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「オダイカンサマには敵うまい!」拍手の中身  作者: 斎木リコ


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104/177

拍手 104 二百一「七番都市」の辺り

 三人の老人が、顔をつきあわせて悩んでいた。

「さて、どうするかのう?」

「ここは思い切って真四角にするのはどうだ?」

「それだと、うまく魔力が循環しないのは実験結果として出てるだろうが!」

「では、やはり球形か……」

「それが一番効率がいいんだが……」

「丸ばかりじゃつまらん!!」

「「つまるつまらないの問題ではないわ!!」」

 老人が集まって頭を抱えているのは、これから建設が予定されている研究実験都市の為の動力炉の形状についてだ。

 理論上、魔力が一番効率よく循環するのは球形だが、この形にするには材質が高価になるという欠点がある。

 一番安価に出来るのは直方体だが、これだと魔力循環にロスが発生するのだ。コストを取るか、パフォーマンスを取るか。老人達が頭を抱える問題だった。

「何とかならんもんか」

「一応、半数は球形でいけるようだのう」

「残りの半数は、そのあおりを受ける訳か。悲惨この上ない」

「いっそ全ての都市で多面体を採用するのはどうじゃ?」

「球形と同程度の循環率を考えると、菱形三十面体がギリギリだ。それだと、球形とかかる金額がどっこいになる」

「だったら球形の方がいいわなあ」

 再び暗礁に乗り上げてしまった。


 結局、散々話し合われた結果、いくつかの都市で動力炉の出力を押さえる事により、八面体から二十面体の動力炉が採用される事となった。

 動力炉の形を見れば、自ずとその都市の規模が知れるという噂が流れたのは、都市が建設されてから十年近く経ってからの事である。

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