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高校受験に失敗したのでVtuberで才能を発揮します!  作者: 楪桔梗
第十八章 ひふみよ感謝祭 一日目

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サークル紹介の進捗状況


「ふぅ、ようやく人が少なくなってきたね」


時間は12時を回り会場何にはお客さんが少なくなってきた。

少なくなってきたとは言っても、【1234+0】に来るお客さんが少なくなってきただけで、開場にはまだたくさんのお客さんがいる。


「イベントが始まる前と終わった後がものすごく忙しかっただけに、今は全然楽」

「それにしてもかなり売れましたね。紅葉さまのコスプレ衣装なんて午前中で全着完売」

「同人誌に関してもコミケの売れ残り分は既に完売だね。あとはギャイちゃんが早急に仕上げた新作とシグレンが考えたグッズがもう少し。あとはヤマト様の描いたイラストが残り数十枚」

「これって明日の分も残ってるんだっけ?」

「うん。昨日持ってきた分は今日販売の分だけだからね。コミケで売れ残った同人誌はここにあったので最後だけど、他のものに関しては楓ちゃんの家に置いてあるよ。ただ、昨日届いたグッズに関しては持って帰るの面倒だったので、逆さまにして後ろに置いてます。ギャイちゃんと楓ちゃんにはもう言ってるけどくれぐれも間違えて開けない様にね」


逆さまのダンボールがあるなんて全く聞いてなかった。

紅葉さまも同じようで横眼からどのダンボールか探している。


元々知っていたギャイ先生と楓さまに関しては驚くそぶりを見せないことから本当に知らなかったみたい。


「よし、しばらくは暇な時間が続きそうだからそれぞれ時間を取って休憩に行こうか」

「次のイベントって参加サークル紹介ですよね。紹介時間って何時間ですか?」

「うーん。一人30分以内かな。私たち5人で2時間30分。紹介時間は1時30分からで、終了予定は4時。そこから10分休憩挟んで最後の抽選会ね。そのあとにコスプレイベントの結果発表。集計はすでに終わってるから、受賞者たちには待ってもらってるよ」


思った以上に紹介時間が長い気がする。

単純な紹介ならどの作品が面白かったとかでいいと思ったのに……。


「シグレン。資料できてるけどどうすればいい?」

「スタッフさんの方に渡してね。ギャイちゃんは漫画仲間のサークル?」

「うん。一昨日全サークルから許可下りた。明日の分もばっちり」


……ん?


「シグレン。私の方も今日の朝挨拶回りに行った時に許可貰ったんだけど各サークルから一人登壇させていい?」

「1人なら問題ないよ。私の方も許可貰ったところから何サークルか登壇してもらう予定だし」


……んん?


「ごめんシグレン。実は人数間違えて6サークルに許可貰っちゃったんだけど……」

「大丈夫だよ。私の方が4サークルのみだから。モミジンはやっぱりコスプレ仲間?」

「うーん。今回コスプレ仲間が3サークルしか出てなかったからそのサークル関連のところが3つで6サークル。このあと挨拶に行ってくるね」


……んんんんんんんん?

おかしい。


すでに紹介サークルとは話がついているみたいな感じになってる。

しかも、それぞれ資料や登壇者の準備まで済んでいる、と。


「ヤマトさんはどんな感じ? 紹介するサークル決まった?」

「えーっと……まだです」

「あーそっか。私たちはコミケとかでつながりがあるサークル多いけど、ヤマトはこういうイベント初参加だからつながりがないんだ」

「……私の知り合いサークル紹介しようか?」

「や、ヤマト様! 私も少し伝手がありますよ」


ギャイ先生と紅葉さまの気遣いはありがたい。

確かに紹介してもらえればサークルを探す手間が省けて楽できる。


でも紹介してもらったサークルの紹介して良いのかな、と思う。


それに——————


「ギャイちゃんも紅葉ちゃんも落ち着いて。それじゃヤマトさんにもこのイベント参加してもらった意味なくなるから」

「ん? どういうこと? ヤマトンが参加することで意味があるの?」

「あるよ! ほら、私たちだとどうしても知り合いサークルがメインになるじゃん。でもヤマトさんは知り合いのサークルなんてないから私たちが知らないサークルを選んでくれるかもしれない。だから私たちの交流も増やす目的でヤマトさんには参加してもらいたいんだよ」


そういう意図があったんだ。


正直、イベントだから強制参加のものかと思ってた。


となると問題は僕が今ピックアップしている5サークルが獅喰蓮さまたちは知っているかどうか。


「ヤマトさん、今日はもうブースの手伝いしなくてもいいから、残り時間は自由時間ね。その時間で最大5サークル選んでくれるかな?」

「分かりました。僕も資料とか作った方がいいですか?」

「うん。簡単なものでいいからできればお願い。ギャイちゃん、そこのカラフルなダンボールの中にパソコン入ってるからヤマトさんに渡してくれる?」

「うん、わかった」

「他に気になることはあるかな?」

「あ、それじゃあ被ったらもったいないので、皆さんが紹介するサークルの場所を地図に描いてもらってもいいですか?」

「いいよ。じゃあ私から描いていくね」


獅喰蓮さまから会場の地図にあるブースの場所を塗りつぶしていく。

その間位にギャイ先生からパソコンを受け取る。


資料に必要なツールはある程度使い慣れてるつもりだから問題ないはず。


あとは、僕のピックアップしている場所が塗り潰されないかを祈るのみ。


「私はこんな感じかなー」

「私も終わったよ。選んだところ全部そこそこ有名なところだからお客さんの入りを見たらわかると思う」

「私も描いた。ブース派手だからすぐに分かる」

「私も終わりました。ただ、濃ゆく塗りつぶしたところは分かるところなんですけど、薄く塗りつぶした場所は聴いた場所なので曖昧かもしれません」

「いえ、大丈夫です。ありがとうございます」


見た感じ被っている場所はどこにも見当たらない。

これなら問題なく見に行くことができそう!


「ヤマトさん。1時30分に開始なのでその前には来てね。その時に進捗を聞いて順番の判断するけど、一応希望とかはある?」

「あ、なら最後でお願いします。終わらない可能性もあるので」


僕の場合1から始めないといけない。

まだ紹介できるかも決まっていないのに、1時間30分で終わらせるなんて絶対に無理!


せっかく作るんだからクオリティにもこだわっていきたい。

さて、どんなものを作ろうかな。


「あれ、ヤマトンなら1時間30分で作るの余裕じゃないの?」


頭の中でいくつもの案を浮かべていると、いきなりギャイ先生から衝撃の言葉が飛び出してきた。


その言葉に驚きのあまり、一瞬浮かび始めていた案が一瞬にして分散してしまった。


「えーっと、ギャイ先生? 何のことですか?」

「この前夢見サクラさんの家にいた時にヤマトンの妹さんが言ってたよ。『兄さんは天才すぎて何でも一瞬でこなすんですよね』って」

「いやいや、流石に無理ですよ!」

「あと『無理無理言ってるときは大抵余裕って意味だから覚えてた方がいいですよ』とも言ってた」


来夢のせいでハードルが上がった気がする。

確かに無理と思ってたのにすぐにできてしまった事はあるけど、絶対に偶々なのに。


「と、とりあえず、ヤマトさんには最後に発表してもらう予定で進めとくから、あまりプレッシャーを感じないでね」

「わ、分かりました。それじゃあ僕は行ってきますね」


パソコンを持ち急いでその場から離れる。


ギャイ先生、というよりも来夢の余計なアドバイス? があったせいで場の空気が一瞬静まってしまったけど、僕がやらないといけないことに変わりはない。


獅喰蓮さまが言ってとおり僕は最後のシメの予定。


だったら、締めにふさわしい資料を作って会場中を僕に注目させてあげる!







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