風呂
進路とかのこといろいろやってたから遅くなりました。
ごめんネ
女性を家まで送り届け、帰路についた。
後のことは、ツムギがどうにかするとのこと。
「あーあー、ツムギ、聞こえるか?」
『はい、きこえますよ。大丈夫でしたか?』
「おう、任務成功、今帰ってるところだ」
『そうですか…!お疲れ様です、帰ってきたら、ゆっくりお話しましょうね』
「ああ、そうだな」
~~数時間後~~
「遠すぎんだろマジで…」
魔王城の扉をくぐると、ディードが居た。
「おっ、もう帰ってきたのか!お疲れさん!」
「おう…本当に疲れた…」
「とりあえず風呂入ってこい!それからこの屋敷内の案内すっからよ」
ディードに風呂まで案内された。
俺は向こうの部屋で待ってるぞ、と、奥の部屋に行ってしまった。
女性用と書かれた暖簾をくぐり、脱衣所で服を脱ぐ。
いや待てよ、俺は女性という括りでいいのか?
…大丈夫なはず、だよな?
日本にあった銭湯と同じような作りだ。
きっとツムギのおかげだな。
がらら…
「~♪おっ、ユウキ君じゃないか。お疲れ様!」
そこに居たのはメレスだった。
…白衣なんか着てて分かりにくかったが、意外と胸が…
「…ユウキ君、元男としてはやっぱり僕の身体が気になるのかい?」
「あーすまん…無意識だった。許してくれ」
「ふーん…ま、僕は別にいいけど、魔王様に言ったらどうなっちゃうんだろうね?」
と、ニヤニヤしながらこっちを見ている。
「それはやめてくれ、マジで」
「ふふっ、冗談だよ冗談。ほら、こっち来なよ」
「ん、お言葉に甘えて」
そういって俺はメレスの隣に座った。
「ふぅ…このお湯、落ち着く匂いするな…」
「ふふん、僕が調合したハーブを入れているからね。効果は魔王様のお墨付きだよ」
絶妙な湯加減に、薬草の優しい香り、とても心地いい。
久しぶりの入浴にぼーっとしていると、となりのメレスが話しかけてきた。
「ねぇユウキ君、魔王様は向こうの世界でもあんな風に甘えんぼさんだったのかい?」
「んー、まぁ、あんな感じだな。甘えるのが好きで、優しくて、いっつもニコニコしてた」
「へー…やっぱりそうなんだ…」
「やっぱりって…こっちでは違うのか?」
「うん、優しいのは同じだけど、超真面目って感じだったんだよね」
「真面目なのも変わらないな。まぁ、ゼランと魔界の統一なんて目指してるから、緊張してるんじゃないかな」
「うん、そうだと思う。だからね、みんな結構キミに感謝してるんだよ」
「感謝?」
「いっつも張り詰めた表情の魔王様があんなに表情を崩して、笑顔になってたんだ。あんな表情は誰も見たことがなかったはずだ。信じてないーとか言ってたけど、ヘイルだって内心では感謝してるんじゃないかな」
「そっか…そうだといいな」
「魔王様、キミが帰ってくるの楽しみにしてたから、後でお話ししてあげなよ?」
「ああ、わかった」
そういって、メレスは出ていった。
あの様子から察するに、他の幹部たちからのツムギに対する好感度は結構高めなようだ。
それにしても、本当にツムギが…
人生何があるかわからないもんだな。
シャワーはどんな建物にもあるけど、お風呂はそれなりに裕福な家庭ではないと入れない。
そんな世界です。




