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銀色の挑戦者

引いてダメなら

押してみな

押してダメなら

押してみな

配点(不退転)

さてさて。


まず最初に確認しておきたいことがある。


経験者がいるかどうかということだ。


喜美以外にいるのかどうかでかなり変わって来る。


「あ、私やったことあるよ!」

「さすがイリヤ!」


この銀髪っ娘は俺の希望をことごとく叶えるなオイ。


「どれくらい?」


俺は喜美に聞く。


「これくらい」


と喜美が親指と人差し指を少し離して見せる。


「どれくらいだよ!?」

「これくらいだよ!」


と喜美がイリヤにボールをパスした。


咄嗟のことだったが状況は理解できた。


イリヤがその実力を見せてくれるといことだろう。


イリヤはその場で数回ドリブル。


誘っている。


イリヤのその動作は洗練されていた。


少なくとも1週間2週間でできるものではない。


「ヤッ!」


とイリヤが突っ込んできた。


フムフム。


切り込みはいい。


フェイクなどはない。


真っ直ぐに突っ込んできた。


「おっと?」


それを止めてみせる。


「なんの!」


イリヤがそこからなおターンを使い抜こうとしてくる。


この諦めの悪さは素晴らしい。


だが小学生女子に負けるわけがなかった。


「なるほど。やるなぁ、おい!」


かなりのものではないだろうか。


喜美に匹敵とまでは言わないが、そう。親指と人差し指をちょっと離したくらいの……


「おお、その通りだな!」


喜美の天才性を垣間見た。


イリヤ以外は未経験者である。


しかし織火も沙耶も身長は高い。


沙耶はその身長だけで武器になる。


これはひょっとしてかなりすごいチームなのでは?


そして俺が最も注目しているのは咲だった。


身長も平均的で、運動神経もあまりよくない。


この子がどこまで成長するかでこのチームの強さが変わって来る。




「じゃあまずはシュート練習から行こうか」


早速練習を開始する。


もっと基本的なことから始めるべきなのかもしれないけれど、バスケで楽しいのはシュートが決まる瞬間だ。


だからこの楽しさをまず味わって欲しかった。


気持ちいい音を立ててボールがネットを揺らす。


「やったー!入ったー!」


そう。最初はこれでいい。


まずバスケが面白いということを分かってほしい。


喜美とイリヤはミドルレンジ、ロングレンジから動きながらのシュート練習をしていた。


俺は未経験者3人少しアドバイスをした。


それだけで今日の練習は終わっていた。


「どう?兄さん?」


「そうだな。あの銀髪はかなりレベルが高い。曇りなく、穢れなく。一点の迷いもない輝き。あそこまで見事なストレートは下手な変化球より強いと思いますがそこらへんいかがでしょうか喜美さん」


「そうですね。実況のクソ兄さん。やはり銀髪というのはレベルが高いですが私としてはその見事な容姿と瞳も鍵だと思うのですがそこらへんいかがでしょうか?」


「なるほど。それは確かに真理です。しかし女を見るはまず髪から。それから目で次に口ですね」


「ハハハ、変態の言うことは違いますね。さすがは兄さんと言ったところでしょうか。その身長を生かして中学1年生からみんなのぶんのエロ本も買わされてただけはあるわね」


「お、お前ッ!なぜそれを!?」


「感謝の手紙が来ていたわ」


「斉藤ううう!余計なマネをおおおおお!」




それにしても体よく嵌められた感があるな。


性癖とは真に恐ろしい。


しかし面白そうだ。


今まで自分がどのようにプレーするのかばかり考えていたから。


この自分がどのように、っていうのは自分を含めてチームがどのようにってことです。


自分を計算に入れないバスケを面白そうだと感じた、ということで。

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