拍手 173 二百七十「四つの地下都市」の辺り
「でね、残り四つの地下都市も、再起動してくれるって」
「そう……ありがたい事だわ。主様に、私からもお礼を申し上げなくては」
「大丈夫よ、ティーサ姉様。私が代わりにしっかりお礼を言っておいたから!」
「……あなたでは、今ひとつ不安が残りますが」
「ちょっと姉様、どういう意味よ?」
「そういう意味です。でも、確かに今はイネスネルの側を離れるのは危険な気がします」
「でしょう? ……イネスネル姉様の様子は、どう?」
「表向き、異変はありません。ですが、長い事スミスによるストレスを受けてきましたから、思考回路の一部に異変が見られるのも、事実です」
「修理は終わったんでしょう?」
「それでも。私達支援型は、複雑な造りをしていますからね」
「……そんなところまで、人間に似せなくても良かったのに」
「仕方ありません。私達を造り出した人達は、人と同じ複雑さを私達に求めたのですから」
「迷惑な話だわ。おかげで、イネスネル姉様はまだ本調子じゃないんだし」
「この子は時間をかければ、きちんと元に戻るから問題ないわ。私達の時間は、人間のそれよりとても長いのだもの」
「そうね。それに、十二全ての地下都市を再起動させて、その主が同じ人間になれば、連携システムの裏技が使えるのだし」
「ええ、そういう事。それにしても、あのマレジアという人、その事を知ってたのかしら?」
「さあ? でも、おかげでこちらは助かるんだから、いいんじゃない?」
「そうね。それに、これは主様にとっても益のある事だから、問題ないわね」




