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「オダイカンサマには敵うまい!」拍手の中身  作者: 斎木リコ


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111/177

拍手 111 二百八「フラグが立った?」辺り

 十二番都市には、広大な人工湖がある。

「地下に湖……」

「え? 地底湖とか、聞かない?」

「聞かねえよ……どこの話しだよそりゃ……」

 呆然とするヤードと、げんなりするレモ。フローネルは素直にはしゃいでいる。

「綺麗だな!」

「そうだねー」

 理解が追いつかない男二人は置いておいて、ティザーベルはフローネルと二人で湖にボートを出す事にした。

 ボート遊びが出来るよう、桟橋もきちんと整備されている。ボートはオーソドックスな手こぎボートだ。

「スワンとかあったら、面白かったのに」

「あるわよー?」

「あるの!?」

 ティザーベルのつぶやきに答えたのは、十二番都市の支援型ヤパノアだ。

「数は少ないんだけど、子供が喜ぶのよ。足で漕ぐから楽なんですって」

 なるほど。現在は倉庫にしまってあるそうだが、入り用なら出してくるという。

 だが待て。子供が喜ぶと聞いた後に、じゃあスワンに乗る、とはちょっと言えない。

「……今回は、いいかな」

「そお? 乗りたくなったら、いつでも言ってね?」

 偏見だろうが、そう言っているヤパノアの顔が、何かを面白がっているようにしか見えない。いけない、思い込みは良くない事だ。

 ボートは他にカヤックタイプもあるそうで、一人でゆっくり水上を楽しみたい時にいいのだとか。

「これで渓流下りでもあれば、面白いのにね」

「あるわよー?」

「あるの!?」

 どうなっているんだ、地下都市。

「これがここの渓流下りよ!」

「いや、これどう見てもスプ○ッシュマウンテン……」

 屋内にあるそれは、空間拡張を使い見た目よりも広くした内部に、作り物めいた森を設えて、その中に通した水路を丸太ボートで流れていくというものだ。

 誰だ、これをここに作ったのは。この調子だと、ジェットコースターがあっても不思議はない。

「あるわよー?」

「またかよ! ってか、ないものの方が少ないんじゃないの!?」


 その後、全てのアトラクションを一巡したが、丸一日以上かかったとか。

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