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稽古場の覚悟人

どう勝ちたい

どこまで勝ちたい

どうして勝ちたい

配点(覚悟)

「はいはい!ダッシュダアアアッシュ!!」

「だああああ!!」

「キツイ……」

「うぇっぷ」


俺の合図でダッシュをする5人。


楽しい練習は昨日までですよ。


今日から地獄を見てもらいますよ!


「はい3、2、1!」


2の時点で喜美と織火が。


1の時点で沙耶とイリヤが駆け込んできた。


「咲、もう1回だ!」

「ちっくしょう!」


俺は容赦しない男沢木壮。


ほんの少しでも遅れればもう1度だ。


「フットワーク!」

「「「「押忍!!」」」」


みんな馴染んできた。


このフットワーク、端から見れば踊っているようにも見える。


しかしやっているほうは地獄である。


「追い込め追い込め!自分を追い込め!イリヤ、甘い!」


大好きなイリヤにだって怒号を飛ばす。


バスケに関しては厳しいのだ。


「喜美!お前そんなものじゃねえだろ!」

「クッソ!」


喜美にも怒鳴る。


まあ喜美にはいつも怒鳴っているが。


見てて織火の筋がいいことに気づいた。


咲はやはり遅れている。


しかし容赦するつもりはなかった。


できないなら人より多くやらせるまでだ。


喜美と織火、イリヤと沙耶でコンビを組ませてパス練習をさせた。


そして俺は咲に付きっ切りだ。


「はい!」

「ッ!」


ボールを持たせずシュートフォームだけを作らせる。


当然できるわけがなく、俺はそれを弄って正しいフォームにする。


そしてフォームを解かせて合図でシュートフォームを作らせる。


そして俺がそれを矯正する。


またシュートフォーム・・・・・・以下繰り返し。


それから2時間ずっとそれだけやらせた。


フォームは大切だ。


NBANo.1のシューターであるレイ・アレンを見てみればいい。


シュートが毎回教科書かと思うほど理想のシュートフォームである。


結局正しいフォームが一番いいのだ。


もっとも、ミラーみたいな例外もいるにはいるが。



4人のほうはひたすらパスの練習。


徹底させる。向こうは俺がいなくても高い集中力で練習を続けていた。


喜美とイリヤが頑張って教えていた。



気づいたら8時だった。


クールダウンは徹底させた。


小学生で怪我とかシャレにならない。


ストレッチ、マッサージで30分近くやらせた。


2人組はさっきと同じだ。


咲の体をベタベタ触っているが別にロリコンではないので何も感じない。


咲のほうも別に嫌がっていない様子であった。



「おいおい咲。気持ちいいのかよお前。へへへ、十五の娘じゃねえんだからよぉ」

「気持ちいいけど壮の顔はキモイね」

「へへへ、マゾには何言っても通じねえよぉ」

「喜美!この人……オカシイ!」

「フフフ、咲。アンタ何いきなり1+1=2みたいなこと言い出してるの?言わなくてもわかるわよ」

「そうだね。ゴメン」

「俺を置いて話を進めるなよッ!」



まぁ、小学生にとって高校生なんて別次元の生き物に思えるだろうからな。


終わってみると夜8時30分。


全員息も絶え絶えである。


良い子は寝る時間とか知らない。


さてさて。


昨日「俺はバスケは楽しいということを分かってほしい」などとほざいていたにも関わらず虐待一歩手前の練習になったのには訳がある。


練習を始める前に咲が話しかけてきた。


「ねぇお兄ちゃん、私達どれくらいまで強くなれる?」

「うん?そりゃあ練習次第だろ?」

「じゃあどれくらいの練習をするの?」


俺はその時、県大会でそこそこ勝てますよくらいのレベルでいいやと思っていた。


そんな必死で練習するのは大変だろうから。


バスケを楽しんで欲しいし。


しかし


「日本一だよね!お兄ちゃん!」

「当然だよね」

「そうそう。当然だよ」

「この私がいるのよ!負けるなんてありえないわ!1敗だって許さないわよ」


俺は唖然とした。そこまで本気なのか。


「でも練習キツイぞ?」

「それでもいいです」

「勝ちたいよ」

「それに、キツイ練習のほうが達成感があるじゃん」

蓮里の方針が決定した瞬間です。


そして他校を恐怖のどん底に突き落とす化物軍団が生まれた瞬間です。

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