風紀特殊外戦委員会の誘い4
それから数分後。
気を失っていた火乃子は目を覚まし、負けた事を涙目になりながら悔しがり、去り際に一言、
「まだ諦めたわけではありませんわ! 次に機会があれば、その時、旭君を私のものにしてみますの!」
そう言い、恵愛と静華を連れ去っていった。去り際に恵愛と静華は、やったねっと言うようにぐっと笑いながらこっそりとガッツポーズをしていた。
その後に残ったのは、風紀特殊外戦委員会のメンバー、それと旭と美和の五名。美和は体育館のあと片付けを終え、四人のもとに。
「日和ちゃん、カレンちゃん。旭はまだ入るかどうか分からないけどよろしくね……」
「はい、当然です。守りますとも」
「後輩ですものね」
「それじゃあ出てった出てった。体育館閉めるからねー」
真剣な声から明るさを戻す。
「じゃあ委員会室に行こうか」
にっこりと微笑む日和にただ「はい」と応え、そのまま後ろについて行く旭だった。
ガラリと開かれる委員会室、電気をつけて暗かった部屋に光がともる。
真ん中には大きなテーブルがあり、部屋の隅っこにはソファがあった。他にも色々とあるが省略。
「とりあえず座ろうか」
そう日和は言い、ソファの方を勧める。
旭はそのまま言われて通りに座り、その隣に椿が座った。
残りの二人は向かいのソファに座る。
「さて、それじゃあ入る入らないの前に説明をしないとね」
ソファとソファの間にもテーブルがあり旭と椿の前にペットボトルのお茶が置かれた。
「「ありがとうございます」」
「いえいえ」
委員会室に来る前に買っていた様だった。
「まず風紀特殊外戦委員会って聞くだけで、普通の風紀委員会とは違うのは分かるよね。まー普通に学園の風紀を取り締まったりも当然するんだけど、それはほぼおまけで、学園内のフェアリーによる私的戦闘を止める事が主な目的」
日和は自分で買ったお茶を一口飲む。
「それで学園内だけではなく、僕達特戦は学園外のフェアリーの事件も取り締まったりもするんだ。これはどこの学校、学園にも僕達みたいな特戦はあって、国によって決められた委員会なんだよ。だから給料も出たりするんだよね」
「えっ!? お金もらえるんですか?」
そこでニヤリと日和は笑った。
「うん、貰えるよ。基本は五万だけど、何かしらの事件の解決に関わったらボーナスも貰える。言わばフェアリー治安部隊の下位存在かな」
「なるほど。お金、ボーナス、なるほど」
漫画、アニメ的に言うと目が¥になっていた。
「とりあえずの説明はこれくらいかな? でっ、どうする旭君?」
くぴくぴと飲むカレンも、
「どうするのよ。目が¥になってるけど」
呆れながら言う。
椿は笑いながら、
「入ろうよ。一緒に頑張ろうよ」
旭の袖を引っ張る。
うーんと悩む様に眉間にシワを寄せ目をつむる。
ほとんど入る事が頭内では決まっているのだが、悩むふりをする。
「入ってもいいです金、間違えた入ります」
くくくっと笑う日和、呆れ顔のカレン、笑いを堪える椿。
「じゃあ明日もここに来てくれ。皆に紹介しないといけないからね」
頷いた旭はペットボトルのお茶を飲み干し、椿と共に委員会室を後にした。
□■□■□
次の日、授業は全て終わり、放課後。
恵愛、静華と別れ、椿と共に委員会室へと向かった。
「そういえば特戦? って何人くらい居んの?」
「んーと、全体で十二人だよ。旭で十三人目になるかなー」
「へー、結構多いなー。それで心構え的な事ある?」
「無い無い。普通にしてたらいいよ」
何か緊張しているようで、ソワソワとする旭。
そして委員会室に着き、椿がノックし、中からどーぞと声が聞こえ、ドアを椿が開ける。旭はゴクリと生唾を飲み込んだ。
「失礼します」
「ひ、失礼します」
中には十一人の男女がいた。全員揃っていた。
旭が知っている人は日和とカレンだけ、後は初めて見る顔である。
「旭君こっちこっち」
大きなテーブルの端に日和とカレン。日和に手招きされ、それに従い向かう。椿は後ろの方の席に座った。
そして日和とカレンのあいだに立った旭に注目が集まる。色々な視線が突き刺さる。
どうすればいいか分からず、冷や汗が出る。
「この子が天乃風先生の弟さん、旭君だ。今日からみんなの仲間になる。仲良く頼むな」
日和の言葉にカレン以外の全員が「はい!」っと言葉を返した。
「旭君、何か言っとくかい?」
右手を座る全員に向けて言った。
「あ、は、はい。あの、先程先輩が言った通り天乃風 美和の弟で旭っていいます。気軽に旭って呼んでください。まだ全然分からない事だらけですが、よろしくお願いします」
パチパチと日和とカレン、椿が手を叩くと、周りも同じく手を叩きはじめる。
そして拍手がおさまると、
「さて、それじゃあ旭君は私のチームに入るから、椿の隣に座ってくれるかい」
女子が座る場所を指差し言ったのだが、そこで、カレンが抗議の声を上げ立ち上がる。
「ちょっと待ちなさい。何故男子の旭が私の所では無く、あなたの所なの? 普通旭は私達の男子チームでしょ?」
そこでニヤリと笑って、
「天乃風先生からお願いされたのだよ。もし旭君が入る事になったら、女子側にしてほしいとね」
得意げにびしっとカレンに指をさした。
「なっ、先生がそんな事を……。それじゃあ何も言えないじゃない」
そう言って悔しそうに座るカレン。
「そういう事で、旭君もわかったね?」
旭としては椿がいるチームに入れる方が楽なので、何も言わず「あ、はい」っと椿の隣の席に座った。
その後は昨日のあったフェアリーによる私闘などや事件などが話し合われ、男子チーム女子チームに分かれ、行動を開始した。
よかったらでいいんで、物語の正直な感想をいただけたらありがたいですm(_ _)m




