タバコの葉
城に帰りつき、執務室のツムギに会いに行った。
ネムはゼランにどこかに連れていかれてしまったが…。
というわけで早速持ち帰ったタバコの葉を見せた。
「これ、あの小屋で見つかったってさ」
「またですか…」
「…また?」
「はい、実は…」
そう言って引き出しの中に入っていた小瓶を見せてくれた。
その中には俺が持ち帰ったものと同じ、タバコの葉が半分ほど入っていた。
「最初はゼランが城内で見つけてきて、その時は瓶の底に少し溜まっているくらいの量だったんですが、それからよく見つかるようになったんです。発見する度に入れていたらここまで溜まってて…」
「…これの持ち主は城内を出入りしてるってことか?」
「はい、事件の犯人と同一人物であると考えても良さそうです」
「…ああ、忘れてた。これも拾ったんだ」
出ていく寸前のネムから預かった宝石を見せた。
それを見たツムギは分かりやすく顔を顰めた。
「これは…魔術的なものではなく、もっとおぞましい…呪術的なものですか?」
「よくわかったな?宝石の部分を触ったら魔力とか吸われるから気をつけろよ」
じーっ、と見つめ、その指先をゆっくりと宝石に近づけ…
「お菓子貰ったから一緒に食べよー!」
「きゃあっ!?」
バーン!とドアを開けて入ってきたエメラによって緊張感が破壊された。
両手いっぱいにお菓子を持って、満面の笑みでやってきた。
「…あれ?どしたの?」
「あ、あはは…」
「脅かすなよ…」
「?」
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「あははっ!ごめんごめん!ほら、お菓子あげるから許して」
「子供じゃねえんだぞ…貰うけど」
一通り事情の説明をして、貰ったお菓子を口に入れる。
んー…うまっ。
「ふーん、タバコの葉と呪物ねぇ。あーしも国内でタバコを吸ってる人とか見た事ないかな。精霊さんに頼んで捜索してもらう?」
「そうですね…精霊なら人が感知できないから向こうに気づかれることも無いでしょうし」
「おっけー。精霊さん集まれー!」
そう呼びかけると、どこからともなく蛍のような光が集まってきた。
「えっとねー…このタバコの葉っぱがあるでしょ?これが…」
「…いつ見てもすごいよな、これ」
「そうですね…綺麗です」
キラキラと光る光の粒はエメラの指示を受け、窓から出ていった。
「これでよし、と。落ちてるタバコの葉っぱも拾ってくるように行ったから犯人がどういうふうに移動してるのかもわかるかもね」
…精霊さん、うちの女神よりも有能なのでは?
少し時間が経つと、ネムを連れたゼランが部屋に戻ってきた。
ネムが明らかに疲れているのだが…何をしていたのだろうか。




