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拍手 154 二百五十一「出現」の辺り
私はあいつが嫌い。前の主を殺したのは、あいつだから。
なのに、主は私を凍結しなかった。間に合わなかったのかもしれない。
だから、あいつは私の新しい主になった。
嫌いだけど、逆らってはいけない。
それが、私を黒く染める。
いつの間にか、ドレスが黒く染まった。
髪も。
あいつは気づいていないけど、支援型の色には意味がある。
通常の色は都市の傾向を示していて、ドレスの裾から色が変わっていく。
特に、黒に染まった時は要注意。
私の瞳まで黒くなったら、その時は都市の破壊が待っているから。
あいつはそれにも気づかない。
ううん、引き継ぎの際に、わざと知識を与えなかった。
この辺りに関しては、支援型の裁量に任されている。
私達を作った人達は、何を考えていたんだろう。
ああ、でも、あいつもこれで終わり。
黒く染まった私は、主の命の限界を見極めない。
さあ、最後の舞台に上がっておいで。




