傍観者1人+2柱
コルネ視点です
これはいったいどういうことなのだろうか…
「ツムギ!?本当にツムギなのか!?」
「せんぱーい!!!」
飛びついた魔王様をユウキと名乗った女性が抱きとめる。
あんなに泣く魔王様を見るのは初めてだ。
「うえええ…ぜんばぁい…!会いたかったですぅ…!」
「俺もだ!ツムギぃ…!」
「あらあらぁ?ひょっとして、その子が例の子かしらぁ?よかったわねぇ」
「え?えっ?ゼラン様?私には何がなんなのか…?」
隣に立っていた、優しい目で眺めていたゼラン様に聞いてみた。
「ほら、前に言ってたでしょう?ツムギちゃんは違う世界から来たって。その世界に居た時の恋人があの子なのよぉ。とってもつらい別れだったみたいだから、うれしいでしょうねぇ」
そう、だったんだ…
「ちょっと、絶対に私が居ていい空間じゃないじゃないですか!」
「あらぁ、ネムちゃん。今度こそお久しぶりねぇ」
「ふんっ」
「わぁっ!?なんか増えた!?」
いつの間にか私の隣にユウキと同じ顔をした黒髪の狼人が立っていた。
魔王様とゼラン様みたいに、ユウキの神様なのだろうか。
「それで、なんでこんなに大変な時期に来ちゃったのぉ?」
「あなたたちが西に…人間界に侵攻を開始したという情報を手に入れたからに決まってるでしょう!」
「「…?」」
私とゼラン様は一緒に首を傾げた。
「なんですかその目は」
「えーっと、ネムちゃん?西に侵攻を開始したのは事実だけど、人間界は関係ないわよぉ?」
「はい、今侵攻しているのはここから西にある獣人の国、エニアンです」
「え?エニアンって…魔界ですよね?」
「ええ…ネムちゃん管轄外だからって魔界のこと本当に何にも知らないのね…」
「…ええ、興味もありませんでしたから」
「魔界はいろんな派閥に分かれて覇権争いしてるのよぉ?」
数十年ほど前に魔界は分離した。
ある国は種族で、またある国は同じ志を持つ者で。
どの国も魔界での覇権を求めて戦を繰り広げている。
「えっ…じゃあゼランがこの世界に降りてきたのは…」
「ええ、そろそろ決着をつけてあげないと、魔界が崩壊しちゃうかもしれないのよぉ」
「…」
「その様子だと、私が人間界の支配を目論んでると思って降りてきたのねぇ?」
「だって!上ではいっつも私の邪魔ばっかりしてたじゃないですか!そりゃあ思うに決まってんじゃないですか!」
「何回も言ってるけど、あれはミスを直してただけなのよぉ?」
「ぐぬぬぬ…余計なお世話なんですよ!」
「ぐぬぬじゃないわよぉ…それはそうとして、あの二人に人前だって言ってきてくれないかしらぁ?」
「む、無理ですよ。あんなに感動的な再会を邪魔できるはずがないです。ユウキさん、私と一緒に過ごした2ヵ月でいっちばんうれしそうなんですもん…そっとしてあげましょう」
…まだ続けてたんだ、あの二人。
もうすぐ学校始まっちゃうのね…
一緒には住んでないけど、兄も最近コロナに感染したらしいから怖いのね…




