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体育館の悩み人

わかろうと思えば

わかることを

わかることはできるか

配点(要努力)

高校での練習中。


俺は悩んでいた。


あの5人、ポジションを決め打ちで教えてしまおうかどうか、ということだ。


そっちのほうがやりやすい。


しかしそうすると可能性を潰してしまうかもしれない。


一応ポジションの候補はある。


沙耶は間違いなくセンターだ。


あの身長はゴール下にいるだけで相手にとっては脅威だ。


喜美はフォワードだろ。


性格的に考えて。


相手をぶちのめすことにしか興味がないからな。


織火はポイントガードだ。


あの喜美を抑えているというのだから司令塔としては十分な素質を持っている。


咲とイリヤはどうしようか。


これは保留でいいだろ。


俺は練習を始める前にどうするかをみんなに尋ねようと決めた。


「おい沢木!ボーッとするなよお前!」

「おっと」


俺は突然こちらに飛んできたボールを取ってゴールに流し込んだ。


練習終了。


ウチの高校の先輩はいい人たちばかりだった。


最悪の場合排斥して1年だけで試合をすることになっていたかもしれない。


しかしみんな勝つことに貪欲な人達ばかりで、俺は入ってきてすぐにレギュラーになったし先輩も納得していた。


そして俺に練習メニューを考えてほしいと言った。


俺は必死で、残り1ヶ月で県大会、2ヶ月で全国まで行けるようなメニューを作ることになった。


それはとてもキツイものだったが、誰も文句を言わずに頑張ってやってくれた。


これは、優勝できるかもしれない。


俺は本気で思いはじめた。


そして練習中は集中して、絶対にあいつらのことを考えないようにしようと心に決めた。





「イーリヤーーー!!結婚しよう!!」

「ダメだよお兄ちゃん」


小学校に駆け付けるとイリヤがいたので挨拶をした。


「兄さんも諦めないわね……」


喜美が呆れた声で言う。


悪いけど一生諦めるつもりはない。


ストーカーにでもなってやる所存だ。


それくらいベタ惚れしていた。


だって銀髪ですよ銀髪!?


「はいはい!練習始めるわよ!」


喜美が声を出して体育館で思い思いに遊んでいた他のメンバーを集めた。


沙耶はバスケのリングで懸垂をしている。


壊れるから止めろ。


織火はキャットウォークからロープを掴んで


「無限のかなたに、さぁ行くぞおおお!」


とか言いながら飛び降りている。


咲は体育館の中央で五体倒置ごっこをしている。


カオスッ!




そして俺はみんなにポジションのことを話した。


「決め打ちでいいわ」


喜美が即答する。


「兄さんが選んだなら間違いないわ」

「そうだね。壮さんなら信じます」


え?


なにこの無上の信頼感?


なんでそんなに信頼されているの俺?何もイベントこなしていないよ?


会って2日だよ?


「まさかお前ら!全員俺に一目ぼれしてしまったのか!?」

「ちょっと喜美、やっぱ頭オカシイじゃないですか。どうするですかコレ」

「ちょっと喜美、ここまでハイレベルとは聞いてないわよ?喜美の兄だから当然かもしれないけど」

「喜美。これはヤバイ」


ハイ違うねー!


小学生は素直で嬉しいよー!


お兄さんのガラスのハートにフレシェット弾が直撃したレベルのショックだよー!


「私はこれくらいの人だと思ってたよ?」

「ああやっぱイリヤが最高だ!」



「喜美、喜美。あの人、自分が最初から奇人予測されてたのわかってませんよ?」

「シッ!兄さん今人生の絶頂だから邪魔しないであげて!」

「後は堕ちるだけ……可哀想に」


「ちょっとアンタら素直すぎませんかねぇ!?」

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