奴隷商
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魔王国付近の道路で、俺とゼノビアは馬に乗り、奴隷商を追っていた。
「ユウキ殿、自分が寄せるので、その時に向こうの馬車に飛び乗るであります!」
「了解!」
手綱を握るゼノビアの後ろから馬車に飛び乗り、馬を操縦している小太りの男のこめかみを割と本気で殴り、気絶させる。
「ガァッ!?」
手綱を引いて馬を止めさせた。
「おい兄弟!なんでとま…ギャッ!」
荷台から出てきた細身の男の腹を殴り、荷台に転がす。
荷台には女性が複数人乗っていて、足や腕、口を縛られている。
やはり間違いはないようだ。
「よぉ」
「ごぶっ!」
腹を蹴り飛ばすと、男は荷台の壁にぶつかり、吐いた。
「おぶぇ!げぼっ!…はぁっ、はぁッ!へへっ」
「なに笑ってやが「後ろ!!」ッ!」
背後には先ほど気絶させたはずの小太りの男が斧を振り上げていた。
かかとで男の股間を蹴り上げると、男は蹲り今度こそ気絶した。
「ありがとよ。助かったぜ」
口元の縛りが甘かったのか、女の子の一人が教えてくれたようだ。
「お前らはもう大丈夫だぞ。こいつら縛ったらその紐外してやるからもう少し我慢してくれ」
「ふーッ!ふーッ!てめぇ…殺して、やるッ!」
「寝言は寝て言え。おらっ」
男たちを外に放り出した。
「ナイスであります!」
外に居たゼノビアが男たちを拘束していく。
「よし、全員外に出てくれ」
捕まっていた女性を全員外に出し、腕や口を縛っている紐を切っていく。
解放された女性たちは抱き合って喜んでいる。
「帰るための馬車がもうすぐ来る。いったんうちの国に来ることにはなるが、それからは家に帰れるように手配するから、安心してくれ」
「あ、あの…」
「ん、どうかしたか?」
俺に話しかけてきたのは、俺よりも少し小さな女の子だった。
「奥に、まだ一人、残ってるんです」
「奥?」
薄暗い馬車の中をフラッシュライトで照らすと、荷物の影で分かりにくかったがもう一人がいることに気が付いた。
「おい、どうかしたか?ここは暗いからいったん外に…」
「ひっ…うっ…ゴメンナサイ…ゴメンナサイ…もう、痛いのは…」
「!!」
照らされた少女の身体はボロボロだった。
体中に青い痣があり、片目が無い。
しかも、右腕、左手人差し指の欠損、腹部には縫合跡もあり、見ているのも辛い。
血のにじんだほどけかけた包帯に、抜糸もされていない傷口。
明らかに処置が不十分だ。
よく見ると、耳は長く、綺麗な顔立ちをしていることから、エルフだということがわかる。
「この子はどうしたんだ。言え」
「へっ。見たら分かんだろ」
ドシュッ
「あ、がぁあああああ!!ひっ、ひぃぃいい!」
男が持っていた高そうなナイフで肩を突き刺した。
「ゆ、ユウキ殿!」
「大丈夫、死にはしない。おい、口の利き方には気をつけろよ。いつでもお前を殺せるんだからな」
「ひぃっ!わかった、わかったよ!」
男が言うには、エルフは美人が多く、体中に高純度の魔力が秘められているため、あそびにも魔道具の材料としても売れるとのこと。
彼女はとある国の貴族共に買われ、好き勝手された挙句、魔道具の材料として必要なものだけを取られて、この奴隷商に処分を命じたらしい。
そしてこいつらは、他にも売れる部位の残ったこの少女を魔道具の材料として売ろうとしていたらしい。
「教えてくれてありがとよ、糞野郎」
そういって、顔を思いっきり殴った。
早く連れて帰って、メレスに治療してもらおう。
彼女なら正しい処置を施してくれるだろう。
今すぐにでも殺してやりたくなるが、これは奴隷商の捕縛する任務なので殺してはいけない、我慢しろ。
「ユウキ殿、気持ちは分かりますが、少し落ち着いて…」
「…ああ、すまん。大丈夫だ」
俺たちは迎えの馬車が来るのを待つことにした。
前書きのことを言いたいがために更新しました。
これからもよろしくね!!




