表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銃は剣よりも強しっ!  作者: うらにうむ
第二章 魔王国
39/87

ある日のメイド

たまには日常回。

今回はミーナ視点のお話です。


「んーっ…。ふわぁ…」


時間は早朝4時過ぎ。

私たち、メイドの起床時間だ。

ベッドから出ようと、身を起こしてから気が付いた。


「んぅ…みー、な…?」


「アニスちゃんはまだ寝てていいにゃ」


「んー…」


隣で眠る少女、アニスちゃん。

彼女は今のところ食客ということになっているので、特に起きる時間も決められていなければ、特に仕事もない。

そもそもまだ12歳だから仕事なんてあるはずないけどね。

アニスちゃんの頭を撫でて、ベッドから抜け出した。


「うへ、寝ぐせが…」


櫛で髪を梳かし、もさもさになった耳を水で濡らして整える。

よし、ばっちり。

メイド服に着替え、背伸びをした。


「んーっ…今日も一日いい日になりますように。にゃ!」


そう言って、食堂に小走りで向かった。


~~食堂~~


「ん~、何食べようかにゃ…あ、コルネちゃんおはよ。1週間ぶりだにゃ」


「あ、ミーナ。おはよ」


同期のメイド、コルネだ。

人間の中でも高い能力を持っているらしく、この城でメイドをしながら、魔王様から頼まれた雑用もこなしている。

そのため、城に居ないことが多いのでさっき言った通り、会うのは一週間ぶりだ。


「ここにいるってことは、今日はただのメイドさんかにゃ?」


「そうだね…ほんとに魔王様が頼んでくる雑用って簡単だけどめんどくさいのが多くて…」


「今度は何を頼まれたにゃ?」


「えっと…近くの森に人を襲う植物があるから燃やしてきて。とか、ミュール国に文書を配達して、とか…魔王様は優しいけど人使いが荒いんだから…」


「にゃはは」


友人の愚痴を聞きながら、頼んでいた魚介スープを啜る。

しばらく談笑していると、いつの間にか5時手前。

急いで食事を終わらせ、自分の持ち場に走った。


5時になったら、まずはユウキ様を起こして、ベッドを整え、着替えた後のパジャマを回収してランドリールームに持って行く。

しかし、しばらくはユウキ様がいないため、いきなり城の掃除だ。

私の掃除区域は、幹部たちの私室がある二階の西側。

掃除道具入れからバケツと窓拭き用のタオルを取り、井戸に向かう。

井戸の水を汲んでいると、少し手にかかってしまった。


「にゃああぁ~…冬の水はやっぱり冷たいにゃあ…」


「おはよう、ミーナ」


「にゃ?アメリ姉さん、おはようにゃ!」


後ろに立っていたのは私の先輩であるアメリ姉さん。

このお城のメイド長を任されているだけあって、バリバリと仕事をこなすその姿は、メイドたちの憧れである。


「1時間くらいしたら倉庫に来てくれるか?少し頼みたい仕事があってな…」


「了解、にゃ!」


~~一時間後~~


窓拭きを急いで終わらせ、倉庫にやってきた。

そこにはクリップボードを片手に、何かを確認しているアメリ姉さんの姿。


「アメリ姉さん、ミーは何をしたらいいにゃ?」


「おお、早かったな。ここにあるのは魔王様たちへの荷物だ。これを届けてくれるか?」


そういって手渡されたのは、手紙などの郵便物だった。


「そこに名前があるから、よろしく頼んだぞ。私はこっちのを持って行く」


「了解にゃ!」


倉庫を出て、それぞれの部屋に向かう。

最初は…ヘイル様宛だ。

扉をノックして、声をかけた。


「ヘイル様ー、お手紙にゃー」


「おはようミーナ。私宛に手紙か…?」


「はい、とっても綺麗な文字で宛名が書かれていますよ」


「う…またか」


手紙を読み、露骨にいやそうな顔をしたヘイル様。

表情の硬いこの人のこんな顔は初めて見たような気がする。

そんなにいやな相手だったのだろうか?


「とりあえず、ありがとう」


「はい!それでは~」


次は箱に入った荷物。

宛先は…メレス様だ。

メレス様は今いないので、とりあえず部屋に置いておこう。

次の荷物は…あれ?またメレス様だ。

次も、その次も…

そういえばメレス様は、様々な研究で結果を残しているらしい。

実験のための道具や材料をいろんな場所から仕入れているらしく、こうやって、遠くの場所に依頼することも少なくないそうだ。

あれ?今この箱から変な声みたいなのが聞こえたような気が…。

怖いから知らないフリしとこ…。


次の手紙は、魔王様宛だ。

しかもこのハンコって…多分重要書類だ。

私みたいなただのメイドじゃなくて、もっとしっかりした人が渡すべきなんじゃないのかな…?


「魔王様ー、お手紙ですにゃ。多分めちゃめちゃ重要な手紙だと思うにゃ」


「重要な手紙…ああ、多分シュレン国との対談のお誘いをした時の返事ですね。ありがとうございます」


本当に重要そうな書類だった。

こんなに警戒が甘くて大丈夫なのだろうか…?


最後の手紙は…私宛?

これは…お母さんからだ。

急いで自分の部屋に戻り、封筒を開封した。



愛する娘へ。


お久しぶりです、母です。

元気にしていますか?

私たちは元気です。

あの日からあなたの姿を見ていないので、私たちはとても心配です。

でも、困り果ててどうすることもできない時は帰ってきなさい、と言ったのに帰ってきていないということは、きっとあなたは元気に過ごしているのでしょう。

あなたの今の上司の魔王様はとてもやさしい方と聞いているので、もしかしたら私たちの心配もいらないお世話なのかもしれませんね。

今、幸せですか?

笑って過ごせていますか?

そうなのであれば、お父さんも天国で笑ってくれるはずです。

私も、セレナも、ルイヒも、あなたのことを応援しています。

お休みを貰えたら、偶には帰ってきてね。

愛してるわ。


あなたの母より。



相変わらず、字が下手なお母さん。

でも、この字はとても安心するし、とても懐かしい。

そして、とても暖かい気持ちになる。

次にお休みを貰った時、久しぶりに会いに行こう。


「ミーナ…?なに、みてるの?」


「…ん。アニスちゃんおはようにゃ。何でもないにゃ」


「そう…?なら、いいけど」


手紙を置き、いつの間にか起きていたアニスちゃんを抱きしめる。


「…?」


かつて、私もこの子とほとんど同じ境遇だった。

だから親身になってお世話をしているのかもしれない。


くぅ…


「お腹、空いた」


「うん、食堂、行こっか」


…私もそうであったように、この子もきっと、家族に会えるはずだ。

私たちは手をつなぎ、食堂へ向かった。

会話文以外のミーナの一人称が「私」なのは故意です。


大晦日ですね。

皆さんは如何お過ごしでしょうか。

私は母とマトリックスの新作を見てきました。

前作から時間が経ってるからキアヌ・リーヴスもキャリー=アン・モスも老けてて、驚いた。

キアヌって57歳なんすね…


とりあえず、良いお年を~

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ