表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「オダイカンサマには敵うまい!」拍手の中身  作者: 斎木リコ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

166/177

拍手 166 二百六十三「これから」の辺り

「セロア、見かけないね」

 ザミは、ギルドのカウンターを見てぽつりと呟く。いつも賑やかなギルドの事、彼女の呟きを拾ったのは、隣にいたシャキトゼリナだけだった。

「二日程、顔を見ていない」

「いつも、休む時は一日だけだったよね? 具合、悪いのかな……」

「職員に聞いて見る?」

 シャキトゼリナからの提案に、ザミはふるふると首を横に振った。

「ギルドの職員、口が堅いから」

「セロアが次、いつ来るかだけなら、教えてくれるかも」

「そう……かな……」

 二人で小声でやり合っていると、魔物素材を引き取り所に出していたメンバーがやってきた。

「どうしたあ? しけたツラして」

 女性ばかりのパーティー「モファレナ」の古株で、一番の大柄トロシアナだ。彼女の後ろからは、同じくメンバーのムーテジャエルとペーゼも来ている。

「トロシアナに比べれば、みんなしけてるよ」

「だよねえ。自分はいつも熱量高いからって、他のみんなもそうだと思っちゃだめよお?」

「お前ら! あたしはただ――」

「はいはい、ザミ達が心配だっただけよねー」

「わかってるわかってる」

「むう」

 三人はいつものやり取りを見せ、それからこちらを見て心配そうに眉をひそめた。

「やだ、本当にどうしたの? 顔色悪いよ?」

「具合でも悪くなった?」

「ううん、違うんだ。ただ……」

「ギルドの職員に友達がいるんだけど、昨日今日と休んでるみたいで、心配」

 ザミとシャキトゼリナの言葉に、ムーテジャエルとペーゼが顔を見合わせる。

「職員の事なら、カウンターの連中に聞いたらどうだ?」

 トロシアナは、シャキトゼリナと同意見のようだ。

「でも、ギルドって職員の事をあんまり教えてくれないのよね」

「それに、二人の友達ってセロアって子でしょ? あの子、出世株だからって、いじめまでいかないけどやっかまれてるってさ」

 ペーゼの情報に、ザミが顔色を変える。そういえば、以前本人からそんな事を聞いたような覚えがあった。

「セロア……」

「ちょっと!」

 泣きそうなザミに、ムーテジャエルがペーゼの脇腹を肘で打つ。やば、という表情をしたペーゼが、続けた。

「あー、でもほら、出世株って事は、上には覚えがいいって事だから、滅多な事はないわよ、うん」

「滅多な事って……」

「ペーゼ! もう、あんたは黙ってな! ちょっとカウンターで聞いてくるよ」

 ムーテジャエルはそう言い残すと、報告も兼ねてカウンターへと走って行く。この時間帯はまだカウンターは空いていて、すぐに手続きに入れたようだ。

 少しのやり取りの後、彼女が戻ってきた。

「お待たせ。なんかね、上の仕事の関係で、しばらく本部の仕事は休むらしいよ」

「上の仕事? 本部長って事?」

「その辺りは濁されたけど、ともかく、本人に何かあった訳じゃないみたい」

「そうなんだ……ありがとう、ムーテ」

「どういたしまして」

 とりあえず、無事なのはわかったからいい。ザミはシャキトゼリナと一緒にギルドを後にした。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ