報告書
最近、ガチャ運が神ってます。
そろそろ運使い果たして車に撥ねられそう。
「にゃ〜…う〜」
「そうか、ここが好きなんだな?おらおら」
「んにゃ〜」
膝の上に乗っているニアが蕩けきっている。
軟禁4日目。
朝から昼まで自室待機。
昼から夕方にかけてアンソルス、メレス、ネムによる、俺の中にいるという悪魔を特定するための問答。
夕方から夜は自室待機。
という、何とも退屈な毎日を送っている。
一人でいる時に思ったことだが、小屋が爆発した時とか獣の悪魔と戦っている時に、知らない声が聞こえていた。
もしかしてあれが悪魔だったり…?
コンコン
ん…?
時計を見ると既に夜の8時。
夕飯の時間だ。
「はいはーい。ってあれ、アニス?」
「ご飯だよー」
2人分の料理を持ったアニスが扉の前に立っていた。
てっきりミーナかと思っていたが…
「今日はミーナ、忙しいって。それに、最近会ってなかったから、寂しくて…アニスじゃダメ?」
「いいや、そんな事ないぞ。たしかに、軟禁されてから会ってなかったな…元気そうでなによりだ」
嬉しそうに頷いたアニスは、椅子に座った。
いただきます、と手を合わせて元気にもぐもぐと食べ始めた。
「ユウキ、大丈夫?」
「ああ、俺は大丈夫だぞ。っていうか俺の中に悪魔がいるかもしれないって知ってるだろ?なんでアニスに許可がおりたんだ?」
「ミーナが『どうせユウキ様だから大丈夫にゃー』って…」
「あいつ…」
こういう適当なところ、1回本気で叱っとかないと大変なことになりそうだ…
「アニス、次からここに来る時は他の人と一緒に来い。俺もいつ悪魔が出てくるかわかんないからな」
「うん、わかった」
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報告書
つい先日、月の悪魔が目覚め、我々が召喚した獣の悪魔を殺した。
その後、数分で再び眠りについた。
ユウキは覚えていないようだが、たしかにあれは月の悪魔であった。
おかしい。
実験に不備はなかったはずだが、月の悪魔が人を殺害せずに引っ込むなんてこと、あるはずがない。
聞いた話によると月の悪魔は、接触した魔王国幹部たち対して友好的に接していたとのこと。
それから、魔女や女神が悪魔の特定を始めたようだが、月の悪魔は自身の特徴をなるべく依り代であるユウキに反映させないようにして、自身の正体を隠し続けているようだ。
一体、月の悪魔は何を考えているのだろうか。
私たちの不利益になることはしていないが、少し嫌な予感がする。
もしもこれから月の悪魔が少しでも不審な動きをした場合、ユウキ諸共、月の悪魔を排除する。
そうなった時はこの国を乗っ取る為の計画も破棄し、国を破壊する。




