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銃は剣よりも強しっ!  作者: うらにうむ
第二章 魔王国
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帰還


「ユウキ様、おかえりなさいにゃ!…大丈夫にゃ?」


「…おう、馬車酔いで死にかけてるところにツムギの説教で追い打ちかけられただけだ…」


「お、お疲れ様にゃ…」


無事に帰ってきた俺達はツムギに呼び出され、勝手な行動は厳禁、せめてまずは連絡をしてください。と怒られてしまった。

俺の体調がすこぶる悪いというのもあってそこまで長い時間ではなかったが、そろそろ落ち着いて寝たい。


「それはそうとして、お土産ちょーだいにゃ♡」


「…」


「にゃ、にゃはは…流石に冗談にゃ、マジの目で見ないでにゃ」


どう泣かせてやろうかと考えている間にもまた目眩。

馬車酔いってここまで酷いものなのか?

と考えていると、背中に背負っている荷物から妙な感触。

あ、やべ。

ずっと入れっぱなしだった。


「みゃー!」


「にゃあっ!?」


荷物から飛び出してきたニアをミーナが顔面で受け止めた。


「ごめんなニア…完全に忘れてた」


どこかへ行かないように荷物の中に入れ、30分間閉じ込めてしまっていた。

相当怒っているようで、フシャー!と毛を逆立てている。


「ユウキ様!この超可愛い猫ちゃんはどうしたにゃ!?」


「こいつは向こうで拾ってきた猫のニアだ。…俺は今から寝るからご飯あげて遊んでやってくれ」


「にゃーっ!!了解にゃ!任せろにゃ!」


ニアをミーナに任せ、部屋に入ろうとすると…


「あ、アニスちゃんがユウキ様のベッドでお昼寝してるにゃ。起こさないように気をつけてにゃ」


なるほど、確かにアニスを見ないと思ってたが、昼寝か。

部屋の中はカーテンを締め切っているため暗くなっていて、ベッドの上は不自然に盛りあがっている。

布団を捲ると、小さな寝息を立てるアニスがいた。

起こさないようにゆっくりと布団の中に入った。


「んん…ユウキ…?」


「…すまん、起こしたか」


「ううん…大丈夫。おかえり、ユウキ」


「あぁ、ただいま」


俺の腕に抱きつき、再び眠り始めたアニス。

元気そうで安心だ。

安心したら眠気が更に…

…寝よ…




ーーーーーーーーーーーーー


実験内容:悪魔の種子

種子を植え付けられた者は次第に自我を失い、悪属性の人格に支配される。

今回使用するのは『月の悪魔』の種子。

月の満ち欠けによって力が増減するという特殊な種子である。

実験が上手くいった際には、魔王国が崩壊するほどの損害をもたらしてくれると期待している。


実験対象:魔王国幹部カンダユウキ


経歴:ネム神の目標であった魔王暗殺の為に魔王城に侵入し、捕えられる。

しかし、全てはゼラン神の行動を怪しんだネム神の勘違いであったことが発覚し、暗殺は中止。

加えて、偶然にも生前は魔王の恋人であったため、協力関係にまで発展。

今では魔王だけでなく、幹部やメイド達からも信頼されているようだ。


概要:普段は穏やかそうには見えるが、戦闘時であれば模擬戦であれ目の色が変わる。

戦闘中は判断が早く、常に効率的な行動を行っている。

その戦闘能力は幹部であるディード・セミラミスのお墨付きであり、神から授けられた権能とやらを使用せずとも、魔王国内トップクラスの戦闘力を保有している。

相当な場数を踏んできたのでは無いかと私は考える。

本日、コラル国の偵察から帰還したため、対象の人柄や途中経過をまとめておく。


インタビュー記録:対象の人柄についてのインタビューを録音した。同封している数字の割り振られた録音石を使用してください。

(1)魔王、ツマドリツムギ

(2)メイド、ミーナ・シトラス


(1)「先輩ですか?んー、生前の私が病気で入院していた時、寂しいだろうから、と言って毎日学校帰りにお見舞いに来てくれてました。あの時は嬉しかったなぁ…私は一人でいるのが苦手ですからね…え?学校とは…ですか。なるほど、この世界にはまだ学校が無い…全てが終わったあとには学校を…ブツブツ…」


(2)「にゃ?ユウキ様か〜…とても魅力的な人だと思うにゃ。お部屋はいつも綺麗だし、アニスちゃんだけじゃなくて街の子供たちにも優しいし、ミーのサボりもなんだかんだ言いつつもお目溢ししてくれる所とか大好きにゃ。ミーが結婚するならユウキ様みたいな人と結婚したいにゃ〜…へ?告白してみろ?な、なんてこと言ってるにゃ!魔王様に喧嘩売ろうとしてるにゃ!?笑い事じゃないにゃ!」


録音石を二つしか所持していなかったため、対象と特に親しい二人にだけインタビューを行った。

隣国に出向いた際に録音石を仕入れて、他の幹部らにもインタビューをしてみようと思う。


途中経過:種子による体質の変化について。

実験開始から約1ヶ月が経った今、確認できている変化は、酷い馬車酔いをするようになったというだけである。

普通であれば性格の激化など、何かが大幅に変わるのだが…なんとも地味な変化である。


以上で報告を終わる。

これからは一週間おきに経過報告をしていこうと思う。

作戦を実行するときは通話石を使用するため、この手紙に同封された通話石は肌身離さずにしておいてほしい。


録音石とは?

魔力を注ぐと音を吸収する特殊な石。衝撃を与えると吸収した音を発する。


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