拍手 164 二百六十一「記録映像」の辺り
五番都市、シアター内にて。記録映像を見終わった直後。
「いやあ、長かったわー」
大きく伸びをするセロア。
「頭の方は、昔に作られたドキュメンタリーだからね。というか、記録映像かな? 見応えはあったけど」
「確かにー。にしても、本当に六千年前にこんな進んだ技術があったなんてねー」
「それに関しちゃ、文字情報でも出ていたけど、テロが大きいいんだよ。地下都市にウイルスをばらまいたらしくて、全滅状態になったそうだから」
「うへえ。バイオテロかよー。そのテロリスト達は?」
「大半が自分達がばらまいたウイルスで死んでるみたい」
「間抜けめ」
「まったくだ」
「にしても、病気治療が元でエルフが出来るとか、不思議にも程があるよ」
「遺伝性疾患の治療だったそうだから、遺伝子操作が入ったんじゃない?」
「そうなんだろうけどさー。種族特性を獲得する程の治療だったんかね?」
「その辺りは詳しい情報を調べてないから、わかんないなー。一番都市に行けばあるのかもね」
「そこで治療していたんだ?」
「らしい」
「はー。しっかし、大森林の奥に行ったはずが、何がどうして地下都市なんぞを見つけるかねえ?」
「でも、ネーダロス卿にとっては、ここを見つけさせる事自体が目的だったみたいだし」
「あー、ね。あの爺さんも、日本にそんなに未練があるのかねえ?」
「あんたはある?」
「私? そんなにないかなあ? もう前世の記憶も大分薄くなってるよ。それこそ、古い映画を見るような感じ。あんたは?」
「私は元々歯抜けな記憶だったからね。今日本に帰ったとしても、違和感だらけでうまく生きていけない気がする」
「私も」
意見の一致を見た事で、ティザーベルはセロアと笑い合った。




