エピローグ

2028年4月10日　10：30

【Y】（旧トリッター）にて約４年近くの間、まともに更新されていなかった一つのアカウントにて投稿された1つの『スラ』が話題を呼んだ。

【神無月ヤマト

　本日19時より、４年ぶりとなる復帰配信を行います。ぜひ見に来てください！

　追伸【朗報・吉報・悲報】大事なお知らせあり！　（ついにヤマトの性別が明らかにぃ！！？）】

このスラはすぐに拡散され、投稿されてから1時間もしないうちにトレンドのランキング全てがヤマト関連のもので埋め尽くされた。

当然同業者のライバーたちもこのスラには反応している。

スラが投稿されいの一番に『リスラ』したのはヤマト様親衛隊000001の称号を持つガーデンランド５期生の白狼ウルフ。

長文でヤマト復帰に対する思いを書いたのは普段のスレでは淡白な投稿が多いことで有名なリアルJK。現在高校2年生でヤマト様親衛隊000076のニュー・チルドレン１期生の鳳凰ミカド。

ヤマトのイラストを描いてお祝いのスレを投稿したのは、現在１児の父でイラストレーターのミネルバ。

ヤマトの投稿をリスレし、事務所のメンバーを集めて同時視聴緊急大型コラボの告知をしたのは、ヤマト様親衛隊000023のごろろっく２代目メンバーの鬼頭キラリ。

その他にも多くのライバーがヤマトの復帰に対して、祝いの言葉や配信お休みなどのスレを投稿していた。

当然反応していたのはライバーだけではない。

小さい娘と一緒に配信を見るとリスレをしたのは、１年と数ケ月前に結婚を発表、現在は１児の母となった女優の飛鷹凛音。

今日は家族と一緒に応援しますと長女と長男、旦那の写真を載せてリスレしたのは、神無月ヤマトのママで実の姉である花村カナ。

ヤマトの復帰に対して祝いの言葉と一緒に自身の筋肉の写真を載せてリスレしたのは、元ごろろっく１期生にして現在はボディビルダーとして活躍している骨筋ドラゴン。本名佐藤龍太郎。

ヤマトのスレから30分後に自身のコスプレ写真を撮りリスレしたのは、ヤマト様親衛隊000002の称号を持つ【1234】の2、プロコスプレイヤーの二葉紅葉。

その他に三条ヶ原楓、一ギャイ、獅喰蓮、秋月末広、阿波峰かおり、荒木光星、ライムなど多くの有名人がリスレしていた。

復帰配信の枠は既に同接1万人を突破しており、現在進行形で待機人数は増え続けている。

そんな中、話題の中心人物である僕はというと……、

「やーにぃ！　あしょぼ！！」

「え～、そろそろお昼寝したくない？」

「やっ！　あしょぶの！」

姪っ子の咲良の遊び相手をしていた。

現在咲良は僕の家にお泊りに来ており、今日は朝起こされてからずーっと咲良と遊んでいた。

現在４歳の咲良は僕と来夢にものすごくなついており、ことあるごとに僕たちの家に泊まりに来ている。

義姉さんが仕事で忙しい時は弟の春斗も一緒に泊まりに来る。

東京から帰ってくる兄さんを義姉さんが迎えに行くため、昨日の夜から家で預かっていた。

春斗は義姉さんと一緒に迎えに行っている。

義姉さんは咲良も一緒に連れて行きたかったようだが、「行きたくない！　らーねぇと一緒がいい！」と駄々をこねた結果、止まることになった。

別に咲良が兄さんを嫌っているわけではない。

ただあまり一緒に居ることがないパパに会うのが恥ずかしいだけで、家に兄さんが来たときは駆け足で兄さんの所に向かい飛びついている。

「やーにぃ！　げーむ！」

「はいはい」

スマホの電源を切り、咲良と一緒にテレビゲームをする。

それは来夢がお昼ごはんを準備し終えるまで続いた。

お昼を食べ終えた後は、最初は元気があった咲良を徐々に眠気が襲い始め、2時になるころには完全にお昼寝モードに入っていた。

「咲良は寝た？」

「寝たよ。午前中はお疲れ様」

「本当だよ。咲良のお世話を全部僕に押し付けて。今日は久々の配信なのにー」

「代わりに配信の準備してあげたからいいでしょ。……そういえば準備中にお義姉ちゃんから連絡があって、お兄ちゃんの配信はうちで見るんだって」

「オッケー」

来夢は何度か会いに行ってみたいだが、僕が合うのはとても久しぶりだ。

何ケ月ぶり何だろう。

「配信準備してくれてありがとね」

「別にいいよ。今年からお兄ちゃんのスタッフとして働くんだから。その分給料よろしくね」

「はいはい。……でも本当によかったの？　音楽活動との二面性で」

「大丈夫。４年前と違って技術がかなり身に着いてるし、ライムの方に支障はないから」

「ならよかった」

「後は私が相手しとくからお兄ちゃんは久しぶりの配信に集中してて」

「ありがとう」

来夢のお言葉に甘え、久々の配信に集中するために自室に戻り、午前中の疲れを取るために昼寝をする。

目が覚めると時間は既に18時。

予定よりも１時間長く眠っており、配信まで1時間をきろうとしていた。

「時間前に起きれたことを良しとするか、寝過ぎたことを反省するか。…………一先ず起きれたことを良しとして、配信の準備をしよう！」

そうと決まれば急いで準備を開始する。

電気をつけ、パソコン・モニターの電源をオンにする。

起動するまでの間に服を着替え、配信中に飲む水を取りにリビングに向かう。

部屋に戻るとパソコンが起動されており、久々となる配信アプリを開く。

この４年間一切触っていなかったのに、すでに体がどれをどうすればいいのか覚えているのが分かる。

久々に感動しながら、ある小さなモニターを見る。

そこには神無月ヤマトの姿があった。

約４年ぶりの再会。

長かったようで短い４年間だった。

「今日からまたよろしくね」

再会を果たしてからの時間の流れはさらに早くなり、全ての準備が終わるころにはすでに配信開始5分前だった。

「やっば。久々すぎて思った以上に時間かかっちゃった。……って、待機人数で100万越えって多くない？　今ではこれが普通なのかな。…………まぁいいか。久々の配信、精一杯楽しもう！」

そして、神無月ヤマト復帰配信が始まった。

＊＊＊

『お帰りなさいませ、ご主人様。あなたの執事、神無月ヤマトです。約４年の休暇から本日戻りました。これからよろしくお願いします』

おかえりー！！

待ってたよー！！

俺のヤマト！

違う、私のヤマトよ！

イイや、僕のだ！

違う！　みんなのヤマト様よ！

そうだ！　ヤマト様はみんなのだ！

この流れ久しぶり！

久しぶりにこの流れを見たｗ

え、初見だけどこのコメ芸なにｗｗｗ

この声も久しぶりに聞けて嬉しいです！

全く超え変わってないやんｗ

『この流れ久々ですね。この４年、本当にいろいろなことがありましたね』

本当にたくさんあったｗ

多くのVtuberがデビューしたと思えば、時代を作ってきたベテランが卒業した

たくさんの有名人が結婚したしｗ

特にヤマト神世代の躍動が凄いのなんのｗｗｗ

コメント欄を見ると、本当にたくさんのことがあったんだなぁと認識する。

それらに負けず劣らずの出来事が僕にもたくさん起こった。

『さて、皆様に大事な報告があります。僕、神無月ヤマトは先月高校を卒業し、本日からVtuberとして活動を再開することになりました！』

よっしゃー！！

おめでとう！

おめでとうございます！

……あれ？

おめでとう！

待ってました！！

聞き間違いか？

おめでと！！

これからも応援します！

……んん？　今なんて？

『えー、ここであることが気になるご主人様もいると思います。「あれ？　４年？」と。……まぁ、鋭い人は察すると思いますが、神無月ヤマト、高校２年を２周してまいりました』

ｗｗｗｗｗｗｗ

草

まさかの留年ｗｗｗ

何してんの？

ｗｗｗｗｗｗ

笑いが止まらんｗｗｗ

『えー、高２の三学期にいろいろ起こった結果、出席日数不足に未提出物過多、極めつけに学年末テストで全教科赤点をたたき出してしまい、留年してしまいました』

留年を教師に言い渡されたときのことは今でも覚えている。

頭の中が真っ白になり、それまで幸せだった時間がすべて洗い流されてしまう、そんな感覚だった。

『翌年度はもう、一生懸命勉強して、３年は少し緩いクラスに入って余裕で卒業しました。だから本来は３年で復帰だったのが４年で復帰になってしまいました。誠に申し訳ございません』

なるほどｗｗｗ

そりゃ留年するわなｗ

草生えるｗｗｗ

やっばｗ

『せっかくなのでこの配信ではこの４年、僕にとって中と外で何が起こったのかを一緒に振り返れたらなぁ、と思います』

この日のために作った資料を準備しているときに、しないといけない大事な報告を思い出しす。

『あ、そう言えば、皆様に報告しないといけないことがあったんでした』

どうした？

なんや？

活動再開の報告はさっき聞いたで

なんですか？

『えー神無月ヤマト。この４年の間に結婚しました』

……は？

え？

ま？

は、え、……は？

え、マジ？

『現在娘が一人います』

いやいや、なにサラッと言ってんの？！

え、ここで言う！？

流れとか関係なしかよ？！

急に来たｗ

え、……え？

タイミングおかしすぎて「おめでとう」ってコメントが少ないの笑えるｗ

お、おめでとうございます

『えー、いつ結婚したのかも、この振り返りで話したいと思います。後、4年前に結婚したら性別発表するといったと思うんですけど、結婚の振り返りの時に同時に発表するので、皆様、お見逃しがないように！』

結婚の報告を終え、通常配信に戻る。

コメントは未だに動揺を隠しきれていない人がいるが、気にせずに配信する。

久々の配信。今日はやりたいようにやらせてもらいます！

『では皆様、これからも僕と楽しい配信にしていきましょう！』

＊＊＊　　　　　　　　

～完～