オフコラボ feat.レベッカ・カタストロフィー #7
レベッカさまに言われ、後ろからレベッカさまのしているゲームの観察をしていると、分かったことが一つある。
このゲームで、僕が何かに気づくことってほとんどなくない?
レベッカさまはコメントを見ずに、実況をしながらゲームを進めているので、コメントの対応は僕がしていると流石にレベッカさまの方ばかりを見ることはできない。
『と、ここの問題は理科の教科書にも載っていると思うから、分からなかったら見直した方がいいかもね』
教科書なんてもうないよ!
卒業してすぐに捨てたな……
いい思い出だったな……
教科書と書いて落書き帳と読む
特に歴史の教科書は落書きの名本だもんな!
『皆様、そんなことしてたんですか? さすがの僕でも落書きはしてませんよ……』
『え、勉強できない子って教科書に落書きばっかりしているイメージだったのに、ヤマトって落書きしてなかったの?』
『僕にそんなことする勇気なんてありませんよ。何より、教科書に落書きするなんて罰当たりです! 作ってくれた人に申し訳ありませんよ!』
『良いこと言うね!』
俺が悪かった!
捨ててしまった教科書。もういないかもしれないけど言わせてくれ、ごめん!
ヤマトってものを大切にする一面もあったんだ
物思いのヤマトきゅんも素敵!
『まぁ、落書きはしませんでしたけど、枕にしたことはありますかね。あの分厚さがちょうどいい高さになってくれるんですよ!』
『前言撤回! しっかり教科書として使ってあげようよ!』
まさかの不意打ち!
確かに枕にするにはいい高さなんだよな……
枕にしたときに教科書の臭いがして頭がリフレッシュされたのを思い出す
俺は早弁するためにバリアとして使ってたな!
『枕にしたのには意味がありますよ。昔聞いたことがあるんです。頭の下に本を敷いて眠るとその本の夢を見るって。そうすれば少しは頭がよくなるかなと思ったんですけど……』
『やってることが、眠ったら覚えるって言ってる人と同じすぎる! それに教科書の夢って何?』
『分かりません』
『夢見たんじゃないの?』
『うわさを聞いたことはあると言いましたけど、見れたとは言ってませんよ』
『……確かに。え、じゃあその行動って意味なくない?』
『はい。無駄な努力でした』
『そういうのは努力してから言おうね』
レベッカさまは、実況をやめて僕と会話をしながらストーリーを進めていった。
早さで言えば国語には到底及ばないけど、それでも普通に早い。
『あ、間違えた』
ここで珍しくレベッカさまが間違えたみたい。
これまでも数問ほど間違えたことはあったけど、今回はそれだけ難しいらしく、選択問題なのにだい長考している。
って、あれ?
この問題の答えって……。
『レベッカさま、この問題の答えは3番ですよ』
『え、どうして?』
『いえ、なんとなくなんですけどそんな気がしたんです』
『……とりあえず、3番で行ってみようか』
レベッカさまが3番を選択すると、赤丸がつけられる。
そして、モンスターに大ダメージ。
『すごい! なんでわかったの!?』
『いや、本当にただの勘なんですよ……』
自分でも正直分かってない。
でも、あの選択肢を見た瞬間、頭の中で3番という言葉が浮かんできた。
だから分かった理由なんて存在しない。
ヤマトすげぇ!
ただの勘でも普通にすごくない?
全然解けなかった……
俺の勘は1と言ってたのに……
『……ヤマトって選択し問題間違えたことあるの?』
『どうでしょう。僕の学校選択肢問題ほとんどなかったのであまりわかりません』
覚えている範囲では、選択肢問題を答え忘れた覚えはたくさんある。
あの時は後でも解けるって思ってたら、時間が足りなくて解けなかったんだよね。
『……まぁ、ヤマトのおかげ難しい問題も突破できたし、早くこのステージも攻略しちゃおうか!』
そこからのレベッカさんは、少しつまずくことはあっても、長く考えることはなかった。
多分、可能性のある選択肢がたくさん出て来て、どれも可能性があったせいで迷ったんじゃないかなと思う。
ステージ開始して、約1時間。
理科Ⅱのラスボス戦で一度負けたけれど、再挑戦にてステージをクリアした。
『……難しかった! 多分今日一頑張ったと思うよ!』
『え、そうなんですか? 実況しながらやってたので余裕かと思いました』
実況してたから、楽そうだと思った!
え、今日一なん?
そんなに大変そうじゃなかった……
余裕そうじゃなかった?
『まぁ、実況しながらする余裕はあったんだけどね、問題が難しくて、頭があまり回らなかったよ』
『そういえば、レベッカさま、今日初のデスでしたもんね』
『うん、1回もやられるつもりはなかったんだけどね。だからとっても悔しい!』
……確かに。
今日1日が長すぎて全然気づかなかったけど……
確かに初めてやられてた。
そう考えると、今日1頑張ったってのにも納得いくな……
『レベッカさま、次はどのステージ行きますか?』
『うーん、あと残っているのは英語と地歴公民だから……英語を先にやっちゃおうか!』
『はい……僕は絶対に役に立てないので応援しておきます!』
『うん。でももし何かわかったことがあったら言ってね。さっきの科学では助けられたから!』
『分かりました。ということでご主人様がた、ついにレベッカさまの英語が始まりますよ! 本場の英語を見ながら一緒に学んでいきましょう!』
おお!
レベッカって英語をしゃべることあんまりないからな……
たまに単語を言うくらい?
普通に楽しみ!
リスナー様たちも楽しみにしているように、僕も少しだけ楽しみ。
レベッカさまは英語よりも国語が得意と言っていたけど、それでもアメリカ出身の外国人。
英語だって絶対にできるはず!
『あー、ご期待に沿えないかもしれないけど、多分英語はあんまり話さないと思うよ』
『え、そうなんですか?』
『うん、英語は学べるかもしれないけどね。だから、みんなは私の答え方を見ながら学んでね!』
『ということらしいです。英語を聞くことはできないかもしれませんが、しっかりと説くところを見て、僕たちも英語の勉強をしましょう』
はーい!
はいっ!
ヤマト様と一緒に英語の勉強ができるなんて幸せです!
英語を覚えるには外国人の彼女と付き合うといいらしい。
『へー、外国人の人と付き合うと英語が上達するんですか。知りませんでした!』
僕がコメントに対応している間に、レベッカさまはゲームを始めていた。
最初の問題は比較的簡単な穴埋め問題。
【問題 次のカッコに入る文字を入れなさい。 I ( ) ken】
『簡単だね。訳は【私はケンです】。この中にはいつのは【am】だね』
宣言通り、【am】を入れると赤丸がつけられる。
『ヤマトはさっきの問題の答えは分かった?』
『はい、いくら僕でも英語の挨拶くらいできますよ』
『ふ~ん、じゃあ今から言う英語を訳してみてよ。【Nice to meet you】』
『……えーっと、こ、こんにちは?』
『それはhelloね。答えは初めまして。これくらいできないと英語の挨拶ができるとは言えないよ』
『出直してきます』
レベッカの英語スゲー!
本場の英語だ!
日本人はどうしても単語すべてを読んでしまう癖があるからな。俺もだけど
やっぱり発音からだいぶ違うね
『まぁ、私の英語なんてアメリカに言ったら普通だからね。それに、うまく発音できなくてもある程度は伝わると思うから、英語ができない人は外国に行くことがあったとしても伝える努力だけはしてね!』
『だそうです。皆さま、最低限の英語だけ勉強して、あとは気持ちで伝えるようにしましょう!』
おー!!
……話しかける勇気がないので。
外国に行く予定がありません
人に伝える力があったら、陰キャなんてやってない……
そもそも外国怖いから行きたくない。
家から出たくないです!
『まぁ、皆さんならそう言うってことがなんとなくわかってましたよ。僕もそっち側なので』
『何共感してるの? 次の問題に行くよ!』
ゲーム画面を見ると、すでに新しい問題に切り替わっていた。
レベッカさんはその問題を難なくクリアして、先に進んでいく。
しばらくすると、英語の問題でも選択肢問題が出てくる。
レベッカさまなら簡単に解けるかと思ったけど、なかなか苦戦しているみたい。いまだにどれを選択しようか悩んでいる。
『ヤマト、どれがいいと思う?』
『レベッカさまに解けない問題が僕に分かると思いますか? 何より英語ですよ?』
『英語って言っても、スペルを当てる問題は難しいんだよ。日本人だって、漢字を埋める問題の時に間違えたりするでしょ。それと同じだよ』
分かりやすいたとえ。
日本人なのに日本の言葉が分からない人がいるように、外国人なのに英語を解けない人がいるってことだよね!
『2番だと思います』
『因みに理由は?』
『ただの勘です。頭の中で『2』という数字が鳴り響いてるだけなので』
『……よし、2番にしよう!』
レベッカさんが【2】と入力すると赤丸がつけられた。
『やったー! やったよヤマト!』
『や、やりましたね。当たって良かったです』
『これで裏ボスに行ける!』
『……裏ボス?』
聞きなれない言葉が出てきた。さっきまではラスボスだけだったのに、急に出てきた裏ボスというのは何だろう。
『あ、ヤマトは知らなかったね。裏ボスって言うのはね、このゲームにある指定の問題を一発でクリアすると、戦えるボスだよ。そのボスを倒すと、いくつかアイテムがもらえるんだ』
『それがさっきの問題ですか?』
『うん。英語のラスボスは特に難しいからね。準備万端で行きたいんだ! ……お、モンスターが出てきた!』
裏ボスとのバトルが始まったが、そこに出てきた問題文のヤバさに、あまり驚きを隠せない。
文章にして約20行すべてが、英文で埋め尽くされていた。
『……OK。解けました』
『……え、早くないですか?』
『この問題は何回もやったことあるからね。慣れたおかげでどこを見ればいいかとかわかるようになったんだよ。これで良し!』
レベッカさんは、読むことのできない速さで、英単語を打ち込むと赤丸がつき、いろいろな道具を手に入れた。
『さてと、最終戦に向かいますか!』
……オフコラボ長すぎない?
何でこんなに長くなったんだろう
読んで下さってる方、本当にありがとうございます!




