コラボ配信　＃Fin

『「結果発表！　現在の所持金順位はこのようになっています」』

白いボードにそれぞれの名前が張り出されていく。

1位　撫子　　：2億3700万円

2位　ヤマト　：0円

2位　ライム　：0円

2位　ＣＰＵ　：0円

その結果に僕とライム、ご主人様がたは目を疑った。

『あれ？　おかしくないですか？』

『なんで撫子さんが1位に？　だって世界滅亡エンドで全部なくなったはずじゃ』

「さぁ、なんででしょう」

世界滅亡エンドじゃ……。

撫子ママ、これ何か知ってるわよ。

もしかしてアビーに使ったあのカードの効果？

『巫女の加護カード』の効果？

『「なお、1位の撫子さんは『巫女の加護カード』の効果が切れていないため、世界滅亡効果は受けていません」』

『あのカードにそんな効果が』

世界滅亡しても救うことができるなんて『巫女の加護カード』すっご！？

巫女が神を超えた！

これ狙ってた？

いやいや、『？カード』は何が起こるかわからないランダムカードだから狙ってはさすがに無理！

『母さま。狙ってたんですか？』

「さぁ、それはどうかしら。それよりも続きを」

『あ、はい。「これにより、撫子さんの買い取った店は無事、合計65億円追加されます！」』

母さんの金額が2億から67億へと吊り上がる。

『これで母さまの優勝ですね』

「何言ってるのヤマト。よく画面を見なさい」

『はい？　……何あれ』

ゲーム画面にはアビーちゃん様が映っている。映っているけどその後ろになぜかサッカーゴールが。

『「さて、今日のゲームはこれでって、何よ後ろのゴールもしかしてキーパーしろって言ってんの！？」』

アビーちゃん様が気付いた時にはすでに遅く、後ろのゴールにボールが突き刺さる。

それと同時に画面には『GOOOOOOOOL！？』という文字が虹色に輝きながら現れる。

そのあとに『マイアミの奇跡』『ジョホールバルの歓喜』『ドーハの喜劇』という文字が縦３列に並んだ。

『「なになに、この３つの聖地を回った撫子さんには特別賞として賞金100億をプレゼント！　よって１位撫子さん167億3700万円！」……』

『……』

「ラッキー！」

誰も何も言えない状況。

そんな中で母さんだけが大喜びしている。

説明求む。

何この演出

初めて見たこの演出

ゲーム実況動画で見たことないこと起こっているんだけど

これ何かの別ゲー？

『母さま、説明お願いしても？』

「いいけど全部終わってからにしましょう」

『え？』

ゲーム画面をよく見ると、結果を伝え終わったアビーちゃん様の後ろに再びゴールが。

『「また出たわね。今度は打ち返してやるんだから！」』

ゴールに向かって飛んで行ったボールをアビーちゃん様は蹴り返し、ゲーム画面へと跳ね返る。

ゲーム画面にはひびが映り、『ドーハの悲劇』『ロストフの悲劇』という文字が表示される。

『「この２つの聖地を回ったヤマトさん」僕です。「苦い経験をたくさんおくります。残念賞として5億円没収となります」なんか占いみたいな話し方ですね。……残念賞で5億円没収って僕お金持ってませんよ。「よってヤマトさんは所持金－5億となります。それでは、最終結果発表！」』

1位　撫子　　：167億3700万円

2位　ライム　：0円

2位　ＣＰＵ　：0円

4位　ヤマト　：－5億円

『「以上で今回のゲームを終了します。それでは皆様、またお会いしましょう！　さようなら～」……』

や、ヤマトさんお疲れ様です。

名無しのお兄さん

これ、少ないですが……

￥12,000

名無しのお姉ちゃん

お小遣い上げるから元気出して

￥50,000

ヤマト様親衛隊000005

みんな、ヤマト様を元気づけなさい！

￥50,000

ヤマト様親衛隊000003

ヤマト様、次です！　次こそはお母さまたちにリベンジしましょう！

￥50,000

ヤマト様親衛隊000008

こんな形で初スパをなげることになるなんて……

￥50,000

親衛隊たち全員５万で草！

というよりもようやく一桁台たちが姿を見せた。

なんか赤いのがコメント欄に流れてきてる。

『あー、そんなに投げなくても僕は元気ですよ！』

声は元気がない。

しおれてる。

元気出せ！

罰ゲームは俺たちがついてやるから。

『ヤ、ヤマトさん。凸待ちにはいきますから元気出して終わりにしよ！』

「そうね。この結果の解説もしたいけどそろそろ時間だから無しね。ただ言えることはこのゲームにはこのようにもっとやり込む要素があるってことね」

『皆様今回母さまが見せた隠しイベントのやり方を知りたいでしょうから、僕が母さまにやり方を聞いて、動画を上げますのでそれまでのお楽しみでお願いします』

待ってる！

全然わからなかったから頼むぞ！

凸待ち楽しみにしてる！

これからも応援してるぞ！

『本日は僕たちと楽しい時間を過ごしていただきありがとうございます。それでは、行ってらっしゃいませ、ご主人様』

「行ってらっしゃーい！　また帰ってきてね！」

『行ってらっしゃい』

行ってきます！

行ってきます！

行ってきます！

来週には帰るからね！

＊＊＊

「終わった」

２つの意味で。

「元気出しなさい、保仁。あなたの配信はみんなにしっかり見てもらえてたわよ」

母さんが指さす場所を見てみると、そこには今日のスパチャ額が……って、え？

「一、十．百、千、万、十万、ひゃ、百万！？」

そこには七桁の数字。

今日のスパチャ額合計102万5500円。

更にチャンネル登録者数は２万人突破。急いでトリッターも確認すると、トレンド３位。２位には母さん。そして１位にはライムの名前が入っている。

いや、それでも３位は普通にすごいよ！

「お母さん、お腹空いた！」

お腹を押さえながらさっきまで通話していた来夢が部屋の中に入ってくる。

「来夢は今日の動画の反響どうだった？」

「どうって、チャンネル登録者数もフォロワー数も爆上がり」

「やっぱり？　お母さんもチャンネル登録者数が数千人上がったわ。でも上昇数じゃヤマトには届かないわね」

「仕方ないよ。お兄ちゃんは配信するたびに多くの人を魅せつけるんだから」

「それもそうね」

「そんなことよりもお腹空いたから下に降りとくね」

来夢は部屋を飛び出し一回へと降りていく。

「そういうこと、いくら頑張っても私たちの伸びは少ない。でもあなたはもっと伸びる。その道には今日みたいな遊びではなく険しい道もあるわよ。今がそんなんでどうするの？」

「……そうだよね。凸待ち０人がなんだ。僕は中学生活一人ボッチで生きてきた男。今更友達がいないことを嘆いたって仕方ない！」

「その意気よ。ご飯にするから一回に降りてきなさい」

「はーい」

この日の夕飯は久しぶりに家族３人でのんびりと食べながら過ごした。

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とある掲示板

神無月ヤマトについて語ろう

115：名無し

今日の配信についてみんなどう思う？

116：名無し

>>115

普通にヤバかった！

117：名無し

>>115

収益化報告がメインかと思ったけど撫子ママとのコラボとか予想できん

118：名無し

>>117

そのあとのライムとのコラボも想定外すぎる！

119：名無し

いろいろ凄かったけどヤマト様親衛隊って何？

120：名無し

>>119

集金していない非公認ファンクラブ。確かLOINアプリに『ヤマト様親衛隊』っていうオープングループができていたはず。そこに参加すれば親衛隊隊員になれる。

因みに自分は000258です。スパチャも満額しました！

121：名無し

>>120

存在は知っていたけどまさか実在するとは

122：名無し

>>121

都市伝説になってて草

123：名無し

配信見て気になったのは撫子ママって何者？

124：名無し

>>123

それな！

125：名無し

>>123

気になって配信終わった後、撫子ママが起こした隠しイベントが起こってないかMytubeにトリッター調べつくしたけど、何処にも載ってなかった！

126：名無し

>>125

一緒に配信見た友達と撫子ママの動きしたけど、全くイベントが発動せんかった！

127：名無し

>>126

今、ゲーム友達10人とヤマトたちの動きを完全再現してるけど全然できない。

128：名無し

>>126

>>127

これはヤマト様の解説動画を待とう！

129：名無し

>>128

そうだな。

130：名無し

それよりも来週の配信！

131：名無し

>>130

凸待ち！

132：名無し

>>131

撫子ママとライムは確定として……

133：名無し

>>132

カナママは？

134：名無し

多分来る

135：名無し

お兄さまとお父様は？

136：名無し

>>135

微妙

137：名無し

撫子さんが身内は凸者に含まないって言ってたけど、それってありなの？

138：名無し

>>137

いや、もう通話した時点でそれは凸ったわけだから人数に数えていいと思う？

139：名無しのパパ

>>138

そうなんですか！？

140：名無し

>>139

他のVtuberも凸った時点で人数に数えてるから問題ないやろ

141：名無し

>>140

じゃあ、ヤマト様が凸0人の可能性は……

142：名無し

>>141

なくなったな。

143：名無し

これでヤマト様の悲惨な配信はなくなる！

144：名無し

>>143

そういうことだな。

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この時、誰もヤマトの凸待ち配信が思った通りに行かないことは誰も想像できなかった。