表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
「オダイカンサマには敵うまい!」拍手の中身  作者: 斎木リコ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

125/177

拍手 125 二百二十二「隠れ里の襲撃」の辺り

 そろそろ帝国は冬。もうじき帝都にも雪が降り出す頃。

「寒いねえ」

 ネーダロス卿の隠居所から庭を眺めながら、クイトが呟く。

「冬だからね。ところで君、何しに来たんだい?」

「えー? ちょっと……ね」

 えへへと笑うクイトを見て、ネーダロス卿は笑みを深める。

「また、仕事から逃げ出して来たね?」

「な、何の事かなあ?」

 あらぬ方向を見る彼に、ネーダロス卿は溜息を吐いた。

「いい加減、書類仕事も覚えたまえ」

「えー? 書類にサインなんて、誰でも出来るじゃん」

「上がいい加減な事をすると、下が困るのだよ」

「それ、じいさんの体験談?」

「さてね」

 クイトが所属する魔法士部隊は、近年不祥事が多い。魔力が一定量以上あれば、身分に関係なく採用する制度が悪い方に作用し、貴族と平民の間で軋轢が生じている。

 その原因の一つに、貴族達が平民の功績を横取りしている事が挙げられていた。上がきちんと現場を見ていれば、起きなかった事でもある。

 クイトが副隊長になってから大分減ったとはいえ、まだまだ現場の無駄な軋轢は残っていた。

「あれもさあ、僕の前任者が悪い訳じゃない? しかも、ちゃんと罰は受けてるしさ。いい加減、下の連中も悪い事をすれば身分に関わりなく処罰されるって事、知ればいいのに」

「それを教えるのも、君の仕事だよ」

「面倒」

 クイトの短い返答に、ネーダロス卿は溜息を吐く。確かに、彼を今の地位に就けたのは、ネーダロス卿であり、本人の意思ではない。

 それでも、今まで何とか尻を叩いてここまでやってこれたというのに。やはり、もうじき臣籍降下するのが大きいのだろうか。

 どうしたものか。悩むネーダロス卿の耳に、クイトのぼやきが入った。

「本当、今頃どこでどうしてるんだろうねえ? 早く帰ってくればいいのに」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ