時間ぎりぎりで急な予定変更
後書きの方に大事なお知らせを書いていますので、できればそこまで読んでください。
現在13時。
12時から会場内を回りサークル紹介で紹介するサークルの視察に行っていた僕だけど、紹介する予定のサークルの資料が何もできていない。
サークル紹介まで後15分あるけど、たったの15分ではさすがの僕でも資料作成することはできない。
「ヤマトさん、紹介する予定のサークルは決まった?」
「はい。一応5サークルは決まったんですけど、資料の方がまだできていなくて……」
「資料は無理に作らなくても大丈夫だよ。因みに紹介予定サークルの物販などとかは……」
「あ、それならリュックの中に人数分あります。今出しますね」
たくさん買ってパンパンになったリュックサックから同人誌20冊、同人ゲーム5つを取り出し、獅喰蓮さまに渡す。
「た、たくさん買ったね。因みに料金の方は……」
「えーっと、確か3000円、1500円、5000円、27……50円? 2500円です」
「一つ微妙な金額があったけど了解。全部合わせた金額からヤマトさんの金額だけを抜いて11800だね」
「………………ですね」
「あとでそれぞれに2950円払うように言っておくからしっかり受け取ってね」
「はい」
獅喰蓮さまは僕の分を残して残りの同人誌などを持っていった。
正直金額の方に関してはあまりわからなかった。
獅喰蓮さまが言うなら間違ってないんだろう。
開始までもう少し時間がありそうだったので、早速資料作成に移った。
「……」
「えーっと、最初は【福山家】様から……」
「ジー」
「やっぱり場所とか入れた方がいいよね」
「ジー!」
「できれば同人誌の表紙とか入れたいけど時間が……」
「……ジー!」
アイデアは固まっているのに、どういう資料を作るかが浮かんでこない。
早速パソコンと睨めっこしていると、机の横からギャイ先生がのぞき込んでいるのが見えた。
「ギャイ先生、見られてると気が散ってしまいそうなんですけど……」
「ヤマトン、資料作成間に合いそう?」
「……ギリギリですね。いざパソコンに向き合ってみるとなかなか手が進みません。アイデアは固まっているのに」
「話す内容は固まってる?」
「はい。そこは問題ないです」
「それじゃあヤマトンは話す文章を書いて、資料の方は大丈夫だから」
「え、それってどういう……?」
言っている事は理解できるけど、意味が解らない。
「実は私が紹介するサークルに実物投影機を持ってきているサークルがいてね、借りることができた」
「実物……投影機?」
「えーっと、紙や資料をその場で投影して壁に映す機械。学校とかで見たことない?」
紙や資料をその場で投影して壁に映す機械を学校で……。
「見たこと……ないです」
「嘘……。教科書とか投影しなかった?」
「えーっと、パソコンのから直接テレビの方に映す機械はありました」
「……そっか。そうだよね。ヤマトン15歳で私と10歳も年が違うから、授業のやり方が変わってても仕方ない」
なぜか落ち込んでしまったギャイ先生。
25歳もまだ若い方に見えるけど……。
「えーっと、とりあえずそういう機械があって、ヤマトンが紹介するサークルの同人誌や同人ゲームの表紙、販売場所の描かれた地図は問題無いから、紹介分だけ作って」
「はぁ、なんとなくは分かりましたけど、時間があれば資料は作れますよ」
「あー、それなんだけど、もしかしたらヤマトンの出番、3番目になるかも」
「……え?」
3番目。
てっきり資料ができてないから最後の予定で進めるって言ってたけど、3番目はかなり早い。
多分何らかの理由があると思うけど……。
「実はヤマトンが出て行った後に気づいたんだけど、サークル紹介が終わった後は抽選会なんだ」
「それは知ってますけど……」
「抽選会が終わった後はすぐに閉場」
「はい。そう聞いてます」
「サークル紹介と抽選会の間は10分の休憩」
「それも聞きました」
「つまり最後に紹介されたサークルは10分しか買いに行く時間がない」
「え、……あ」
なるほど。確かにギャイ先生の言う通り、買いに行く時間が10分しか、いや、10分もない。
場合によっては行列ができて10分以上かかる可能性がある。
そうなったら抽選どころの話じゃない。
「順番は楓、モミジン、ヤマトン、シグレン、私の順番」
「僕が3番目。あれ、でもそうなるとギャイ先生の紹介するサークルに人が集まりませんか? そうなったら意味ないんじゃ……」
「それなら大丈夫。私の紹介するサークル、ネット通販もしてるし、思った以上に売れ行きがよかったみたいですでに完売状態だから」
「ははっ、それなら最後でも問題ないですね」
僕が紹介する予定のサークルとは正反対。
僕も皆さんのサークルをしっかりと紹介してギャイ先生の紹介するサークルみたいにしないと。
「そういえば、ヤマトンが紹介する予定のサークルの子が来てたよ」
「ああ、ちーちゃん様ですねって、ギャイ先生、集合時間になりそうです!」
「なるほど、急ごうか」
パソコンを閉じ、獅喰蓮さまたちのいる場所に荷物を持って移動する。
まだ時間になっていないから皆それぞれで雑談を楽しんでいたけど、すでに円が形成されていた。
その縁の隅っこにはおどおどしているちーちゃん様が。
「ちーちゃん様、お待たせしました」
「あ、ヤマト様、……って、ぎゃ、ギャイ先生!?」
「ん? 私のこと知ってるの?」
「と、当然です! デビュー作から読んでます!」
「ありがとう。直に言ってもらえると嬉しい」
「はぁぁ、お二人の2ショット、尊い」
ちーちゃん様はかなり興奮気味のよう。
その気持ちわかる!
僕も初めてギャイ先生に会った時は似たような感情が沸いたから。
「あ、そうでした。ヤマト様、実は私同人ゲームの資料を持ってきたんですけど……」
「え、本当ですか!?」
「は、はい。一応ゲームなので簡単な仕様書があればと思って……」
「ありがとうございます! ものすごく助かります!」
「そ、そう言ってもらえると嬉しいです」
ちーちゃん様から資料を受け取り内容に軽く目を通す。
……うん。さっぱりわからん!
そもそも僕はゲームに詳しくない。
ゲームがどのようにできるか調べたことあるけど、ネットの情報では全く理解できなかった。
「ギャイ先生、どうしましょう。高度過ぎて全く理解できません」
「ヤマトンには難しいかもね」
せっかくちーちゃん様が持ってきてくれたのに、僕だと活用できそうにもない。
どうしたものか……。
ちーちゃん様に僕の代わりに発表してもらう……わけにもいかない。
「じゃあその子に発表してもらったら」
「えっ!?」
「わ、私ですか!?」
「うん。えーっと、ちーちゃんはヤマトンと一緒にステージに立つために来たんだよね」
「は、はい……」
「なら、ちーちゃんにゲームの内容を発表してもらって、ヤマトンはゲームの感想を言えばいい」
「良いんですか? 僕が発表しなくても」
「ヤマトン、遊んだ感想を言うのもしっかりした発表」
「……確かにそうですね!」
それなら問題ない……のか?
正直なところよくわからないけど、内容を理解できていない僕が発表するよりも理解できているちーちゃん様が発表する方が絶対に良い。
「ちーちゃん様、お願いできますか?」
「わ、私は全然問題ないですよ! このゲームのことを一番理解できている自信がありますから」
「ありがとうございます!」
これで一番最難関に思えたゲームの内容紹介が解決した。
後は僕がサークル紹介の文章を考えるだけ。
これは時間内完成が見えてきた!
「それでは皆さん。13時20分になりましたので、サークル紹介について軽く話したいと思います」
最後まで読んでいただきありがとうございます。
私事ですが、
【第十八章 ひふみよ感謝祭 一日目】が終わったら、長期の休載をすることにしました。
急な話になってしまい申し訳ございません。
休載する原因はいつも寝る直前に作品のことを考えているのですが、最近二日に一回書いていることに気づき、急に『休みが欲しい』という感情が芽生え、その際に『せっかくだから模写というものに挑戦してみたい』という思いが出て来てしまい、頑張っている自分のご褒美として、長期の休みをとることにしました。
また、前々から言っている新作を書こうというものも達成できていないので、休んでいる間にプロットを固めたいと思いました。
勝手になってしまいますが、ご了承していただけると幸いです。
現在の再開予定は12月7日を予定していますが、場合により変わるかもしれません。
また改めて報告させていただきます。
今後とも【高校受験に失敗したのでVtuberで才能を発揮します!】の方をよろしくお願いします!




