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銃は剣よりも強しっ!  作者: うらにうむ
第一章 転機
8/87

記憶



「先輩、先輩…泣かないでください」


「…」


「分かっていたことじゃないですか」


「そう、だけど…」


「先輩、いつもみたいに手を、握ってくれますか?」


「…ああ」


俺は彼女の細くて、小さな手を握った。


「えへへ、温かいです」


彼女の手は既に熱を失い始めている。


「先輩、今まで、ありがとうございました」


「…ああ、いいんだよ」


「私、先輩と一緒にいるときが人生で一番楽しかったと思います。」


「…ああ、俺もだ」


「…今日でお別れですね」


「…」


「そんな顔、しないでください」


彼女は手を伸ばし、俺の頬を撫でた。


俺を心配させないためか、彼女は笑顔を崩さない。


「もう、時間がないようですね…最後に我儘を言わせてください。私のことを、覚えててくれますか?」


「…もちろんだ。忘れないよ」


「えへへ、ありがとうございます…」


「…なぁ、俺」


「待ってください。私に、言わせてください…」


「…」


「私、先輩が好きです。ずっと想ってました。あなたのことが好きです」


「…俺も…俺も、お前のことが好きだ…」


「えへへ…最期にそれが…聞けて良かったです…これで、私は何も…」


「愛してる…俺は、お前を…」


「はい…私も…愛してます…」


そう言った後、彼女はゆっくりと目を閉じ、動かなくなった。


「ああ…あああ…」






()()()…」


…夢を見ていた。


顔に触れると、濡れていた。


どうやら泣いていたようだ。


…外は暗いな…朝まで寝ていよう。


俺は涙を拭き、もう一度ベッドに寝転がった。


「…ユウキさん。泣いてるんですか?」


「うわっ…なんだ、起きてたのかよ」


「いえ、ユウキさんが飛び上がった時に目が覚めただけです。お酒飲んだ時って眠りが浅いんですよ」


「そ、そうか…悪かったな」


「いえ、大丈夫です…それより、泣いてましたよね?」


「…気にすんな」


「どんな夢を見たのかは聞きませんが、無理はダメです。泣きたい時は泣いた方がいいんですよ」


「…」


「ほら、おいで」


ネムは腕を広げている


「…ありがとう」


「…よしよし、辛かったんですね」


「…」


その後も、ネムは何も言わずに撫で続けてくれた。





「あら、眠ってしまいましたか…うふふ、ユウキさんは可愛いです…ふわあぁ…私も寝ましょう。おやすみなさい」


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