クズ
あばばばばばば
ぎぃ…
「ここもいない…か」
二階建ての屋敷の部屋をあらかた探し回ったが、まだ幹部やアイザックを見ていない。
やはり今は出かけているのか?
いったんツムギに連絡を…
「いやあああ!!やめて!離してぇ!!」
叫び声だ。
声の発生源と思われる執務室の中を覗くが、やはり誰もいない。
…?よく見てみると本棚が少しずれている。
隠し扉ってやつか。
本棚を横にずらすと地下への通路が現れた。
ろうそくが等間隔に置いてあるだけで、とても暗い。
銃を腰から抜き、下に降りると、木でできた粗末な扉があった。
少し開いて中の様子を見る。
「ん~!んー!!」
「ちっ、暴れんな!」
「おいおい、顔だけは殴るなよ。ブサイクな女は抱きたくない」
ベッドに縛り付けられた女性が大男に口を押えられ、服を剝かれている。
女性は必死に抵抗しているが、最後に残った下着に手を伸ばされ…
その状況を楽し気に幹部連中とアイザックが眺めている。
見てられん。
フラッシュバンを創造し、ドアをノックした。
「あ?誰だこんな時に…」
扉の隙間からピンを抜いたフラッシュバンを転がし、扉を閉じる。
「なんだこれ」
その声と同時に、激しい炸裂音と光が扉の隙間からあふれ出した。
「ぐあああああ!?」
「目が!耳がああ!!」
「ひいいい!?」
扉を開けると、全員が目や耳を抑えながら悶えている。
アイザックの頭に銃口を突き付けた。
「へっ?」
間抜けな声を発するアイザックの頭を撃ちぬいた。
バチュッ
アイザックは地面に倒れ、動かなくなった。
他の幹部たちも。
バチュッ、バチュッ、バチュッ、バチュッ、バチュッ
「…ふんっ」
そりゃ支持者もいなくなるわな。
「あれ…なんで?見えない…聞こえない?」
…フラッシュバンは人質救助作戦なんかに使われるらしいが、こんなに狭い密閉空間なんだからもう少し配慮するべきだったかな。
ナイフを創造し、女性の手を縛っている縄を切った。
「あれ?」
「大丈夫だ、もう安全だぞ」
そういって抱きしめ、頭を撫でた。
…そうだ、まだ耳も聞こえてないんだったか。
「あ…う、うぁぁ…っ!」
それでも、状況を察したのか、女性は泣き始めた。
泣き出した女性が泣き止むまで優しく撫で続けた。
任務完了かな。




