資料室
あけましておめでとうございます(遅い)。
「こちらユウキ、城内に侵入した」
『はいはい、ちょっと待ちなよ…よし、これだ。今どこにいる?』
「えっと…応接間かな?」
『それじゃあ…外に出たら右に曲がって突き当りまでまっすぐ行って』
真夜中の城内。
ほとんどの人間が眠っているであろう時間帯で、物音ひとつ聞こえない。
潜入と言ったら苦い記憶もあるが、今度こそは失敗しないように気を付けないといけない。
『突き当りに着いたら、そこを左にまっすぐ。そこから三つ目の扉が資料室だよ』
「了解」
今日は城内の資料室から書類を拝借するという任務だ。
物音を立てないように慎重に歩いていると、奥の方から何者かの靴音。
慌てずに物陰に隠れ、もしものためにナイフを抜いておく。
息を止め、真横を通っていく人影をじっと見つめた。
「~♪」
陽気な口笛を鳴らしながら歩いていく警備員。
通り過ぎても動かずに、警備員が見えなくなるまで。
「…はぁっ、ふぅ…」
もう一度前後を確認し、誰もいないことを確認し、資料室に入った。
幸いカギはかかっておらず、あっさりと目的地に到着してしまった。
中には4個の本棚が並んでおり、びっしりと冊子が詰め込まれている。
「メレス、資料室に着いた。どれを持って帰ったらいいんだ?」
『えっと、この国の主要施設の…』
メレスからの指令を忘れないようにメモに書き写していく。
『以上、とりあえず今日はこれくらいで。一気に盗んだら』
さて…この中から探すのはさすがに骨が折れる。
懐中電灯を創造して、本棚を照らす。
背表紙に文字が書いていないだと…
骨が折れるどころの話じゃなさそうだ。
日が昇るまでに終わったらいいのだが…
――――――
「城内に勤務する者へ、立ち入り禁止の部屋について…これは必要…かな」
『ユウキ君、そろそろ日の出だよ。そろそろ切り上げた方がいい』
「了解、ちょうど全部の棚を漁り終わったところだ」
資料室から出て、裏口の向かう。
ちょうど使用人の起床時間なのか、時々廊下を歩く使用人と思しきを人達を見かける。
来た時よりも慎重に行かなくては…
―――――――――
「はああ…疲れた…ほい、資料」
「うんうん、お疲れ様、ユウキ君」
「お疲れ様ですぅ…私も疲れました…」
「お前この任務で何かしてたのか?」
俺が潜入して、メレスが指示を出す。
ネムは別に何もしなくてよかったはずだが…
「むっ、何を言いますか。これでも私、権能で創った鳥を使って資料室の周りを監視してたんですよ?」
そう言って、ポンッ、と手の上に鳥を出現させた。
「そうだったのか…」
「ふふん、この私に感謝してくれてもいいんですよ?」
「…そうだな。ありがとう、ネム」
「うんうん、どういたしまして!」
今年もよろしくお願いいたします。




