プロポーズ
よくよく考えたらツムギの年齢が合ってないことに気がついたから、年齢は16歳から17歳になったのではなく15歳から16歳になったということで。
「泣くなよ、みんなが見てるぞ」
会場に集まっている殆どは既に状況を把握したようで、ニヤニヤとこちらを見ている。
「みんな…えっ!?」
「今日、お前の誕生日だろ。俺が裏で誕生日会を計画してたんだ」
「え…あ、そっか。もうそんな時期でしたか…そんな、私の誕生日なんか…」
「なんか、じゃない。皆お前には世話になってるんだ。少しは休んでくれ」
「う…」
ツムギは謙遜しがちな性格だ。
この国の王なんだからもう少しデカい態度をとってもいい気はするが、こういう慎ましやかで思いやりのある所がツムギのいい所でもある。
「ま、皆の時間を奪うのは申し訳ないし、早速だが…」
俺は地面に片膝を着き、手を差し出した。
「えっと…?」
「ツムギ」
「は、はいっ!」
「この世界に来てから、つまり生まれ変わってからお前には告白してなかったな、と思ってな」
前世ではツムギから告白されたから、こういうのを自分でするのは初めてだ。
俺は口が上手い訳では無いから、王道だけど…
「俺と、結婚を前提に付き合ってください」
今はまだ国とかで大変だから結婚は出来ないが、俺はツムギと結婚するつもりだという意思表示。
「先、輩…はい、はいっ!もちろんです!」
ツムギは目に涙を浮かべながら手を取った。
俺はツムギの手を引っ張り、抱きしめた。
「う、うぅ…先輩っ…!大好きです!」
「ああ、俺もお前のことを愛してる」
すると、宴会場の方から祝福やら歓声やらが飛んできた。
「それじゃあ皆!飲み物を掲げて!せーの!」
『魔王様!誕生日おめでとうございます!!』
メレスの号令で、わーっ!と息のあった祝福の言葉が城に響き渡った。
それと同時に料理が会場内に次々と並べられていく。
「皆さん、ありがとう…!ありがとうございます!!」
そんなわけで始まった誕生日会。
使用人たちが普段の感謝等を伝えるために集まってきたから、俺は少し離れたバーカウンターでオレンジジュースを頼んだ。
「あれ?ユウキ様、お酒飲まないにゃ?」
「ああ、このあと少しやることがあるんでな。酒は飲めない」
「ふーん…ほんとにユウキ様にゃ?こんなにかっこいい人がユウキ様なんて信じらんないにゃ」
「どういう意味だコラ」
にゃはは!といつも通り笑っているミーナの後ろには小さな影。
「ユウキ…?」
「よっ、アニス。俺だよ」
「…なんで男の人なの…?」
「前も言ったろ。俺は元々男なんだって。…やっぱり怖いか?」
「ううん、ユウキなら怖くない」
「そうか…よしよし」
次の更新日は未定。
できたら次の三連休までには1本だそうかと。




