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高校受験に失敗したのでVtuberで才能を発揮します!  作者: 楪桔梗
第七章 ゴールデンウィーク!!!!

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オフコラボ feat.レベッカ・カタストロフィー #3


出前アプリでお弁当を注文してから、僕はゲームのほうに戻った。


さっきゲームオーバーになってしまったので、今はレベッカさまがプレイしている。


『えーっと、【問題 円周角の定理を6つ答えよ】……ヤバい。4つしか覚えてない』


問題を見ればわかるけど、レベッカさまは僕と同じ数学の問題を解き、現在のレベルは48。だいぶ先に進んでいる。


どうしてこんなにレベルが高いのか。

答えは簡単で経験値のいいモンスターばかりを倒して先に進んでいるから。


流石やり込んでいるだけのことはある。


因みに僕は、途中から問題の意図を全く理解できなくなった。


今レベッカさまが解こうとしている問題も全く理解できないもん。

これって数学だよね?


『えーっと、【同じ弧に対する円周角は等しい】【同じ弧に対する中心角は円周角の2倍】【直径に対する円周角は90度になる】【弧の長さが同じなら円周角・中心角も等しい】……あと2つ何だっけ!? ヤマト分かる?』

『全然わかりません』



ヤマトにそれを求めるな。

ヤマトが分かるわけない!

難しすぎない?

あー、これ受験に出てたな~。

レベッカに解けないものをヤマト様に解けるわけないでしょ!



コメント欄、少し僕に対して失礼すぎない?

まぁ、本当のことなんだけど……。


現在、僕はコメント欄を見ているが、最初はコメントを見るの禁止にしていたけど、レベッカさまの配信はスパチャがたくさん飛ぶため、せめて反応しようということになり問題を解いていない方がコメントに反応することになった。


『えーっと、【円の内接する四角形の対角の和は180度になる】あと1つ!』

『レベッカさま、時間が!』

『え? ……あ』


ここで時間切れとなり、レベッカさまは問題を解くことができずに不正解。ペナルティーによりレベッカさまはダメージを受けた。

因みに相手モンスターが同じ問題を解き、残りの一つを正解し、レベッカさまに大ダメージが入る。


『あー! 残り一つは【円周角・中心角の大きさは弧の長さに比例】だった!』

『よく覚えてますね。僕全く分かりませんでしたよ』

『ヤマトはそうかもね。でも普通だったら覚えてないと! 高校受験の問題なんだから!』



……ふつう覚えなくね?

いくら勉強してもこれを覚えるなんて無理がある。

これって数学の問題だよね? 国語の問題じゃないよね?

安心しろ、数学の問題だ。それもかなり高難易度の……。

解ける方がおかしいよ……



『リスナーの皆様も解けないみたいですよ?』

『え、ふつう覚えるよね!?』



いや、覚えねぇよ!

俺大人だけど、使う機会って全くない

受験勉強の時に「これいつ使うんだよ!」って言いながら勉強したの思い出したな~

これに関してはヤマトの方が普通。レベッカの方がおかしい。



『とのことですけど……、何か感想は?』

『え、えーっと……あ、次の問題行かないと!』

『逃げましたね』


【問題 次の4つの公式を求めよ。 円の面積、円錐の側面積、球の表面積、おうぎ形の面積】


既に僕には全く理解できない文字がたくさん。

そもそも公式って何?


『これは前の問題に比べれば簡単だね』

『えっ』

『答えは【πrの2乗】【π×半径の2乗×360分の中心角】【4πrの2乗】【πrの2乗×360分のa】ですね』


レベッカさんが記入し終えると、回答には4つの赤丸がつく。

つまり全問正解。


『ヤマトはこの中で何か知ってるのあった?』

『πだけは知ってました。クラスの男子が叫んでたので』

『あー、確かに、男子中学生はこの言葉好きそうだね~』



……ああ、

俺も中学の時叫んだな~

必ずいるよね、下ネタがあったらそれで遊ぶ人。

私の学校の男子もよく使ってた。

男なら必ず一度は通る道……

男子「これあの子のπだよ!」女子「男子サイテー」これが日常だったな。

分かるっ!



やっぱり全国どこでもそうなんだ。


僕はまったく気にしなかったけどね。

むしろ3.14がπに変わってくれたおかげで面倒くさい計算をする必要がなくなって喜んでたな~。【π×x=xπ】って答えればよかっただけだし。


『さてと、πの話はここまでにして、次に進もうか!』

『ですね。まぁ、僕は問題がまったくわかりませんけど』


レベッカさまがゲームを再開しようとすると、家のチャイムが鳴った。


『あ、出前来たかな。ヤマト、私少し見てるから代わりにやってて!』

『え?』


レベッカさまはそれだけ言い残し行ってしまう。

渡された直後、モンスターとのバトルが始まってしまう。



おいおい!

ヤマトにこのレベルは無理だろ!

幼稚園生に高校受験の問題を渡して解かせるのと全然変わらんぞ!

オワタw



なんかさんざん言われてる。


仕方ない。これだけは使いたくなかったけど、使うしかないよね!


『リスナーの皆様。大変長らくお待たせしました。ここから僕、本気出したいと思います』



どうした急に?

今までは本気じゃなかったのか?

本当は頭がよかったりして……。

ヤマト様の本気気になります!



【問題 柱体の体積を求める公式を答えよ】



お、簡単じゃん!

これならヤマトでも行けるだろ

これだったら数学ができない俺でも行ける!

さぁ、ヤマトの本気見せてくれ!



みんなすごいな。

こんな難しい問題が簡単なんて。

僕なんて問題の意味を理解することすらできないのに。


大体柱体? って言うの何。せめて図形見せようよ!

そしたら解けるかもしれないからさ!


レベッカさまがここまで進めてくれたのに、適当に答えて失敗したら申し訳ない。

それにこれはまだ数学編。


この他にも国語、英語、理科Ⅰ、理科Ⅱ、地理、歴史、公民とあるのに、時間をかけるわけにはいかない!


仕方ないね。

ここは僕の本気を出すとしよう!


『「リスナーのお兄ちゃん、お姉ちゃん、僕に答え教えて」』



……ぐはっ!?

え……だれ?

耳が壊されかけた!

え、え……何?

て、天使が見える……



あれ?

なかなか答えが出てきてくれない。

仕方ない。もう一回お見舞いしよう!


『どうしたのお兄ちゃん、お姉ちゃん。僕、早く答えが知りたいよぉ。なんで教えてくれないの?』


少し泣き声で言うことでみんなの母性本能をくすぐる。



言う! 言うから泣かないで!

柱体の公式だよね! 今調べるからね!

簡単って言ってて答えが出て来てないの草

俺がヤマトちゃんに一番に教える!

いや、僕だ!

コメントする暇があったら調べろよ



お、いい感じにコメントが盛り上がってくれてる。

やっぱりロリ、ショタ声はなかなか使えるね。


『ヤマト! 今戻ったよ!』

『あ、やばっ!?』

『お? リスナーたちと何か話してたの? 私にも見せて~』


ヤバい! と思った時にはすでに遅く、レベッカさまは僕の横からコメント欄をのぞき込んだ。



柱体の公式は底面積×高さだよ!

底面積×高さ!

底面積×高さだから、これを記入して!

底面積×高さだよ! だから泣かないでね~

底面積×高さ

底面積×高さ

底面積×高さが答え! レベッカが来る前に記入……あっ

ヤマト終了の知らせ。

カンニングがばれる! 早く隠せ!

底面積×高さ

あ~あ、やっちまったな!



『ヤマト、これはいったい何デスか?』

『え、えーっと、これはですね……』


ヤバい、レベッカさんがものすごく怖い……!?



あ、オワタ

レベッカガチギレ中

外国人特有の訛りが出た

触らぬ神に祟りなし、ヤマト様申し訳ございません。

レベッカは普通にしているときは感じられないけど母性が強いからな。



『れ、レベッカさま? 少し落ち着きましょ!』

『shut up、ヤマト? 私は何してるかを聞いてるデス』

『……か、カンニングを、してました』



声振るえてる

そら振るえるわな

怖すぎだろ

流石にこれはヤマトが悪いな。



『ヤマト? カンニングはいいことデスか?』

『い、いけないことです』

『じゃあ、なんでカンニングしたデスか?』

『こ、答えが分からなかったので……』


レベッカさまの顔を見ることができない。

でも、どうしてこんなに新鮮な気持ちになってるんだろう。


怒られているのに変な気持ちの正体。

それはあっさりと分かってしまった。


そうだ。僕がここまで本気で真剣に怒られるのって、生まれて初めてなんだ。


母さんは基本僕たちを怒ってくれない。

ダメなところは優しく注意して、同じことを繰り返さないように言ってくれる。


父さんはダメだったところをぼかすように言い、気づかせ、どうすればいいかのアドバイスを教えてくれる。


だけど二人とも本気で怒ったりしない。

それは僕たちを思ってていうのもあるだろうけど、何よりも少ない家族の時間を大事にしたいから。


だから、怒る暇があったら注意して切り替えてくれる。


だけどレベッカさまは違う。

しっかりいけないことは注意してくれる。

そして優しい。


『答えられなかったらいけないことして良いんデスか?』

『……ダメです!』


だからこんなに心に響くんだ。


『良いデスか、ヤマト。解けないなら解けないでいいじゃないデスか。大事なの自分の力で解こうとした行動と、間違いを恐れない気持ちです』

『うぅ……』

『さぁ、私の胸に飛び込みなさい。受け止めてあげますから』

『ママーーー!!!』


両手を広げるレベッカさまの胸に僕は思いっきり飛び込む。

別にやましい気持ちはない。

ただ、レベッカさまの胸は母性の塊だったことだけは覚えている。



良い話やな

俺、小学生のころカンニングしたのを悔やんだ

自分はテストのやり直しでカンニングしたわ。

学生時代の時にこの配信見たかったー

これが、レベッカが『非常識組』のママと呼ばれる所以!

更にレベッカだとどんなに気まずい空気になっても元の空気に戻すことができる!



『さぁ、ヤマト! 気を取り直してゲームやろうか! この問題解いたらお昼食べよ!』

『はい。柱体の公式ですよね。……【底辺×高さ÷2】!』


さっき見たコメント欄が一瞬で頭から吹き込んだので、僕の知る唯一の公式を記入する。

何の公式だったかは忘れちゃったけど……。


案の定、答えは間違い。

自分にダメージが入り、敵の攻撃を受けて倒れてしまった。


『……やられましたね』

『でも、自分の力で解いた方が面白いでしょ。勉強もゲームも同じ、最初っから答えを見て進んでいっても何も面白くないんだよ。せっかくなんだし苦労して攻略しないとね!』

『今後は気を付けます』

『うん。それじゃあお腹空いたし続きはお昼ごはん食べてからにしようか。それじゃあみんな、いったん休憩ね! 配信したままにしておくから、私たちの日常を聞きながらお昼ご飯を食べるもよし。いったん切ってから、再開するときに繰るもよし! ということで次は1時からゲーム再開するね!』



一瞬迷走しかけた。

危ない危ない!

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