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蓮里小学校女子バスケットボール部  作者: ジェイソン
ウィンターカップ編
158/251

リベンジ場の気合人

もう負けない

思う心は

どこにある

配点(言葉)

side喜美


次の日。


ホテルで目を覚まし、全員をたたき起こす。


「へへへ……越後さん、御主も悪よのぅ……」


「どういう夢見てんのよアンタ」


美紗に水をぶっかけて目を覚まさせる。


梨華もその巨体を生かして知美を持ち上げて風呂に叩き込んでいる。


楓はフツーに起きてしまった。


あら、遊んでやろうと思ったのに……


ランニングをする。


さすがにベスト4のエースクラス。


梨華以外の全員が私についてこれた。


そのまま5人でコンビニで朝飯買ってきて急いで食べた。


今日は朝から桐生院で練習だ。






「「「「「押ー忍ッ!!」」」」」


「「「「「ちーっすッ!!」」」」」


朝から元気な子供達だ。


「監督、よろしくお願いします」


向こうの監督に声をかける。


「ええよ。ウチも楓や美紗とやれてありがたいわ。それにビデオも貰えたしな」


「よぉ来たな。ほな、さっそく始めよか」


そこから基礎のダッシュから始める。


桐生院は基礎というものをものすごく大事にしていた。


「そうせな、やっぱギリギリで勝てへんからな。ウチは割と走るチームやけど、その体力も必要やし」


「へぇ、結構キツイじゃん」


楓もそう言うが、


「楽勝よ」


私たちはこれ以上に練習をしていた。





練習の時の兄さんは性格が豹変する。


それこそ、イリヤにだって殴る。


練習中はピンと空気が張り詰めていて、無駄口を叩ける雰囲気ではない。


何だかんだで軍の名家の出身だ。


厳格さはしっかりと受け継がれていた。


スパルタ教育を受けていたので私より遥かに厳しい。


たぶんあの状況で冗談を言えば殺される自信がある。


反面、休憩中のギャップが凄まじいわけだけど……


兄さんはバスケに関してはあらゆることに手を抜かない。


蓮里は5人しかいないから、怠けようとすれば見つかる。


そしてどんな理由だろうと怒られる。


そりゃもう凄まじい怒り方だ。


あれの個人特訓を受けていた織火はすごいと思う。


まぁそんな練習をしてきたわけだから、少し厳しいらしい桐生院の練習も余裕だ。


「本当に……身体能力はすごいですね……」


美紗がゼーゼー言いながら呟く。


「ええ。身体能力も、すごいのよ?」


さぁ、試合だ。






side楓


「ほな、始めよか」


コートに10人が集まる。


向こうはスタメンのフルメンバーを出してきた。


完全に本気だなオイ。


まぁ当然か、と思いもする。


何せこちらは……


「行くわよ。勝ちにね」


「ま、ここまで来て何も収穫なしというのは解せませんから」


「全国に行ったらやるはずでした。ここで少し、鬱憤晴らしますよ」


「行くよ」


「……ま、そういうことだ。勝たせてもらうぜ」


ウチの県でもトップレベル5人だ。


「……取りッ!」


ボールは梨華がしっかり確保した。


それを取って私は美紗にパスを出す。


そして話し合っていたポジションにそれぞれついた。


喜美がパワーフォワード、知美がスモールフォワード、美紗がポイントガード、そして私がシューティングガードだ。


私は外の45°が主な武器だからな。


あそこでボールを貰えば確実に決められる自信はある。


とまぁこういう態勢なわけだが、


「さて、どうしましょうか」


指揮を取るのは美紗。


誰に渡しても決められそうだがここは、


「頼みますよ楓」


「あいよ。じゃあ決めとくか」


私に再びボールが帰ってくる。


桐生院のシューティングガードか。


マッチアップ相手ではないが研究はしたことがある。


まぁ、


「アルよりはマシだよな」


後ろを向く。


背中を当てる。


ドリブルを開始する。


肩を当てる。


ハン、おっぱいが小さすぎるぜ。


左へターンをする。


相手が飛んだ。


「馬鹿、もっと冷静になれ」


私はそのフェイクから逆のターンを決めてそのまま飛ぶ。


回りながらの振り向き様のシュート。


ターンアラウンドシュートだ。


視界は揺れる。が、


「体が覚えてら」


構わずに感覚を信じて放つ。


落ちるわけがない。


「ま、落とさんよな」


琴美も仕方ないというように手を振る。


「ほな、行こか。1つ寄越しぃな。決めたるわ」


「へ、なんて強気なヤツだ」


そう、これが全国MPVだ。


口だけじゃなく行動が伴うのが恐ろしい。


「行くで」


と言ったら絶対に来るのだ。


「さぁ、教えてみなさいッ!」


「なんて上から目線の生徒や。ま、ええけどな」


と琴美が素早く体を左右に振る。


「ッ!……ッ!?」


そのたびに喜美の体が反応している。


「何してんだ喜美ッ!んなのフェイクに決まってるだろッ!無視しろ無視!」


私は思わず声を上げるが喜美の体は反応して右に左にフラフラと揺れる。


「無視できひんやろ?しゃあないよ。アンタ、それでやってきたんやから」


「どうして……」


「そやな。私も天才やから、かな?」


そして琴美が動いた。


クロスオーバーで一気に喜美を抜き去る。


喜美はまったく反応できなかった。


「ッ!?ヘルプ!」


叫ぶと知美が琴美につく。


だが、その前に琴美はジャンパーを放っていた。


美しいフォームから繰り出される精確なシュート。


「あ、ズレたわ」


だがそのシュートは外れる軌道だ。


「リバンッ!」


私も参加しようとゴール下に駆け込む。


しかしそれより上を飛ぶ者がいた。


「それ、私のや」


ボールがリングに弾かれた瞬間を押さえ、そのまま叩き込まれた。


「よし。決まったな」


「……相変わらずなんてヤツだ」







side壮


「リール、どう見る?」


「横浜羽沢の勝ち。素人でもわかるわ」


「ま、だろうな」


眼下で行われている試合。


俺とリールは観客席の上のほうから見下ろしていた。


他のみんなは最前列でじっくりと見ている。


「小野寺を止めることができていない。宮澤を止めることができていない。神代を止めることができていない」


リールがその理由を3つスラスラと述べる。


「合格だ。ま、そりゃわかるか」


見ていて憐れになるほどの点差だ。


バスケにコールドというものがないのが悲しい。


そして横浜羽沢は容赦をするつもりはないようだった。


ビッグ3が下がらない。


結局フル出場で結果はトリプルスコアだった。







side小野寺


「ふぅ」


試合を終えてロッカールームに戻って来る。


勝利した、という感慨はない。


優勝こそが使命なのだから。


「先輩流石っす」


だからそう言ってくれる後輩にも素直に頷けない。


「これなら浦話も楽勝じゃねぇか?」


「浦話はインサイドの要2人が抜けたからな」


「ウチは松代先輩がいるしな」


「馬鹿かお前ら」


それを神代が叩く。


「いいか、雑誌の情報によると浦話にポジションの変更はない。この意味がわかるか?」


「「「……」」」


後輩3人は黙り込んでしまう。


「身長195センチ超えがスモールフォワードやれるんだぞ?逆だ。浦話はインサイドに絶対的な自信を持っている」


「「「は、はい!」」」


「浦話の初戦、インサイドをよく見ておけ。いいか、壮じゃない。壮以外のプレイヤーをよく見ておくんだ」


「「「はい!」」」


「バスケは1人がどれだけ強くても勝てない。浦話は沢木だけじゃない。それをよく肝に銘じておけ!」


「「「はい!」」」


1年生3人が慌てて出ていく。


いや、今日は浦話の試合ないんだが……


「お前から見て今回の浦話はどうだ、神代」


「わからん」


即答が返された。


「練習試合のようには行かないのは確かだ」


「俺もそう思う」


ストレッチ、マッサージを終えて立ち上がる。


「何かある。浦話は絶対に何かを持っている」


「だが、ウチが勝つ」


神代の言葉に頷く。


「ああ、勝つのはウチだ」

楓も強いんです。


ただ県大会の相手が悪かっただけなんです……


さて、イリヤ、咲組にもスポットライト当てていきましょうか

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