救出
―魔力収集施設―
「…よし、行くぞ」
M4カービンを構え、見張りをしている3人の頭を撃ち抜いた。
施設内に侵入し、一直線の通路を走り抜ける。
「メレス、これ被ってくれ」
「なんだいこの珍妙な仮面は?」
「ガスマスクだ。有毒なガスを無効化してくれる。防犯装置が作動して睡眠ガスが噴出されたとしても、多分大丈夫だ。顔を隠すって意味でも街を離れるまでは外すなよ」
「うん、わかった」
中から人のいる気配や物音が無いのを確認して、部屋の中に入った。
メレスは部屋の中心にあるポッドに駆け寄った。
「…あぁ、お母様」
ポッドの小窓に触れ、中を眺めて呟いた。
どうやら本当に母親本人だったようだ。
「時間が無い。力ずくでぶっ壊すぞ」
「うん、お願い」
蝶番を撃って破壊。
扉の隙間にバールを差し込んで力を込めると、徐々に広がる隙間から液体が吹き出してきた。
バールを握り直し、身体全体を使ってバールを押す。
すると扉は開き、大量の液体と共に裸の女性が中から流れ出てきた。
「心臓は…動いてる、息もしてる…!よかった…!」
ピクリ、と身体が震えた。
女性はゆっくりと口を開いた。
「…む…眩しいな…」
何年も眠っていたからか、掠れた声で言った。
眩しそうに目を細めている。
メレスは一瞬だけガスマスクを外し、その顔を見せた。
「お母様っ!僕です、メレスです!」
「そう、か…そうか…助けに来てくれたのだな」
震える手をメレスの頬に当て、優しく撫でた。
一刻も早くこの場から離れるべきなのだろうが、話を切り出しづらい…
「よかった…お母様が無事で、本当に、良かった…!」
「ふふっ、泣くなメレス。そこの白狼が困っているであろう。顔を見る限り、こんなことをしている場合ではないと思うが?」
「そ、そうだった!早くここから脱出を…!の前に、ユウキくん!ポッドの底の部分壊してみて!」
「ここだな…ふんっ!」
近くにあった金属パイプをもぎ取り、ポッド内部の底を本気で殴る。
1枚の薄い板だった底は簡単に壊れ、空洞が現れた。
中心には赤く光る、みかんほどの大きさの水晶玉がひとつ浮かんでいる。
触れてみると表面は冷たいが、中からはとてつもないエネルギーを感じた。
「それそれ!持って帰るから、絶対に投げたり落としたりしちゃダメだからね!」
水晶玉をポケットに突っ込む。
「お母様、立てますか?」
「うむ、身体機能は衰えていないようだ」
メレスの手を掴んで立ち上がり、準備運動のように体を動かし始めた。
その…動く度に揺れる大きな胸のせいで直視できないというか…
「…外は寒いし、目のやり場に困るからこれ着てくれ」
「ほう、マナの物質化をその速さで…いや、今はやめておこう。感謝するぞ、白狼」
創造したトレンチコートを渡した。
「じゃあ行くぞ、時間は少ない。もしも包囲されてたら強行突破する。俺が殿を務めるから、その時は自分の身を守ることを優先して一直線に大通りまで走れ。いいな?」
二人が頷いたのを確認して、俺たちは出口に向かった。
この部屋の中、睡眠ガス充満してるんだよね…
なぜ魔女に効果が無いかは…まぁこの世界の魔女はチート級生物だし、作者が何も考えてないからとかじゃないし。
本当だし。
出来そうなら明後日にはもう一話更新します




