表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
243/251

最強場の厳選者達

強き者達

その中でさらに強き者とは

配点 (ファーストチーム)

sideイリヤ


体育館の近くにある宿泊施設に入り、荷物を放り投げて着替えていると喜美に合流できた。


「……」


「……うわ喜美ッ!?喜美ですか!?その顔本当に喜美ですか!?なんか美しさのカケラもないんですけどッ!」


「喜美ッ!喜美ッ!鏡見て鏡ッ!それは女として見逃せないよ!なんかもうこっちがダメージ受けるよッ!」


「……」


無言で幽鬼のように私たちの部屋に入ってきた喜美。


その姿も、幽鬼そっくりだった。


顔面蒼白、目はやたら見開かれ、血走っている。


手や膝はガクガク震え、髪もボサボサのまま目にかかっている。


そのくせ唇はやたらと赤く、喉から絞り出されるようなヒーヒーという呼吸。


端的に言って、死ぬ1歩手前だった。


「……」


「あぁ!喜美!すいません!悪かったです!受験とか言って喜美を放っておいた私が馬鹿でした!」


「喜美!とにかくお風呂に入ろう!」


「集合まであと2時間。何とかなるはず」


「イリヤ、髪直しあるわよね!?」


「あるある!あるよ!とにかく身嗜み何とかしないと!というか蘇生させないと!食べ物!なんかスタミナつく食べ物買ってくる!」


阿鼻叫喚の蓮里の部屋を飛び出す。


と、偶然にも楓と美紗が玄関から入ってくるところだった。


「おぅ、イリヤじゃねぇか。どうした?」


「イリヤ、なんかすごい目が……」


「肉をくれッ!」


「は?」


「肉ッ!もしくはスタミナの付く何かッ!人の生死がかかってるッ!」


「精子がかかってる肉……?」


マジな顔でそう言った美紗をぶん殴って楓に向き直る。


「頂戴ッ!」


喝ッ!とばかりに叫ぶ。


「お、おう。これ、一応持ってきたコロリーメイトだが……」


「サンクス!後でお金返すからッ!」


「それ298円だから300円な」


「了解ッ!」


身を翻して蓮里の部屋に飛び込む。


部屋の中では、沙耶が喜美をお風呂に入れたところだった。


「うわ体冷たッ!一体何してたらこうなんの!?」


「喜美ッ!はいこれコロリーメイト!」


私がコロリーメイトを差し出しても喜美はそれをボンヤリと見るばかり。


「イリヤ、それ下さい」


織火が私の手からコロリーメイトを奪い、喜美の口に容赦なく突っ込んだ。


「ゴフゥッ!」


喜美が、絶対に人がしてはいけない咳き込み方をした。


「あ、あれ?ここ……ガハッ!なんかゴヘッ!?」


「ああ!喜美が意識を取り戻した!」


「脈拍安定!」


「神経パルス、正常位置に戻っています!」


「プラグ、精神汚染区域からの離脱に成功ッ!」


「MILKを注入!」


そして織火が再び、喜美の口に牛乳を流し込む。


喜美が咳込み牛乳を吹き出すと、この4人以外には絶対に見せられないような顔が完成した。






「ふぅ、生き返ったわ」


「「「「お疲れ様でした」」」」


全員で正座、三つ指ついて礼をする。


激闘、それどころか死闘を演じた親友に対する、せめてもの敬意の表し方だった。


「不覚だったわ。まさかこの私があれだけの危機に追い込まれるなんてね」


まぁ結城君の殺人スケジュールのせいだけど、とそのあとに呟く。


「喜美、大丈夫?エネルギー補給できてる?いきなり全国相手に練習だよ?」


「平気よ。1個で450カロリー取れるコロリーメイトを摂取したから」


アレってそんなにヤバい食料だったんだ……


「シャワーも浴びてサッパリしたし。いい感じで練習に臨めるわ」


よかった、と咲が安堵のため息をもらす。


ウチの大黒柱が間に合ってくれて本当によかった。


この3時間後、私達は喜美を蘇生させたことを深く後悔することとなる。







集合時間に体育館に入ると、既に他のメンバーは全員来ていた。


蓮里、春沼、横浜の5人と琴美、安藤。


そして京野と林檎と楓と美紗と知美。


「はいはい、こっち注目な」


そして桐生院のコーチが声を上げる。


「ええか。この合宿ではイロイロな練習をする。でもな、俺は大半の人が初めましてや。対戦相手として研究したことはあるけど、練習相手として見るのは初めてや」


大袈裟な身振りと共に説明する。


その監督の後ろで琴美がその身振りを真似していた。


全員笑うのを堪えていた。


「せやから、まずちょっと試合形式でやってもらうわ。軽くみんなの動き見るくらいやから。アップして、シュートアラウンドして。それから始めるで。チーム分けはクジや」


ドンと箱を取り出す。


それからみんなで順番にクジを引いた。


その結果、


1沙耶 イリヤ メリル 桜 林檎


2千里 知美 松美 響 安藤 織火


3一條 京野 咲 楓 潮田


いいよ。


ここまではまぁいいよ。


でもさぁ、これおかしいでしょ。


4菫 喜美 アル 琴美 リール 美紗


なんかさぁ……ダメでしょ、イロイロ。


まず5人がおかしいでしょ、それ、全国No.1チームでしょ。


そしてシックスマンがおかしいでしょ、強すぎでしょ。


しかし公明正大なクジの結果に逆らうことはできず。


こうして、私達は絶望的な戦いを開始することになった。







sideメリル


アルというプレイヤーは、いつだって頼りになるエースだ。


点が欲しい時にはアルに預ければいい。


絶対に取ってくれる。


シュートの成功確率、1対1の勝負強さ、切れ味抜群のドライブ、長い滞空時間、悉く決めるクラッチシュート。


味方であればこれほど頼もしい存在はない。


まさに絶対エース。


今まで何度味方でよかったと思ったことか。


私はその先をあまり考えなかった。


もし、もしアルが敵に回るようなことがあればどうすればいいか。


「ではメリル。良い試合を」


「よろしくですわ、アル」


今がその時。


本当の試合開始前のように、集中力が極限まで高まっている。


「勝ちに行きますわよ」


「当然です」


そう言葉を交わして分かれる。


イリヤと喜美も何事かを言い合っている。


c菫 sfアル pf喜美 sg琴美 pgリール


そしてシックスマンで美紗。


ぶっちゃけ、この5人なら世界大会に出れると思う。


ちょっと規格外の強さだった。


しかし、バスケは強いやつ5人集めれば勝てるかと言えば、そんな単純なスポーツではない。


5人で作る特別なケミストリーが必要なのだ。


そこに、付け入る隙がある。


そう、個々の力で勝てないなら、チームワークで勝つまでですわ。


この5人なら不可能では……


「ふぅん、面倒な相手だねぇー?ねぇ、桜ー?」


「う、うん。そうだね」


「いやぁー、面倒は嫌いじゃない。嫌いじゃないよぉ?」


「そ、そうだね……」


ダ メ で す わ!!


チームワークの鍵となるpg、そこに林檎がいるのだ。


確かに実力は申し分ないが、いかんせん性格が……


悪くはないのだが、良いかと言われれば首を横に振らざるをえない。


変なのだ、とにかく。


いけない!


人をそんな風に思ってはいけませんし、試合を放棄するのもいけませんわ!


「みんな!こっちに注目ですわ!しっかりボールを回しましょう!ディフェンスは1人1人が意識高く、しっかりやりますわよ!」


「そうだね。オフェンスプランとしては、私とメリルが主体で取っていく。私は結構インサイドに切り込むから」


「アウトサイドの僕の位置、よく確認しておいてよね」


「私はリバウンドで菫に勝つ。絶対に」


いい!なんかいい空気ですわよ!


「そうだねぇー、ま、私もリールは封殺しちゃおうかなぁ?」


ええ、いい空気ですわ!


本当に林檎がマイペースだが、そんなのも気にせず完璧ですわ!


「よし!じゃあ掛け声かけますわよ!」


「お、いいね!よし。じゃあ行くよ!」


私の提案に呼応してイリヤが叫ぶ。


「1、2、3!」




「fight!」

「ゴー」

「オーフェンス!」

「ファイッオオオウ!」

「勝つよ」



「肝心要のところでバラバラですわね!」







sideアル


6人で集まって、まず菫が重々しく口を開いた。


「チーム名はSUMIREで決定ね」


5人がポカンと口を開いて菫を見た。


間違いなく全員が、何言ってんだコイツという目をしていた。


「だ、大丈夫ですか菫?」


美紗が心配そうに言う。


「そうやで、菫。ここはふざける場面やあらへん。油断してると喰われるで」


琴美も少し怒っている様子だ。


私も、実は少し怒っていた。


こんなときにふざける人だとは思っていなかったのですが。


「菫……残念よ……」


喜美も怒りに声を震わせて言う。


「そんなことを言い出すなんて……」


「え?私何か間違ったこと言った?」


「自覚、ないんやな」


琴美がかわいそうなものを見る目で言う。


「あのなぁ、決まっとるやろ」


そしてため息をついて、当然のように言う。


「チーム名はコトミーズに決まってるやろ!?」


「はぁ!?何そのダサダサネーム!キミキミに決まってるでしょ!?」


「正pgがチームの中心でしょ?ならチーム名はルーリーね」


「わかっていませんね。いまどき、注目はシックスマンなんですよ。ミサミミを提案しますね」


「いい加減にしてくださいッ!」


私が怒鳴るのが珍しいからか、全員が一瞬で静まった。


「皆さん、試合前です。そんなこと、議論することが愚かしい」


息を吸い込み。


「チームアルアルで名前は決定していますッ!世界最強の名前を冠するべきです!」


「あら!決勝で負けたくせに世界最強!?笑わせないで!」


「何ですって?」


「MVPをもらったのは私よ。なら、私が世界最強ね?」


「聞き捨てならへんなぁ。私はアルに1対1で互角に持ち込めるし、喜美に負ける気もせぇへんよ」


「言葉ならいくらでも言えるわよ」


「欧州最強を無視しないでくれない?これでも、ポイントガードとしては世界一だと思うのだけれど?」


「こちとら超名門校のキャプテンよ。チームを引っ張る実力があるのは私よ!」


売り言葉に買い言葉、喧嘩はヒートアップしていく。


そして、


「お前ら、試合始まるで」


桐生院のOTYANの言葉で全員が1度言葉を飲み込んだ。


「しゃあないなぁ!ほな、とりあえず声行くで。1,2,3!」




「「「「「「GO!」」」」」」



6人の声がピッタリ重なった。

全国オール1stチーム


c菫 sfアル pf喜美 sg松美 pgリール


文句なしの5人ですね。


横浜、春沼から2人ずつ。


優勝の蓮里からは1人という……




全国オール2ndチーム


c沙耶 sfイリヤ pf琴美 sg咲 pg林檎


ここで蓮里3人登場。


pgにはほぼ1人で蓮里とやり合った林檎が選出。


フツーに強そうな5人。




全国オール3rdチーム


c千里 sf京野 pfメリル sg桜 pg潮田


一癖あるメンバーが集まったチーム。


3rdだけどやっぱり強い。


蓮里では織火だけが入ってませんねぇ……




スラムダンカー


c沙耶 sfイリヤ pf喜美 sg松美 pg安藤


もっとも派手にダンクを決める5人。


蓮里のためにあるような賞。


sgでは松美くらいしかまともにダンクができない。


pgでは琴美との派手なコンビネーションにより安藤が選出。




もっとも相手したくない1stチーム


c菫 sfアル pf喜美 sg桜 pg林檎


全国に出た選手が各ポジションに1票ずつ入れた結果、この5人。


pgに関しては驚異の得票率100%だったという。




オールディフェンシブプレイヤー


c沙耶 sf京野 pf琴美 sg咲 pg林檎


ディフェンスが強い5人。


sgからは、勝負所でいいディフェンスをした咲が選出。


林檎は誰もマッチアップをしたがらないため選出。




個人賞




得点王 喜美


平均46点で文句なしの1位。


2位のアルとは10点ほど離れている。


兄妹そろっての得点王。




アシスト王 織火


平均アシスト15を叩き出す織火が選出。


蓮里というチームが一点特化型なので、こういう賞に強い。




リバウンド王 菫


沙耶とのデッドヒートの末に勝利。


全国No.1センターは伊達ではなかった。




ブロック王 菫


まさかの2冠を達成。


センター系の賞は菫が総舐め状態。




スティール王 琴美


元日本最強が選出。


『感覚』を利用してのスティールを得意とし、あのアルからさえもスティールしている。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ