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敵地の再会者

挑戦者は

その力を糧とする

配点(貧乏人の僻み)

次の週末。


俺達は西条に来ていた。


近所では有名な金持ち私立で、俺達からは羨望の目で見られる学校だ。


初等部から高等部まで一貫だという。


なんか人格的にダメな人間が出来そうなカリキュラムなんだが。


ちなみに、男女別学で3年より長く過ごすと心理学的にアウトとなる。


男子校、女子校の皆さんは留年しないように注意しよう。


そんなことを思いながら西条の校門を潜る。


西条女バスは最近出来たばかりだそうだ。


ウチと似たような状況らしい。


聞けばコーチを勤めているのは高校生らしい。


なんというか偶然の一致というか・・・・・・。


「イリヤー」

「何?お兄ちゃん」

「君に惚れました!僕と夜明けのモーニングコーヒー飲んでください!」

「喜美に惚れました?お兄ちゃん、喜美のことが好きなの?」

「兄さん、引くわ」

「違ぇよ!畜生お前紛らわしい名前しやがって!」

「私の責任じゃないわよ!」


他校まで来てこのやり取りをする俺を褒めてほしい。


1日1回はイリヤに告白することにしているのだ。


イスラム教徒だって信仰告白するじゃないか。


あれと同じようなものだ。


「っていうかなんで体育館までこんなに遠いの?」


咲がぼやく。確かに。蓮里なら30秒かからない。


こんなことでも貧乏人はひがむのだ。


「チュース!!」


挨拶は大きな声で元気よく。


俺達は扉を堂々と開け放って叫ぶ。


呆気にとられる向こうのメンバー。


「こ、こんちには・・・・・・」


勝った!もう挨拶の時点で勝利したよ!


俺は向こうのコーチを見つける。


「どうも、蓮里のコーチだ!よろしく!」

「あ、どうも。西条のコーチの・・・・・・」


そこで相手の顔をよく見る。そして気づく。


「多田!?」

「沢木!?」


多田健二とは、県大会決勝にて戦った相手だ。


試合は圧勝だったものの、俺としては手強い部類だった。


ネチネチ弱点ばかりついて来る戦法とか。


しかし単純な技術力もすごいもので、最もディフェンスが堅いと言われたウチを相手に14のターンオーバーしかしなかったのだ。


これは全国決勝の次に低い数字だ。


そのポイントガードがこの多田健二。


あれからどうしたのかと思っていたら俺と同じ境遇になっていたとは。


「なんでお前がここに!?」

「そりゃこっちの台詞だ」

「あら、兄さんの知り合い?」

「健二さんのお知り合いですか?」


4人がごっちゃになって話す。


面倒なので多田に全ての説明を押し付けた。


「えっと、沢木は俺が中学3年の時に県大会の決勝で当たった相手校のエースなんだ」

「というわけだ。俺は沢木壮、ヨロシク」


俺は昴の隣の子に手を差し出す。


可憐な子だ。イリヤには及ばないが。


背は小さいな。それに大人しそう。ガードかな?


「あ、よろしくお願いします!橘知美です!」


素直でいい子だ。妹に欲しい。


喜美のようなひねくれた妹を持つと本当にそう思う。


イリヤは妹に欲しいとは思わない。


だってそうしたら結婚できないではないか。


俺はイリヤを女性として好きなのだ。


「そっちはもうアップは?」

「ああ、済ませてある。そっちのアップで30分どうだ?」

「ああ、それくらいでいいよ」


俺は相手に目を向ける。


あのちっこい少女はどうだろう?


1人沙耶並の身長がいるな。


マッチアップが楽しみだ。


で、あそこで元気に騒いでいる少女も体力はありそうだ。


アップの指示をして俺は多田と話し込む。


「なるほど、俺よりひどい状況だな」


暴力事件で部活停止は辛いだろう。それも1年。俺なら発狂する。


「でもここでバスケをさせてもらえるからな」


なるほど。いい避難場所を見つけたということか。


しかし、そうしたら大会で多田とやることもできないのか。


「沢木は今年も全国制覇を狙うのか?」

「当たり前。また決勝でブザービート決めてやるよ」


そのために先輩達も必死で練習している。


俺は先輩達を何としてでも全国に連れていきたかった。


「だがまぁ、今日はコイツらの試合だ。悪いが勝たせてもらうぞ」

「ウチだって弱くない。勝負だ」


俺と多田は男らしくガッチリ握手した。


「おホモ達との会話は終わったの?」


自陣に帰ると喜美がそんなことを言ってきたので無言で跳び膝蹴りを放つ。


かわされたので追撃しようと足に力を込めると、


「お兄ちゃんと向こうのお兄ちゃんはお友達なの?」


とイリヤが聞いてきたのでそれに答えようとする。


「違うわよ、お友達を超えた男の友情!それがおホモ達よ、イリヤ!」

「そうなんだ!カッコイイね!」

「カッコイイだろ!」


イリヤに言われたら何も言えない。惚れた弱みというやつだった


これで問題ないだろ!(楽観)

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