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日々戦争に明け暮れる世界をクリアする為に、一ヶ月の修行を終えた俺は人々を導く”王”として更なる戦いに身を投じることになりました  作者: ふくあき


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エピローグ

「まずはひとつ、といったところでしょうか」

「だな」


 静かな夜の砂漠を大型車両(SUV)とサイドカー付きのバイクが並走する。夜空は意外にも明るく、上を見上げれば大小様々に輝く星を目にすることができた。


「……拳王は、果たして約束を守ると思いますか?」

「守るだろうよ」


 一連の出来事を聞いた上で、シロは今回の会談による約束が本当に通ったのか半信半疑のままだった。望み通りに戦ったとはいえ、相手の気分を損なわせるような決着のつけ方をしたのは間違いない。

 しかしそれを差し引いても、ジョージはその問いに対して断言することができた。


「あんな負け方をしておいて、その上不意打ちを仕掛けてこようものなら、ナックベアの名が泣く」

「それはそうですが……」

「それにあいつとは再戦の約束もしている。それを果たさずに、後ろから突っ込んでくるような真似はしないさ」


 拳王とて武闘家。戦うならば真っ向から来るに違いない。


「それにしても、良かったのですか? てっきり【転送(トランジ)】で買えるかと思っていましたから」

「それも考えていたが、チェーザムまでくらいならのんびり帰るのもありだと思ってな」


 これが以前のジョージやシロであれば、用が終わり次第互いに即座に離脱をして、各々が修練などの時間に当てていたであろう。

 しかしその期間は既に充分とってきた上に、実力の証明も既にできている。このことは改めて二人にとって多少の余裕を持たせる要因となっていた。


「……しかし次は、こう上手くいくでしょうか」

「…………」


 シロの言葉に、ジョージは答えを返さないままだった。それもそのはずで、次の交渉相手こそ、包囲網阻止の為の一連の訪問において最大の難所となる国が相手だったからだ。


「“超文明国家”テクニカ……かつてのマシンバラも凄まじいものだったと記憶していますが、あれから百年、どこまで技術が進歩しているのか」

「少なくとも、移動要塞を超える何かを持っていると考えておくべきだろうな」


 かつて前作において、ジョージ達が戦った中で最も苛烈な戦いを強いられた相手――それがマシンバラであり、今作におけるテクニカの前身となった国の名前でもあった。


「アルカディアで見た個人乗りのホバーボード、あれなんて前作では見なかったからな」

「そうなんですよね。あんなものでゲリラ戦を仕掛けられようものなら、まず剣士側が勝負になりません」


 小回りが利いてかつ高速移動できる乗り物に乗っての、一方的なヒット&アウェイ。しかも片手装備のハンドガンでも持たれようものなら、何人いても関係ない。


「ベヨシュタットの前線に出ているのが、今のところまだ飛行船が飛んでくるレベルの小競り合いが精々らしいとのことから、そんなに大量生産とまでいっていないと思いたいが……」

「テクニカからすれば、ベヨシュタットなんていつでも潰せると思っているのでしょう。適当にあしらいつつ、裏でどんどん文明レベルを上げていく……フフ、まるで都市育成シミュレーションのようです」


 シロは自分で言いつつ笑っているが、その実あまり笑い事で済まされることではなかった。


「俺達が反旗を翻してベヨシュタットに革命を起こそうってところで、先にその本国を取られようものなら本末転倒だからな」

「向こうはそこまでやる気がないとはいえ、我々の交渉次第では即座に実行されかねませんからね。今のベヨシュタットが弱っている訳ではないと言いつつ、そのベヨシュタットを変えるべくひっくり返すという……我ながら言っていることがあやふやに思えてきます」


 矛盾をはらんだ交渉――しかしそれをやらなければ、初代剣王の意思を知る者として、ベヨシュタットの人間として戦う意味がない。


「……なあ」

「はい?」

「今更だけど、俺達結構無謀なことやってるよな」

「確かに今のギルドをまるっきりそのまま他国へと持ち出して、それこそ貴方が今秘密にしていることも含めてテクニカ辺りに属すれば即、ゲームクリアできるでしょうね」


 自分も含めて、今いる集団ギルドを引き連れて現状の情報を集める限り最強格といえる国家テクニカにつけば、戦いを一気に終わらせることができるだろう。


「しかし貴方も私も、あえてこの道を選んでいる」

「ああ。懐古の気持ちが大きいのかもしれないが、それでも一度忠誠を誓った国だからな」


 ベヨシュタットでないのであれば、刀王という肩書も意味がない。そして“殲滅し引き裂く剱ブレード・オブ・アニヒレーション”にこだわる意味もない。


「初代剣王を知る俺達が、やるしかないんだ」

「どこまでいこうが、これは変えられませんからね」


 そうして彼らは再び、新たな旅に出る。多くの困難を抱えながらも、たった一つの意思を元に、戦い続ける。


 ――ゲームクリアの文字を目にする、その日まで。

 ここまで読んでいただきありがとうございました(´・ω・`)。急ではありますが、この作品は一旦ここで区切らせていただきます。

(´・ω・`)<作者のこの作品におけるアウトプット能力が低下してきていて、このまま週一で書いたとしても後で見返してグダグダになりかねないと思い、最悪またしても年単位のエタも見えそうだったので、ここで一旦完結という形にしようと思います。

 またマシンバラ編のアイデアが纏まったら、シリーズものとして別作品で立ち上げようと思っています。ここまで読んでいただきましてありがとうございました。

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