。だが、ダークスライムは、私を上回る存在となってしまった』


 私は魔法なんて使えないけど、物質スライムが使えるもんね。青の王国の最後の王様には、スライム神の加護は与えられていない。彼は人間なのに魔法が使えたのね。


『今ここに集まる3つの王家の血を引く者達に、愚かな私からの願いだ。協力してダークスライムを滅ぼしてくれ。そのためには、白い髪の者が必要だ。キミ達の中に白い髪の者がいないなら、探してくれ。黄の王国の王族には、ダークスライムの移動を阻むチカラがある。赤の王国の王族には、ダークスライムを討つチカラがあるはずだ。そして、私の子孫には高い統率力があるだろう。互いに協力し、大陸を正常化してくれ』


 映像は、ここまでね。まだ最後の王様の姿は映し出されているけど、静止画像のように動きが止まった。



「ふむ。青の王国の王によるメッセージが記録されていたようじゃな。ジュリだけが平気な顔をしているのは、このような技術を知っているためか」


「立体的なホログラムみたいだと思いました。3色の石が集まったから、発動したのかな」


「なるほどのぅ。まだまだワシの知らないモノは多い。ふむ、二人は呆然としているが、今、青の王国の王が伝えた通りだ。王家に生まれた白い髪の者には、大陸を正常化する使命がある。このままだと、スライム神が、すべての人間を消し去ることになるからな」


(変な言い方ね)


 スライム神がって、まるで他人事みたいに……。やはり、お爺さんの素性はアルくんには秘密なのね。


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