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過去の後悔人

かつての不足

かつての思い

今の力の源流

配点(後悔)

2Q


side喜美


最初は相手の攻撃。


兄さんの読みは外れた試しがない。


まだ3回目だけど。


兄さんは、速攻が効かなかったらハーフコートでいいだなんて言っていたけれど、私たちにそんな気はさらさらなかった。


全てファストブレイクだけで点を稼いでやる。


どっちにしろ、私の感覚は速攻をしろと叫んでいる。


相手は私とイリヤのマッチアップ相手を変えてきた。


見たところ、オフェンスに参加することはできないようだ。


ということはやはり2Qは織火、沙耶、咲が中心になるわね。


「抜かせない」


咲がしっかりと腰を落としてディフェンスをする。


私たちはまだセットプレーに対応することはできないけれど、しつこさがそれを補って余りある。


しかし強引に相手ガードが咲を抜きに行く。


まぁ、現状1番ディフェンス弱いの咲だし。


「ヘルプ!」


抜かれた後の準備もしっかりしている。


目の前に立ち塞がる沙耶に相手はビビる。


しかしそれでも突っ込んできた。


沙耶に体を当てて、沙耶に力を入れさせる。


体が強張ったその僅かな隙を見逃さず沙耶とリングから離れながらのシュートを打つ。沙耶が飛ぶが間に合わない。


シュートはしっかり決まった。


中に切り込んで来るようになったわね。


兄さんを見る。


兄さんはパイプ椅子の上で逆立ちをしていた。


慌てず前を見る。


視界の端に片手で逆立ちをして笑顔でこちらに親指立ててる変人がいるのだけれど、ボールぶつけていいかしら。


シュートが決まったので速攻はできない。


沙耶がボールを出し、織火が受け取り上がる。


私とイリヤにはひたすら相手がくっつく。


面白いので走り回って体力を削ることにする。


アンタが頑張っているのは知っていた。


ここまでよく我慢したわ。


さぁ織火!見せてやりなさい!


蓮里では誰ひとりとして、甘く見ていい人物などいないということを!





side織火


前回の西条との試合、勝った。


圧勝だった。


そして死ぬほど悔しかった。


私も勝利に貢献したとは思っている。


あのディフェンスに対してもよく頭に血が昇らなかったと思う。


私のパスから決めたシュートがほとんどだった。


スタッツのアシストの数を見れば私の成績がわかる。


でも、悔しいですよ。


アシスト23の隣の数字、得点は2点。


思い出すのは相手ガードのナメたディフェンス。


あんな後ろに下がって!


私が外から打てやしないと宣言しているようで!


理屈ではわかっている。


私はガードとしてドリブルを覚えなければいけなかった。


私がガードという人選にも納得できた。


喜美を抑えられるのは私だけだと思った。


でも、悔しいものは悔しいのだ。


喜美みたいに華麗な技で相手を抜き去りたい。


イリヤみたいに相手を嘲笑うかのようなシュートを打ってみたい。


沙耶みたいに相手を蹴散らして豪快に決めたい。


咲みたいに針に糸を通すかのような繊細で精確な3pをバンバン決めたい。


私にはどれも無理だ。


バスケやっている中では身長は165と並だ。


蓮里の中では下から2番目。


運動神経だって喜美や沙耶ほどよくはない。


イリヤのような天性のスピードも持っていない。


咲よりはマシだとは思うけれど、もう咲の3pには追いつけない。


私は、5人の中で最弱だった。


・・・・・・お兄さん。


ホント、我が儘に付き合ってもらってありがとうございます。


朝の5時から練習に付き合ってもらった。


喜美もまだ起きていないような時間。


お兄さんの家でひたすら練習を重ねた。


土曜も日曜も、ひたすら練習。


部活がない時間はほとんど個人練習しかしていない。


いつもお兄さんがついていてくれた。


たまに喜美が来て邪魔をして、でも練習に付き合ってくれた。


みんなを生かす練習ではない。


個人練習の時はパスは1回も出さない。


個人技、ただ自分のためだけの練習。


私が活躍したいがための練習。


秘密特訓の成果、ここで出させてもらいます!




side京香


みんなが私の指示通りに動いて、見事に決めてくれた。


ファストブレイクも防いで一石二鳥ね!。


相手のハーフコートオフェンス。


相手ポイントガードの織火ちゃんがイリヤにパスを出す。


ここまでは予想通り。


理美がイリヤちゃんに付く。


さぁ、どうするの?


イリヤちゃんはすぐに織火ちゃんに返した。


そして織火ちゃんが自分で切り込んできた。


これは予想外!


でも大丈夫。ヘルプに行くように指示はしている。


奈々が付いていく。


「喜美!」


織火ちゃんが喜美へのパスアウト。


奈々はそちらに付いていこうとしてしまう。


それはフェイクだった。


パスのフェイクからのレイアップ。


それはあっさり決まる。


……得点能力がない?


馬鹿な。


私は何を考えていたの?


あの沢木壮のチームだよ!


見落としていいプレイヤーなんて1人だっていやしないのに。


「ナイッシュ、織火」

「ありがと、喜美」

「織火、良かった」


戻る蓮里の5人。

どうする?どうやって止める?




side喜美


フフフ、いいわね。テンションが上がってきたわ。


相手の実力がそんなでもないから私の体は全力を出しきれていない。


でもみんなとの連携を通してうまく感覚が働き始めている。


覚醒、まではいかないだろうけれど。


それでもある程度の実力は出せそうだ。


ディフェンス。


私とイリヤの相手にはあまりパスが回らない。


完全に私たちをゲームから除外するためにいる。


構わないわ。


なにせこの私たちを相手にしているのだから。


でも、あと3人は抜けると思ったら大間違い。


あれからどれだけディフェンスの基礎練習やったと思っているのよ。


気が狂うかと思ったわ。


実際沙耶は突然ケタケタ笑いはじめて慌てて鎮めた覚えがある。


沙耶がその巨乳で相手を押し返す。


「それ!」


センターから飛んだボールを織火がカットした。私とイリヤは一気に走りはじめる。


相手も何とかついて来た。


織火が一旦落ち着かせる。


3pライン付近で再び対峙。

織火からのサイン。


織火の相手がスティールを仕掛ける。


織火はそれを防ぐためにボールを体の後ろに持って行った。


そして背中でボールをリリースした。


ノールックのバックパス。


来る場所はサインでわかっている。


どんぴしゃり。


私は織火からのパスを貰う。


相手は虚を突かれて動き出せていない。


ほとんどフリーでランニングシュートを決めた。

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