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35、銀髪のイケメン

「あれ? ジュリちゃん、泉だよ〜。海辺の集落に帰るんじゃないの〜?」


 大きなスライムの草原で、オープンすると、キララはカゴの姿で現れた。私がカゴの中に入ると、泉から一緒に来てしまったスライム達も、キララのカゴに入って来る。


 そして、銀色の髪の超絶すぎるイケメンがカゴに入って来るのを待って、キララは泉へと転移したよ。



「水汲みをしてから戻るんだよ」


「ふぅん、スライム達を送り届けただけかと思ったよ〜。しかし、すごく懐いてるよね〜。スライムの子供は人間を避けるんだけどな〜」


(何を今さら……)


「キングシルバーさん、さっき、私がここでスライム達と遊んでたのを見てたでしょ?」


「ジュリちゃん、そのキングシルバーという呼び名は、やめようよ〜。すごくダサいから嫌なんだ〜」


(ダサいの?)


 銀色の髪の超絶すぎるイケメンは、やたらと髪型を気にしているみたい。泉に映る自分の姿を、角度を変えて眺めている。ちょっとナルシストなのかも。


「じゃあ、何と呼べばいいの?」


「そうだな〜。カッコいいお兄さんとか、素敵なお兄さんとか……あっ、ジュリちゃんが考えてるイケメンって、どういう意味なの〜?」


「イケメンは、イケてるメンズってことかな? カッコいい男の人のことだよ。よし、水汲みできた」


 水汲みバケツを持って、キララのカゴに戻ったのに、超絶すぎるイケメンは、泉の前から動かない。


「ジュリちゃん! アタシのことは、イケメンって呼んでくれる〜?」


「うん、いいけど……」


「わぁい、嬉しいな〜。アタシ、異世界の子にカッコいいって思ってもらえたんだね〜。髪型はキマらないんだけど、それが逆に良いのかな〜?」


 泉の近くで、くるくると回っている超絶すぎるイケメン。なんだかマイペースすぎるスライムね。



「イケメンさん、キララのカゴに入らないなら触れてください。じゃないと、キララが運べないよ」


「はいはーい」


 超絶すぎるイケメンは、スッと移動して、キララのカゴの中に入った。アタシって言ってるから、てっきり女の人かと思ってたけど……。




 ◇◇◇



「ちょっと、ジュリ! そのお兄さんは、どこで拾ってきたんだい?」


 いつものようにオバサンの家の中に転移すると、オバサンは、驚いた顔で叫んだ。


「えっと、泉で……」


「ジュリちゃん、アタシから自己紹介するよ〜。ジュリちゃんの友達のイケメンだよ〜。海辺の村長のごはんが美味しいって聞いたから、キララに連れて来てもらったんだ〜」


 超絶すぎるイケメンスマイルに、オバサンは少しクラクラしてるみたい。何だか頬が赤くなってる。


 私は、汲んできた水を、水を溜めてある樽に移し、キララをクローズした。



「私は、大した料理は作れないよ? しかし、珍しい髪色だね。光の加減かな。薄い黄色なのかい?」


「アタシは、黄の集落の人間じゃないよ〜」


「そうかい。イケメン、そっちで手を洗いな。ジュリ、手洗いの使い方を教えてあげてくれるかい。ここの設備は、山の中の集落と同じで、ちょっと特殊だからね」


「はーい、わかったの」


 オバサンは、彼がスライムだと気づいてないみたい。海辺の集落の人化するスライムが家に入ってくると、いつもすぐに文句を言うもんね。




 ◇◇◇



「村長、色とりどりだね〜。いただきます〜」


「どうぞ。好きに食べていっておくれ」


 今日の昼ごはんは、何だか豪華だよ。


 最近、アルくんは、お弁当を持って出掛けるから、昼ごはんには戻ってこない。どこかで剣の練習をしてるみたい。



 私の昼ごはんが終わって食後の果物を食べていると、漁が終わったロックスさんが、青い髪のオジサンを連れて戻って来た。


「村長さん、昼ごはんは……えっ? 誰?」


(驚くよね)


 ロックスさんは、まるで魔物に遭遇したかのように、ピタリと動きを止めた。冒険者だから、キングシルバーさんがヤバそうってことがわかるのかも。



「こんにちは〜! アタシは、ジュリちゃんの友達のイケメンだよ〜。キミはロックスかな? よろしくね〜」


「えっ? ジュリちゃんの友達? 俺より年上ですよね?」


「年上だよ〜。ジュリちゃんとは泉で会ったんだ〜」


「あっ、俺も、ジュリちゃんとは泉で会ったけど……また、俺の魔道具が誤作動を起こしてるな。イケメンさんが人間かスライムかわからない。銀色の髪の人には、初めて会いましたよ」


「ロックスは不思議な魔道具を持ってるんだね〜」


(ごまかした?)


 キングシルバーさんは、スライムだということを隠したいのかな? でも、オバサンは物質スライムを二つ持ってるから、調べようとすればすぐにわかるはず。



「銀髪の人は、小島にいる。珊瑚礁の影響らしい」


 青い髪の漁師のオジサンが、静かにそう説明したけど、オバサンも綺麗な盾の物質スライムを持ってるから、わかるはずだよね?


 泉で、キングシルバーさんは、同じ色の髪の人間はいないと言ってたっけ。小島にいるのは、人化したスライムなのかな。



『ジュリちゃん、イケメンの素性は秘密なんだって。村長やオジサンの物質スライムは気づいているけど、言っちゃダメって口止めされてるよ』


(えっ? キララ、どうして?)


『キングシルバーは、人間のフリをする必要があるみたいだ。スライム神に次ぐ高い能力を持ってるから、人化したスライムには、素性はバレないんだよ』


(ふぅん、よくわかんないけど、内緒なんだね)


 私とキララのやり取りも、銀色の髪の超絶すぎるイケメンは、聞こえているみたい。料理を選ぶフリをして、話が終わるのを待っていた気がする。




「村長さん、アタシ、しばらくここにいても良いかな〜。村長さんの他の料理も食べてみたいな〜」


(なんですと?)


「ちょっと、イケメン? 何を言ってるんだい? ここって、私の家かい?」


「うん。アタシにできることなら、お手伝いするからさ〜。黄の集落の蒸し物も気になってるんだよね〜」


 超絶すぎるイケメンに顔を覗き込まれて、オバサンの頬がすっごく赤くなってる。


「まぁ、部屋は空いているけどさ。イケメンは、家事は何ができるんだい?」


「やったぁ〜! 嬉しいな。アタシにできる家事は……水汲み?」


「ちょっと、イケメンさん! それは、私の仕事だよ」


 私が抗議すると、超絶すぎるイケメンは、ケラケラと楽しそうに笑った。からかわれてるみたいで、嫌な感じー。



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