蓮里の恋愛師匠
聞け我が言葉
見ろ我が行動
これこそがプロポーズ
配点(ロマンティック大統領)
本日日曜日。
高校のほうの部活は午後からなので蓮里での練習は午前中だった。
というわけで喜美と共に自転車を飛ばして向かう俺。
「あ、ロマンティック大統領だ!」
「恋愛師匠だ!」
それを小学生男子に見つかった。
すっかり顔なじみだ。
「おう、お前ら。野球か?練習終わったら遊んでやろうか?」
「いいよ、お兄ちゃん打ったら全部ホームランだし」
「はっはっは」
「それよりロマンティック大統領!今日も見せてくれよ」「うん?よし、いいだろう。ロマンティックを見せてやろう!」
「おお!みんな!こっち来いよ!ロマンティック大統領がロマンティックを見せてくれるってよ!」
わらわら集まって来る小学生達。
小学生は日曜日は学校で遊ぶ奴が多い。
男子がほとんどだけど、女子も顔を赤らめながら来ている。
やっぱりこういうことに興味のあるお年頃なのだろうか?
「ロマンティック!ロマンティック!ロマンティック!」
沸き上がるロマンティックコール。俺は大声援を背中に受けてその到着を待つ。我が将来の嫁の到着を。
そしてついに来た。白銀の妖精が。
「あ、お兄ちゃん。おはよう」
「イリヤさん!大好きです!1億と3000年前から大好きでした!これからもずっと好きです!結婚してください!」
そして俺は背中に隠していた花束を差し出す。
喜美が面白がって庭の花を選別して作ってくれたのだ。
そのニヤついている顔にムカついたが好意はありがたく受け取った。
「・・・・・・」
「・・・・・・」
緊張の一瞬。周りの皆も固唾を呑んで見守る。
と、イリヤがその花束を受け取る。
ハッとして顔を上げる。ああ、ついに・・・・・・!
みんなもおぉっ!と声を上げる。
「ありがとう、お兄ちゃん」
その言葉に俺はついに認めてもらえたのだとわかる。
周りが歓声を上げようと一瞬タメを作る。
「でも結婚はダメだよ?」
「ちっくしょおおおおおおおお!」
「「「やっぱダメかあああああ!?」」」
叫び声が辺りを満たす。
「いやぁ、しょうがないよ師匠。また次頑張ろうよ」
「うん。ありがと・・・・・・」
小学生男子に肩を叩かれる高校生がいた。
というか俺だった。
「でもロマンティック大統領はすごいな!あのイリヤちゃんに告白するなんてな!俺無理だよ」
「俺も俺も。それもフラれても毎日だもんな!」
「イリヤちゃんいいなぁ・・・・・・私もこんなに好きになってくれる人いないかなぁ・・・・・・」
これがロマンティック大統領命名の理由である。
毎日イリヤへの信仰告白をしていたらいつのまにか見物人が付き、一体誰が考えたのかロマンティック大統領などと俺を命名したのだ。
それからは告白などできない初な小学生達はフラれてもフラれても不屈の精神で愛を叫びつづける俺に尊敬の眼差しを向けるのだ。
というか教師もたまにロマンティックコールに参加している。いいのかよお前ら。
「また明日ね!ロマンティック大統領!」
「師匠!明日もカッコイイプロポーズ頼むぜ!」
「練習頑張ってね!大統領!」
そしていつものイベントを終えた俺は練習のため体育館に入っていくのだった。




