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銃は剣よりも強しっ!  作者: うらにうむ
第二章 魔王国
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何者

夏休みに入ったけどバイトばっかりで休んだ気にならぬ…


「姉ちゃん!?エメラ!どこだ!!」


「ゼノビアは私のところにいるよ!なんにも見えないけど!」


「これは、魔法…?こんな魔法、自分は…」


何かがぶつかり合う激しい音と風が目の前で吹き荒れている。

ユウキっちと獣の悪魔が戦闘しているのかな…?

そんなことより、ここら離れなくては…

何も見えないから、何かが飛んできたとしても避けられないし、いつ巻き込まれるかわからない。


「こっちだ!こっちに来い!」


ヘイルの声だ。

隣にいるゼノビアの手を掴み、ヘイルの声が聞こえる方に走った。


「うわぁ!?」


「眩しいでありますっ!」


突然闇が晴れ、眩しい朝日に照らされて目を細めた。

そこにはヘイルとアンソルスが立っていた。

後ろを振り返ると、大きなドームがあった。

距離感をつかみにくいほどの漆黒で、不気味だ。

私達はあのドームの中に居たのか…


「うおっ!?出れんのかよこれ!」


そして最後に合流したディード。

幸い誰にも怪我は無かったが、これはどうすべきなのかな…?

未だに鳴り続ける激しい音と吹き荒れる暴風は、更に勢いを増しているような気がする。


「…もしもこの戦闘が終わりユウキが生きているとしたら、全員近づくな。今のアレは多分ユウキでは無い」


「ユウキっちじゃないって…」


確かに目の色は違ったけど、精霊さん達も本物だって言ってるし…


「ゼノビア、お主の目は色を見る魔眼であろう?ユウキの魂は何色だった?」


「…さすが魔女殿。見ただけで自分の魔眼を言い当てるとは…はい、ユウキ殿の色は濃い灰色であります。それが表す彼の魂は…」


「…自身を悪人と思い込んでいる善人、だったか。ふむ…」


ゼノビアの普段前髪で隠している片目は、色を見る魔眼と呼ばれる特殊な眼だ。

魂の色を見ることが出来て、その色で人物像を把握することができるらしい。


『ーーーー!!!ーーーーー!!!!』


突然、闇の中から獣の悪魔の叫び声が聞こえた。それと同時に風が止まり、黒のドームが消え去った。

そこには、血まみれの獣の悪魔の上に座り込んでいるユウキ(?)の姿があった。


「ククク…よぁ人間共。無事か?」


「…貴様、何者だ?」


「それには答えられないな。ただ、()()()()()()。ということだけは言っておこう…む?もう終わりか…それじゃあな。また会おう」


そう言ったユウキ(?)は突然膝から崩れ落ち、動かなくなってしまった。

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