表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
銃は剣よりも強しっ!  作者: うらにうむ
第一章 転機
29/87

アニスフィア

進路はほぼ確定したのでただいまです。

しかし、期末考査が今月末辺りにあるので、また一週間くらい休むかもしれません。

楽しみにしてる方々へ。


ごめんに☆


目を覚ました少女に、家族の元に戻れないかもしれないこと、それから、その怪我は二度と治らないということを伝えた。


きっとこの少女は動揺し、泣き叫ぶだろうと身構えていたのだが…


「う、ん…大丈夫…大丈夫、だよ…わかってた、から…心配、しないで…」


「…」


予想に反して、少女は笑顔で答えた。


…この子はきっと優しいのだ。


俺を心配させないように大丈夫なふりをしているのだ。


証拠に、その目にはうっすらと涙が浮かんでいた。


俺は何を言ったらいいのかがわからず、


「おいし、かった」


「そうか…おかわりはいるか?」


「ううん、大丈夫」


手術後にしては結構な量を平らげた少女から、皿を受け取る。


「じゃあ、少し話を聞いてもいいか?」


「うん、いい、よ」


~~数十分後~~


「ありがとう…アニスって呼んでもいいか?」


「うん」


アニスフィア・エメリッヒ、12歳。


エルフというだけあって魔法は得意らしい。


一カ月ほど前、人間界と魔界の境目辺りで奴隷商人に捕まり、ラディス国の貴族に買われたらしい。


されたことは…伏せておく。


ラディス国の貴族と言えば、一人だけ思い当たる人物がいる。


何もしないくせに、国王と古くからの仲である、父親の七光りで好き勝手していると、有名な貴族だ。


噂の中には女遊びが激しいだの、酒癖が悪いだの、浪費癖があるだの、いい噂は一つも聞かない。


きっとそいつで間違いがないだろう。


「体が汚れてるな…まだ傷が塞がりきってないから風呂は入れないし…アニス、車いすに乗せるから少し抱えるぞ」


「うん…ねえ、ゆう、き?」


「なんだ?」


「助けて、くれて、ありが、とう」


「…あぁ」


俺はアニスを車いすに座らせ、手術室から出た。


~~数分後~~


丁度昼休憩の時間だし、ミーナとネムがこの部屋にいるのは分かっていたが…


「にゃはは!またまたミーの勝ちだにゃ!」


「うぐぐ…なんでこんなに強いんですか…!」


「何やってんだお前ら…」


クッキーをチップに見立ててトランプで遊んでいたようだ。


「「あ、おかえりなさい!(にゃー!)」」


「何やってんだ…」


「…その子は?」


二人は俺が押している車いすに座った、全身の怪我が目立つ少女を見て、目を見開いている。


~~数分後~~


「奴隷商から救出した一人…なるほどにゃ…」


「ミーナ、まだ傷が塞がりきってなくて風呂に入れないみたいだから、体を拭いてやってくれ。それと、アニスに合う服を見繕ってやってくれ」


「ん、了解にゃ。アニスちゃん、痛いところがあったら言ってにゃ」


俺はミーナが座っていた椅子に座り、新しいカップに紅茶を淹れた。


「人間ってここまで個人差があるんですね。ユウキさんやミーナちゃんはこんなにも優しいのに、それに対して、一人の少女にここまで残酷なことをできる人間もいるんですから…」


「っ…そう、だな…」


「ユウキさん?」


「…ん?どうかしたか?」


「いえ、なにか難しい顔をしていたので…大丈夫ですか?」


ネムは不思議そうにこちらを眺めている。


俺は平常を装って、紅茶に口をつけた。


「ああ、大丈夫だ。ちょっと考え事をしていただけだ。気にすんな」


「そうですか…ならいいんですけど」


…頼むからそんな信頼しきった顔でこっちを見ないでくれ。


()()()()()()()()()()()()()()()


エルフたちは、「一度でも離れてしまったら帰ることはほとんど不可能である」と、大人に言われて育ちます。

アニスちゃんが言っていた「分かっていた」というのはそういう意味です。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ