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銃は剣よりも強しっ!  作者: うらにうむ
第二章 魔王国
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変身


「動かなければいいんだな?」


「はい!そこでじっとしていてくださいね」


ネムがチョークで地面に描いた魔法陣、俺は全裸でその中心に立たされた。

今からやるのは俺の姿を変える魔法だ。

どんな姿かと言うともちろん、もちろんカンダユウキという男の姿である。

反対側の舞台袖ではツムギも姿を変えることになっている。

もちろん本人は目隠しを外すまで気づかない。


「…はい、終わりました!」


「え、もう?うわ、久しぶりに聞いたな、この声」


いつもよりも高い視点、低い声。

俺が17年間、どこぞの誰かに奪われるまで生きてきた体だ。


「…なんです?」


「いや、なんでも」


当の本人はちっとも悪気のなさそうな、というか既に忘れてそうな顔で、いい仕事をした…とばかりに汗を拭っている。


「タイムリミットは今から6時間です。それまでえっちな事するなりお好きにどうぞ!」


「ばーか、俺は誠実な男なんだよ。そんな事のために体を変えたわけじゃねえさ」


用意していた服を着て、徹夜で作ったネックレスの1本を着けた。

…我ながら良い再現度だ。

俺が前世で肌身離さず着けていたネックレス…を真似て作った物。

あれはただのアクセサリーではなく、特別な思いが詰まった物だった。

多分、これからもこのネックレスを着け続けるだろう。


「おお、本当にユウキ君なのかい?」


「そうだよ。どうだ?」


「ふふん、いい男じゃないか。魔王様が羨ましいね」


司会者をしてくれるメレスがやってきた。

もうそんな時間か。

向こう側の舞台袖を見ると、ゼランがOKサインを出していた。


「よし、準備はいいかい?」


「…ああ、行ける」


返事を聞いたメレスはステージに上がった。


「皆、静かに。これより、魔王様の誕生日会を始めます。まず初めに、ユウキ君から魔王様へのサプライズを。それでは、魔王様とユウキ君、ステージ上にどうぞ!」


頑張ってくださいね!という背後からの応援を受け、ステージに上がった。

ザワザワとしていた会場内は、俺が出てくると共に、しん。と静まり返った。

全員驚いてるってよりも何事かと思ってるんだろうな。


「それじゃあ、ここに立っててね」


「えっ?ここで…いいんですね?」


向こう側からやってきた変身済みのツムギとゼラン。

ツムギをステージ上に配置し、応援してるわよぉ、と言わんばかりのサムズアップと共に舞台袖へと引っ込んだ。

目の前には1人の後輩。

あの時の俺を好きでいてくれた、たった1人の女の子。

巻かれている目隠しに手をかけ、解いた。

はらり、と落ちた目隠しの奥には、綺麗に輝くブラウンの瞳。


「…先、輩…?」


「ああ、ツムギ。俺だよ」


「えっ…と。なんで…夢、ですか…?」


「夢じゃない。俺は本物だぞ」


ぺたぺたと俺の手に触れ、腕に触れ、頬に触れた。

それから少し固まったと思ったら、突然抱きついた。


「先輩っ!」


「ああ、久しぶり…なのかな」


わーっと泣き出したツムギを抱きしめた。


毎度の如く、微妙なところでおしまいです。

次の更新日は三連休中のどこか!

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